製造/東北 「新光学素子による同時多面検査測定等装置」

狙うは画像処理、画像検査分野

 新光学素子「クロビット」を用いて、同時多面検査測定装置などの装置を開発する。クロビットは光学ガラスの塊で、「ワークの大きさ、見る方向、使用するカメラレンズなどによってガラス層の厚みを決めるので、標準品はない」(新保社長)。今後、市場開拓していくためには「これまで世の中になかったものなので、電話口ではよく理解してもらえないし、アポをとるのが大変」(同)というように、顧客に対するアプローチが課題となっている。

 クロビットを用いた検査・測定装置の市場として狙っているのが、画像処理、画像検査の分野。すでに2005年12月までに、クロビット単体での納入を含めて10件の実績がある。とくに、装置開発のノウハウのある大手メーカーには単体で納入することもあるという。クロビットの価格は受注個数にもよるが、5万円から100万円。

 ワークのサイズは50ミリ角ぐらいまでを見込んでいるが、ドリンク剤のビン全周を検査する装置も可能となっている。今後は「顧客のさまざまな要望に応えて、検査測定装置を開発していきたい」(同)としている。初年度の売り上げ(2006年3月期)は3300万円を見込む。

(株)クロビットジャパン


会社名
役割分担
■コア企業
(株)クロビットジャパン
設計/販売
(株)テクニカル光学測定装置の製造
(株)弘前機械開発検査/測定装置の製造



(株)クロビットジャパン<br>新保誠社長

(株)クロビットジャパン
新保誠社長

【卓越した技術で連携強化】

 クロビットジャパンはテクニカル、弘前機械開発と共同で、新光学素子「クロビット」による同時多面検査測定器装置などの製造・販売に取り組んでいる。キーテクノロジーのクロビットは、プリズムメーカーであるテクニカルの山内一秀社長が考案したもので、距離の違う複数の対象を同じピントに補正する特殊な光学系(ガラス層)を用いて、数カ所に一方向から一度に焦点を合わせることができるように設計された新光学素子。

 このクロビットによる新事業を立ち上げるため弘前機械開発と共同出資で、2005年2月に設立したのがクロビットジャパン。新連携ではクロビットジャパンがコア企業となり、同素子を応用した検査・測定装置などの設計と営業を行っている。連携企業のテクニカルは同素子の製造、弘前機械開発は装置の製造を担当している。

 連携によるメリットは、「各企業がそれぞれの分野で卓越した技術を持っており、それが新しい事業の基盤になっている」(新保誠クロビットジャパン社長)点で、これが同社の強みにもなっている。

 テクニカルは、量産品プリズムの生産拠点が東南アジアなど海外に移転する中にあって、大量生産には向かわずに国内で高精度・高品質の試作品製造を柱としている特殊プリズムメーカー。「国内で試作する場合、必ず必要となる分野」(新保社長)で、技術力については大手光学機器メーカーから高い評価を得ているという。また、弘前機械開発も自動機などの各種機械装置の設計から製造までを手がけている企業で、「そういう(技術力の)バックグラウンドがあって、顧客に信頼してもらえるものを納めることができる」(同)としている。


【検査コスト削減、省スペース化に貢献】

 同素子の応用分野としては、例えば加工部品を上、下、横の3方向から同時に検査する場合、カメラは3台必要となるが、同素子を利用すると、1台のカメラで同時に複数画像の撮影が可能で、展開図のようにモニター画面に映し出すことができる。カメラだけでなく、画像処理のコンピューターなども1台で対応できるようになり、コスト面に加えて省スペース化を図れるメリットがある。

 また、従来は観察が困難だった円筒形、コネクターの中や、へこんだ部分も正面から見ることができる。円筒形を検査する場合は、表面を120度ずつ分割して、全周を正面から見えるようにできるなど、部品の形状に応じてさまざまな検査装置に利用することが可能になっている。
 さらに印字、刻印するレーザーマーカーで、被加工物(ワーク)の上・下面に印字する際、通常はワークをひっくり返すか、レーザーマーカーを2台使わなければならないが、クロビットを用いると複数面に一方向からのレーザー照射が可能となり、ワークを移動する必要がなくなる。