製造/九州 「平鋼をスパイラル状に加工したねじり平鋼の製造販売−基礎杭、支持杭の高付加価値化を図る−」

小型のスパイラル需要を開拓する

 コア企業のGT・スパイラルは「ねじり平鋼」など開発力に優れているが、量産・組み立て技術や販売、市場ニーズの把握などは苦手。それを補うために天草池田電機と連携した。また大学や高専、熊本県関連機関などの幅広い支援を受けた。05年度は市場調査、サンプル製作、試験販売の段階まできた。

 今後は従来の土木・建築、農業向けのユーザーだけでなく、一般消費者を対象に製品開発を進める方針。テントの吹き上げ・転倒防止器具は、その第1弾。天草池田電機がGT・スパイラルからスパイラルの供給を受け、組み立て・量産と販売を行う。価格は4本組で8380円に決め、本格販売の準備を進めている。

 GT・スパイラルが新連携を利用したもう一つの狙いは、スパイラルの用途拡大。これまで「大地のネジ」として、大型スパイラルの需要に対応してきた。今回のテントの吹き上げ・転倒防止器具を皮切りに、小型の一般生活向けを実用化する。新連携でさまざまな分野の支援を受けるとともに交流を続けている。この連携関係を今後の用途開発に生かしていく考えだ。

GT・スパイラル(有)


会社名
役割分担
■コア企業
GT・スパイラル(有)
製法特許
天草池田電機(株)加工/生産
崇城大学研究/開発
八代工業高等専門学校研究/開発
(株)くまもとテクノ産業財団知的支援
知的所有権センター知的支援



GT・スパイラル(有)<br>後藤常郎社長

GT・スパイラル(有)
後藤常郎社長

【ねじり平鋼でテントの転倒を防止】

 コア企業のGT・スパイラルが持つ技術は「ねじり平鋼」。平鋼に特殊なねじり加工を施してスパイラルをつくる。丸棒に平鋼を巻き付けたスクリューと比較すると、「スクリューの溝が1条なのに対し、スパイラルは2条」(後藤常郎GT・スパイラル社長)という。同社はスパイラルを杭(くい)に用いることが多い。現在、緩い地盤や干潟などの「大地のネジ」(同)として、土木・建築、農業用などの構造物を支持する杭に使われている。

 このスパイラルを利用したテントの吹き上げ・転倒防止器具「テントペグ(商品名)」を開発し、全国に販売しようというのが今回の新連携。テントを地面に固定する鉄の棒杭は抜けやすいからだ。

 テントの吹き上げ・転倒防止器具は、L字に曲げた平鋼とスパイラルで構成する。使い方は、地面と直角になる平鋼の片方をテントの支柱に固定し、平鋼のもう一方をスパイラルで地面にねじ込む。「頭部を金槌(かなづち)でたたくだけで簡単にスパイラルが地面に入る」(同)。抜く場合は、平鋼の片方をテント支柱から外し、スパイラルを中心にくるくる回せば抜ける。「てこの原理で、平鋼を2回転半、回せば抜ける」(同)という。


【06年の年明けから本格販売】

 連携先の天草池田電機は、主に電子部品を生産している。その量産能力や技術、販売能力などに期待している。崇城大学には、杭としての機能性など裏付け実験やデータ収集を依頼している。また熊本県工業技術センターには、ねじり加工機をつくる際に指導を受けた。テントの吹き上げ・転倒防止器具以外にも、スパイラルの用途開発を行っている。八代工業高等専門学校には、配管内に使用する場合の研究を依頼した。

 新連携の支援体制が整ったことにより開発、製造、販売、金融、知的財産権など「総合的な事業展開ができるようになった」(同)。中小企業にとって、自力での全国展開は難しい。大手電子部品メーカーの系列工場から独立した天草池田電機にとっても、待望の自社製品となる。「両社とも『テントペグ』の販売に大いに期待している」(同)という。

 両社は製品化後の生産技術や販売などを協議しているが、遠距離なのですり合わせがスムーズでないのが課題。また、この事業に対するスタッフが少ない。こうした中で試験販売を行っており、スポーツ・アウトドア用品販売会社のカタログに掲載されることが決まっている。学校やスポーツ用品店などに「約14万部配布される」(同)という。

 狙いは学校、幼稚園などの運動会やキャンプで使用するテントの吹き上げ・転倒防止だ。本格需要は4月から夏、秋にかけて。後藤社長は「06年の年明けから本格販売を始めたい」と、新連携による事業展開に意欲を燃やしている。