製造/九州 「温度補正による大容量ガス供給管気密・漏洩検査装置の開発・販売」

科学的計測データを求めて

 エイムテックはガス漏洩検査装置で2001年に創造法の認定を受け、2003年には創造技術研究開発事業、2004年にはエネルギー使用合理化等技術改善事業など多くの事業認定を受けている。だが有馬慎一郎社長は「これまでの事業認定は事業基盤をつくるためのものだった」と振り返り、新連携計画認定は「事業化そのものの支援で、メリットも非常に大きい」と喜びを表す。

 この「温度補正による大容量ガス供給管気密・漏洩検査装置」の事業化では熊本テクノ(熊本市)が製品開発と製造を担当し、ロンド・アプリウェアサービス(東京都渋谷区)が装置の品質管理を担う。また東京ガスエンジニアリング(東京都新宿区)がガス回収装置の技術やガス関連製品の知識を提供するとともに販路開拓に当たる。この販路開拓では出光ホームガスセンター(熊本市)も参加する。

 かつてガス事業会社の社員だったエイムテックの有馬社長は、ガス漏洩検査で科学的な計測データが必要との思いを強めて02年に独立、起業した。その夢を「セーバープロ」で形にし、今や全国展開するスタートラインに立った。

(株)エイムテック


会社名
役割分担
■コア企業
(株)エイムテック
温度補正技術特許/開発
熊本テクノ(株)機器の設計開発/製造
(株)ロンド・アプリウェアサービスコンサルティング
東京ガスエンジニアリング(株)ガス回収装置の技術提供/販路展開
(株)出光ホームガスセンター熊本ガス検査技術提供/販路展開
熊本大学研究/検証/評価
(財)くまもとテクノ産業財団電子応用機械技術研究所研究/検証/評価
東京大学研究/検証/評価
産業技術総合研究所研究/検証/評価
(財)日本エルピーガス機器検査協会検査/設備の提供
肥銀ベンチャーキャピタルコーディネート



(株)エイムテック<br>有馬慎一郎社長

(株)エイムテック
有馬慎一郎社長

【大規模配管設備のガス漏洩検査を簡単、安全に】

 エイムテック(熊本県益城町)をコア企業とする「温度補正による大容量ガス供給管気密・漏洩(ろうえい)検査装置の開発・販売」が、中小企業新事業活動促進法に基づく新連携計画に認定された。この装置が事業化されると、これまで困難だった大規模集合住宅の共用配管をはじめとする大規模配管設備のガス漏洩検査が簡単で安全に行えるようになり、期待が寄せられている。

 現在、全国5000万世帯が使用しているガス配管設備の気密・漏洩検査は、気体を加圧充填(じゅうてん)して配管内の圧力が低下するとガス漏洩を検出するという方法がとられている。だがこの方法では、周囲の温度が変動すると、ガス漏洩の有無にかかわらず配管内圧力に変化が生じるため、正確な漏洩検査は困難とされていた。

 そうしたなか温度補正による大容量ガス供給管気密・漏洩検査装置は、エイムテックが開発した「漏洩試験装置」と、東京ガスが開発した「ガス回収装置」を組み合わせる。

 エイムテックは自動的に温度補正ができる技術を確立。この技術をベースに、相関法を用いた漏洩試験装置を開発した。気体の加減圧を繰り返し(アルゴリズム)、その信号を読み取り、圧力データを分析して温度補正する。データを分析する目盛りは0・01キロパスカル。

 一方、東京ガスのガス回収装置は20リットルのポリ容器に都市ガス200リットル、LPガス1000リットルを瞬時に回収する。残ガスの燃焼作業が不要なため、安全性も確保している。 大容量ガス供給管気密・漏洩検査装置は2006年2月にモニター販売し、その後1年かけてデータを集めて検証することにしている。これと並行して、欧州を中心に海外でも市場調査や事業連携の可能性を探る計画だ。


【布石となったセーバープロ】

 この大容量ガス供給気密・漏洩検査装置の開発は、エイムテックが2002年に市場投入した家庭向けの電子式ガス漏えい検査装置「セーバープロ」が布石になっている。ガス漏洩検査は、ガスの配管などの圧力が低下すれば漏えいと判定している。だが、検査中に温度が1度下がると圧力も0.36キロパスカル下がる。このため圧力の低下が温度変化によるものか、ガス漏れによるものかの判定が難しく、最終判断は検査者の経験に委ねられていた。

 セーバープロは検査前後のそれぞれ1分間の大気圧の圧力変化を計測して、高い確率で温度変化による圧力低下の影響を自動判定する。そのため検査器に表示される圧力低下を人の判断に頼らなくて済むようにした。また、計測結果はパソコンに転送し、詳細なデータとして分析にも役立つ。さらにこの技術は医療や工場、プラントなどの分野にも広がっている。