製造/沖縄 「サーマルリサイクル技術を応用した完全自動型高性能焼却設備の販売」

燃焼室の温度制御技術を確立

 焼却炉の焼却制御技術を持つコア企業のトマス技術研究所(沖縄県沖縄市)と、自動制御盤の加工技術・運転作業プログラム技術を持つ大成電機製作所(沖縄県南城市大里)、自動投入装置の開発技術を持つ琉球動力(沖縄県沖縄市)が連携。

 廃食油・廃油を燃料化するサーマルリサイクル技術を応用した燃焼室の温度制御を行うことで、多種多様のゴミ種の投入に対応できる無人運転可能な中型焼却設備を開発・販売する。

 琉球大学、沖縄県工業技術センターからの技術支援、街クリーンからのデータ提供、沖縄プラント工業のマーケティング支援を受ける。商工組合中央金庫、沖縄振興開発金融公庫が低利融資を行った。

 トマス技術研究所は、すでに小型焼却炉でタイヤを燃やしても煙が出ない無公害技術を完成している。中型装置はこの技術を引き継ぐうえ、廃食油・廃油も燃料にできる多機能機。県内外の産廃処理業者、小規模自治体、ホテル、病院などの幅広い需要を見込む。

トマス技術研究所


会社名
役割分担
■コア企業
トマス技術研究所
焼却炉の設計
(有)琉球動力自動投入装置の開発
(株)大成電機製作所制御プログラムの開発



トマス技術研究所<br>福富健仁社長

トマス技術研究所
福富健仁社長

【タイヤでも煙が出ない焼却炉を中型設備に】

 2004年に開かれた第28回沖縄県産業まつりで、特許・実用新案の部の県知事最優秀賞を受賞したのが、トマス技術研究所(沖縄県沖縄市)の小型焼却炉「チリメーサーTG−49型」だ。完全自動運転で、タイヤを燃やしても煙が出ず、ダイオキシンの発生も極めて少ないという高機能ぶりが注目を集めた。2003年に特許を出願している。

 この小型焼却炉の処理能力は1時間当たり混合雑芥45キログラム以下、廃プラスチック10キログラム以下。沖縄以外はヤンマーを代理店として産廃業者、土建業者、病院、ホテル、神社、ペット火葬業者などに合計23台を納入した。

 こうした実績を背景に処理能力を1時間当たり混合雑芥195キログラム(廃プラ類10%以下含む)に高め、廃食油・廃油も燃料に使えるサーマルリサイクルを可能とした全自動型の中型焼却設備を開発しようというのが新連携計画の骨子だ。

 焼却炉の設計を行うトマス技術研究所は、福富健仁社長が2003年にプラントメーカーから独立して設立した。連携体を構成するのは、いずれもプラントメーカー在籍時に仕事の腕前を認め合った他社の仲間たち。制御プログラムを開発する大成電機製作所(沖縄県南城市大里、吉田敏彦社長)は1987年創業の優良企業。自動投入装置を開発する琉球動力(沖縄県沖縄市)は、知念保社長が2004年にプラント機械設備施工会社から独立して設立した。

 プロ意識の強い連携体だけに、意思の疎通は良好。「設計図・施工図ベースで原価計算しながら運営していく。2006年2月には3社の取り決めを明文化したい」(福富社長)という。


【無人運転で、廃食油・廃油が燃料】

 中型焼却設備の開発は着々と進んでいる。廃食油・廃油を燃料に使うために、焼却システムの廃熱を利用して燃焼効率を高める技術開発をすでに終えている。ダイオキシン、煤塵、窒素酸化物、塩化水素の濃度、硫黄酸化物の排出が法規制値より圧倒的に少ない多機能・無公害装置の1号機は「2006年8月ごろに完成する」(福富社長)見通しだ。

 沖縄県内外における産業廃棄物処理や離島・僻地の町村における一般ゴミ処理は、大きな環境問題となっている。既存の中型焼却設備では多種多様なゴミに対応できないうえ、全自動装置がないことが要因の一つとされている。このため、早くも「産廃業者から引き合いがある」(同)という。

 新連携で開発する中型焼却設備の当初の生産能力は3カ月に1台の予定。トマス技術研究所は2005年12月期に約7000万円だった売上高を2006年12月期2億5000万円、2007年12月期3億5000万円に伸ばす計画だ。この新連携は、沖縄県産の素材に頼らない産業を育成するという点でも注目を集めている。