加工/近畿 「 半導体デバイス用厚膜熱酸化膜付きシリコンウエハー成膜事業」

新材料開発の先駆者に

 新連携コア企業のケイ・エス・ティ・ワールドは、福井県の繊維業界の老舗、川侮Y業(福井市)から1998年5月にシリコンウエハーの成膜加工業として誕生したベンチャー。半導体材料のシリコンウエハーの成膜加工専業メーカーのビジネスモデルを米国・シリコンバレーから日本に持ち込み、福井市内で会社設立し急成長している。

 新連携では、ケイ・エス・ティ・ワールドが独自開発したシリコンウエハーに厚い膜を形成する厚膜熱酸化膜技術(特許取得済み)と、異分野のフジミファインテクノロジーが保有するシリコンウエハーを薄く研磨加工する高平坦度技術を活用する。将来の大幅な需要増加が期待される光通信用デバイスの新市場開拓やマイクロマシン、車載用デバイスなどを開発、国内外に販売する計画だ。

 21世紀はまさに情報ネットワーク社会。その創造に向けて、川武ウ寛ケイ・エス・ティ・ワールド社長は「両社が新連携で共同研究、技術融合を進め、新市場開拓にも従来に増して成果を上げることは確実だ。今後も『新しい材料開発の先駆者』であり続けたい」と強調する。

ケイ・エス・ティ・ワールド(株)


会社名
役割分担
■コア企業
ケイ・エス・ティ・ワールド(株)
シリコンウエハーの厚膜熱酸化膜加工・市場調査・販売
(株)フジミファインテクノロジーシリコンウエハーの超薄平坦化加工



ケイ・エス・ティ・ワールド(株)<br>川武ウ寛社長<br>「両社が共同研究、技術融合を進め、新市場開拓にも従来に増して成果を上げることは確実な状況です。今後も『新しい材料開発の先駆者』であり続けたいです」

ケイ・エス・ティ・ワールド(株)
川武ウ寛社長
「両社が共同研究、技術融合を進め、新市場開拓にも従来に増して成果を上げることは確実な状況です。今後も『新しい材料開発の先駆者』であり続けたいです」

【厚膜加工で活路】

 ケイ・エス・ティ・ワールドは半導体市場がシリコンウエハーを薄膜化する技術トレンドにあるなかで、逆に厚膜に市場をフォーカスして半導体の新しい開発用途を提案し市場開拓している。
 同社の厚膜加工技術は、15マイクロ−25マイクロメートルの厚膜の形成が可能だ。通常の半導体で使われているものからすると10倍近くの膜厚となる。製法は高温の炉内で、基板の表面を酸化させ厚膜を形成する熱酸化法。厚い膜ではその実現が困難とされてきたが、同社独自の熱酸化法で成膜の膜質が優れ、均一性を実現した。

 光部品アンダークラッド(酸化膜)層付きシリコンウエハーの量産体制を02年1月に確立、供給を開始した。また厚膜では光の屈折率が一定となることで、光漏れが少なくなり、長距離の光通信設備などの部品デバイスに最適としている。そのうえ膜が厚くなることで、シリコン上の回路設定が容易になり、製造過程での部品の歩留まりも向上する。
 会社設立翌年の99年にはクラス10のクリーンルームを建設。設立当時から直径300ミリメートルシリコンウエハーの成膜装置を導入、事業化に踏み切った。量産体制も着々と整備している。 

 連携企業のフジミファインテクノロジー(横浜市港北区)は、シリコンウエハーを研磨して薄くする技術、超薄平坦化加工の独自技術を有する有力企業。少量多品種のパターン付きウエハーの研削研磨の優れた加工技術とその実績を持ち、特殊加工に対応できる技術力に定評がある。
 フジミファインテクノロジーはケイ・エス・ティ・ワールドの創業時からの取引先であり、互いに気心を知り、これまでもいろいろな形で連携してきた。川侮ミ長は「今回の新連携はシリコンウエハーの成膜メーカーと、シリコンウエハーを研磨・薄くする技術を持つメーカーの異分野連携。新しい市場を開拓し、販売していく」と意気込む。
 

【新デバイス市場を開拓】

 新連携事業はコア企業のシリコンウエハーの厚膜熱酸化膜形成技術と、連携企業のシリコンウエハーの高平坦度技術とのコラボレーション。ケイ・エス・ティはこれまでも光通信用デバイスを手掛けていたが、新連携によるフジミファインのシリコンウエハーの高平坦度技術で、高性能で新たな半導体デバイスも開発、新しい市場が開拓できると期待している。

 また情報化ネットワーク時代の創造に向けて、将来の高い需要が期待される各種マイクロマシンや車載用デバイスなど幅広い用途の半導体デバイス用基板を開発、市場の拡大を確実なものとみている。
 創業当時、日本国内ではシリコンウエハーの成膜加工ビジネスは全く新しい分野だった。従来の顧客は成膜加工を海外の成膜加工業者に発注したり、成膜付きシリコンウエハーを購入したりしていた。成膜加工の専業メーカーとして、国内外の展示会などに出展、事業や製品のアピールが着実に功を奏した。

 同社では新連携で国内はもとより国外でのビジネスも拡大する方針だ。その一環の危機管理対策として、数年中に県外での工場建設を検討し、株式公開も目指す。