防犯・防災/関東 「新機能を搭載した軽量小型二酸化炭素消火器具の開発・製造・販売」

冷却により発火を予防

 小型軽量の瞬間消火器具「消棒(仮称)」の製造・販売。液化炭酸ガスを細いノズルで放出する時に生じる断熱膨張を利用した冷却能力を、窒息効果が高い二酸化炭素消火器に付与したもので、発火を予防する機能も持つ。電気火災にも有効なことから、これまでにない新規製品として市場を開拓し、ラインアップを拡大していく。

 連携体では企画制作をコア企業のワイピーシステムが担当。部品製造は三吉バルブ、ボンベ供給は東栄化学で、組み立てを日本ユニバーサル電気が行う。デザインはインターフェイス、業界情報提供や実験は千代田防災が担当する。

 このほか製造支援として小型ボンベ関連で岩谷産業、金型や樹脂成形では山本製作所、販売支援ではレンタルサービスのジャスト、経営アドバイスとしてはプロジェクトのアドバイザーとして元消防庁消防司令の飛田徳雄氏、千明特許事務所、監修のトーマツベンチャーサポートなどが新連携の枠外で結びついている。多彩かつ専門的なメンバーの"広域連携体"とすることで、シーズではなくニーズを元にした商品開発を展開している。

(株)ワイピーシステム


会社名
役割分担
■コア企業
(株)ワイピーシステム
開発
日本ユニバーサル電気(株)組立/製品発送
三吉バルブ(株)部品製造
(株)インターフェイス各種デザイン
(株)千代田防災実験
(株)東栄化学ボンベ供給



(株)ワイピーシステム<br>吉田英夫社長

(株)ワイピーシステム
吉田英夫社長

【専門分野を持ち寄り企業規模を超越】

 新連携による消火器具開発は、コア企業となるワイピーシステムの吉田英夫社長が高圧二酸化炭素を用いて洗浄法を開発したことから始まった。液化炭酸ガスを放出する際に微粒子のドライアイスができる。
 「窒息効果だけでなく、冷却効果を伴う消化器になる」(吉田社長)という発想から商品化に取り組んでいる。大切にしているのはニーズ。従来の消化器は時間が経つと効果が落ちるほか、粉をまき散らすなど使い勝手に問題があった。新連携で開発する消火器は小型軽量なうえ、水を使わないため、OA機器や電気製品に使えるようになる。今までにない製品として需要を開拓していく。

 「ワイピーシステムは金属の表面処理を行う、いわゆるメッキ業。新しい消化器の開発に当たっては知財だけを持ち、機械加工や金型製作、ボンベ・高圧バルブ技術、生産管理、デザイン、販路などは持っていなかった。
 そこで吉田社長は「不足している経営資源を結びつける」ため、ネットワークを活用して各分野の専門企業や人を集めた。以前からの下請けを取り込んだ縦型の企業体ではなく、知財を持つコア企業とそれに必要な経営資源を持つ企業を水平的な関係で結びつけた。中小企業が少ないリスクでメーカーとなり、「各社の収益事業としてWin−Winの関係を築くことで、新しい事業ドメインを確立できる」(同)としている。

 吉田社長はボンベの調達、企業化調査・販路開拓、金型製造、高圧部品製造、デザイン、組み立てと、それぞれの分野を本業とする企業を集めた。個々の企業の持つ専門分野を集める方式だ。さらに元消防関係者、特許事務所、監修も加えている。この成果の一つとして、赤色発光ダイオード(LED)を消化器に付けることが決まった。「火事現場は暗いという消防専門家の意見がなければ考えられなかった」ことで、製品の完成度を高めようとしている。


【販路には大手企業も・・・】

 もうひとつ特徴的なのは、販売経路の確立だ。中小企業の自社商品展開で行き詰まる原因になるのは販路。このため連携体内に東京・多摩地域で最大級の消化器販売会社を入れたほか、連携体の協力会社に岩谷産業などの大手企業を含めた。少ない資本で新たな事業を行うには、収益化へ向けて不確定要因をできる限り排除していかなければならないと考えている。

 消化器の販売は数年後に30億円規模を見込んでいる。新規着工住宅における火災報知機の設置義務化から新たな需要を見込み、これまでの消化器とは違った新たな販売ルートを開拓していく。将来は連携企業が出資して事業会社を設立し、上場を視野に入れた事業展開を目指す。