製造/九州 「SPG膜の透過による改質機能性水ビジネスの展開」

直径ナノメートルの微細孔

 SPGテクノがコア企業となり、異業種の吉玉精鍍をパートナーとして共同研究を進める。共同研究を進めるのは、宮崎県工業技術センターが81年に開発したシラス多孔質ガラス(SPG)と呼ばれる技術だ。SPGは50ナノメートルから20マイクロメートルまでの微細な孔が多数存在するガラス素材。この微細孔を透過させることで物質の機能を変えるほか、均一な小さな粒子を形成するなど多様な目的で利用されている。

 今回はメッキ処理などを行う表面処理の会社と組み、SPGの新たな利用法開発を進める。SPGはガラスであり、電気を通さない。そこで、メッキを施すことによって通電性を持たせ、新たな用途開発を目指す。ターゲットの一つが空気清浄システムへの応用だ。SPGはゴミだけでなく、ウイルス除去にも活用できると見ている。

 また、水をSPG膜に透過することで、水のクラスターが小型化することが分かっている。肌の奥までしみ込むなどの効果が期待でき、このテーマの研究を継続する。

SPGテクノ(株)


会社名
役割分担
■コア企業
SPGテクノ(株)
SPG製造
吉玉精鍍(株)メッキ開発
宮崎大学工学部触媒研究
宮崎県食品開発センター触媒研究



SPGテクノ(株)<br>中島昇社長

SPGテクノ(株)
中島昇社長

【シラス多孔質ガラスの応用製品拡大】

 SPGテクノ(宮崎県佐土原町)は、シラス多孔質ガラス(SPG)技術を用いた応用製品を複数発売し、売り上げを徐々に伸ばしている。SPGの応用範囲は多数あると見ており、新連携の認定を受けて製品開発体制を拡充する。

 SPGは南九州に豊富に存在するシラスを主原料に、宮崎県工業技術試験場(現宮崎県工業技術センター)が開発した新しい素材だ。

 このSPGには直径50ナノメートル(ナノは10億分の1)から20マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の微細な孔(あな)が多数存在し、この孔の大きさを人為的に自由に変えられるのが最大の特徴といえる。

 機能性を有するガラスとして精密濾過、乳化などさまざまな方法や目的に利用されている。この技術は宮崎県の資源を有効利用し、宮崎県の公設研究機関が開発したものであることから、宮崎県が技術利用促進を支援している。

 SPGテクノは、SPGの技術を用いて高度医療や食品分野などの応用製品を開発することを目的に96年に設立した。現在、SPGそのものの「SPG膜」や、SPG膜で濾過した飲料水、SPGスプレーなどを販売している。水をSPG膜に透過し「水の分子のクラスターが、より小さく均一化される」(中島昇社長)ことで、通常の水とは異なる効果が期待できるという。

 クラスターが小さくなることで「肌の奥まで水が浸透し、保湿力が高まる感覚がある」(同)としている。顧客にはリピーターが多い。


【空気清浄システムなどに応用】

 新連携では、メッキなどの表面処理を行っている吉玉精鍍(宮崎県延岡市)がパートナーとなり、研究を進める。研究テーマの一つは空気清浄システムへの応用だ。SPGにある多数の微細孔は「3次元的な網目状」(同)に形成されており、黒煙に含まれる汚れやウイルスなどを除去する機能も期待できる。除去後、微細孔に詰まったゴミを処理する必要があるが、SPGはまだ高価なため使い捨てにできない。

 そこでSPGにメッキ処理を施して通電性を持たせる研究を進めている。SPGに電気を通して加熱し、微細孔のゴミを炭化できれば「何度でも使えるようになる」(同)という。

 空気清浄システム以外にも、界面活性効果を生み出す水や水透過技術などの研究を進めていく方針だ。SPGが開発されたのは1981年で、20年余りしかたっていない。応用範囲が広く「さまざまな産業での活用が見込まれる」(同)技術である。新連携の認定を機に製品開発をより進めると同時に、展示会に出展するなど「マーケティング活動を充実させる」(同)構えだ。