食料・食品/北海道 「レトルト食品用自動販売機による北海道らしい食品の販売」

パッケージに入ったままのレトルト食品を加圧・電磁調理する自動販売機を開発し、北海道らしい食材を使った温かい食品を販売する。

 たこ焼きや焼きおにぎりなどの冷凍食品を加熱・調理して提供する自動販売機はあるが、レトルト食品の自販機は例がなかった。これにより「おでん」や「イカめし」などの煮物、「点心」などの蒸し物についても、うまみを保ちながら販売できる。

 常温で流通・供給できるためコスト面の利点もある。地元の道南地域には地場食材を生かしたレトルト食品加工工場が約60社あり、北海道ブランドを生かしたメニュー開発の条件もそろっている。

 連携には自販機の設計開発とメンテナンス企業が加わっているほか、地域の産業振興に熱心な函館地域産業振興財団も正式なメンバーとして参加。継続的に食材・メニュー開発などの支援を受けることができる。

 高速道路や鉄道事業者などから、自販機設置を希望するオファーも入っており、各種の認可申請が済み次第、1号機を設置する予定。今後3年間で、1000台の自販機設置を目指している。

(株)味のネットワーク


会社名
役割分担
■コア企業
(株)味のネットワーク
販売機特許パッケージ開発
(有)コムテック設計/開発
(株)絆ワールドクリエイト自動販売機の管理
(財)函館地域産業振興財団食材開発



(株)味のネットワーク<br>構良一社長
(株)味のネットワーク
構良一社長


【レトルト食品の自販機開発】

「湯煎(ゆせん)で温めるとおいしいレトルト食品を、電子レンジのスピードで手軽に提供したかった」。味のネットワークの構良一社長は新事業の狙いを説明する。レトルト食品を加熱・調理する自動販売機を開発し、北海道らしい食材を使った温かい食品を、消費者に直接販売する仕組みを事業化しようと準備している。

 同社の現在の事業は北海道産食材のカタログ通信販売が主力。ギフト需要が中心となるため「夏と冬に仕事が偏ってしまう」(構社長)ことが経営拡大のネックになっていた。「カタログ販売に代わる新たな販売方法はないだろうか」(同)という模索から、レトルト食品の自販機ビジネスは生まれた。

 2000年には、350ミリリットルのビール缶にキャップ状のカプセルを載せ、松前漬けなどのおつまみを入れて500ミリリットルサイズにして自販機で販売するビジネスを考案。ホテルで試験販売を行う予定だったが、自販機所有権の問題などから断念した。「それでも、ホテルには手軽に食品を販売したいニーズがあることだけは分かった」(同)。こんな試行錯誤がレトルト自販機事業の伏線になっていった。

【自販機設計・メンテ、食材開発会社と連携】

今回開発した自販機は加圧電磁方式。圧力をかけた状態で“電子レンジ”を使うといってもいいだろう。パッケージの破裂や、食材の変形なしにレトルト食品を温めることができた。すでに「イカめし」、「海鮮おでん」、「3色(カニ、エビ、肉)シューマイ」の3商品が完成。新たな食材開発にも力を入れている。

 レトルト食品用自動販売機の発想は米国で生まれた。2002年にシカゴで開かれたホテル業界向け展示会の会場だ。函館の異業種交流グループが「綿菓子自動販売機」をつくり、この展示会に出展。視察に行った構社長に、ある米国人が「肉やハンバーガーを温めて売る自販機があればおもしろい」と話しかけてきた。「その時、レトルト食品の自販機というテーマが浮かんだ」(構社長)という。

 異業種交流グループのメンバーからは自販機を設計できる会社を紹介され、グループのバックアップをしていた函館地域産業振興財団の支援による食材開発スキームもできた。新連携認定につながる基本的な構図がこのとき形成された。

 北海道の道南地域は食品加工会社が集中している。味のネットワークが行っているカタログ通販用の委託仕入れ先も約30社ある。このうちレトルト加工ができる会社は20社。「加工条件などの技術ノウハウを提供すれば、自販機向け食材は容易につくれる」(同)。地域の食品会社との連携や、自販機のメンテナンス業務の展開など、単独ではできない広がりのある事業になってきた。連携の広がりが新事業の命運を握っている。