製造/近畿 「京都試作ネットを基礎にした新たな試作ビジネスの確立」

試作から設計、量産化にいたる一貫したビジネスモデル

 メーカーモデルとして「省電力・省スペース・軽量な卓上試作装置」を開発するとともに、試作フランチャイズ・チェーンを構築する。また「悉皆屋(しっかいや)モデル」として、加工業者によるソリューション提案ビジネスを展開。この2本柱で、試作から設計、量産化にいたる一貫したビジネスモデルを構築し、新たな試作市場を開拓する。

 試作ネットに参画する企業は、中心的存在である最上インクスのほか秋田製作所、生田産機工業、川並鉄工、衣川製作所など、京都南部に拠点を置く企業が多い。業種も各種金属加工から表面処理、プリント配線板などを網羅。幅広いニーズに対応できる体制ができている。これらの企業群が、テーマに応じて有機的に連携し、迅速に対応することで、「日本一の試作品製作集団」を目指そうとしている。

(有)京都試作工房


会社名
役割分担
■コア企業
(有)京都試作工房
プロジェクトマネジメント
(株)最上インクス構想
(株)秋田製作所(ソフト設計)
(株)衣川製作所制御システム
(有)日双工業(三次元加工)
山本精工(株)(ナレッジマネジメントシステム)
(株)プレス技術研究所プレス改造、販売



(有)京都試作工房<br>鈴木三朗社長

(有)京都試作工房
鈴木三朗社長

【中小12社が試作ビジネスの新モデル開発】

 「京都試作ネット」は京都の中小加工業者12社による試作受注団体だ。その前身は、1990年ごろから京都の機械金属加工業団体「京都機械金属中小企業青年連絡会」の数社が集まって開いていた経営の勉強会。新規顧客開拓を目指して紆余(うよ)曲折しながら2001年、最上インクス(京都市右京区)など10社が集まり、ホームページ(HP)を経由した共同受注を始めた。その際、一品ものの試作への特化を決意し、京都試作ネットが誕生した。

 同ネットの代表で、京都試作工房の社長を兼ねる最上インクスの鈴木三朗社長は「当初、われわれのような加工業者にはインターネットは関係ないと考えていた」と振り返る。しかし新規顧客開拓は差し迫った課題。必死でインターネットを勉強してスタートにこぎつけた。

 京都試作ネットは一つの試作案件ごとにプロジェクトを組み、共同で受注案件をこなす。それが思わぬ成果を生む。最たる例が設計技術の強化。メンバー企業のCADシステムを共通化し、データのやりとりをしやすくしたことで、各社に点在していた設計技術者の実力が相乗的に向上した。これが後に設計段階からの一括受注体制への業務拡大につながった。


【年間2億5000万円超の規模に】

 京都試作ネットの開始から4年。「問い合わせから営業時間2時間以内の回答」を約束したHP経由の売り上げは、年間2億5000万円を超えた。これを受けて2005年3月に同ネットの運営法人「京都試作工房」を設立し、同年10月には株式会社化した。経営の自由度は高まり、今後は受注拡大に向けて専任の営業マンを雇う計画だ。

 体制を整えた後、今後数年以内に試作産業のフランチャイズ・チェーン(FC)事業を始める方針。試作専門家の個人開業を奨励し、京都市周辺に集積させることで「試作のまち京都」を形成する。「京都を『試作なら京都に任せれば大丈夫』という存在にする」(鈴木社長)。

 「物理的距離の近さが連携の命」と語る鈴木社長の理想は、職人が一つの地域に集まり、悉皆屋(しっかいや)が職人群をプロデュースし、一品づくりをした全盛時の京都・西陣だ。法人へ発展した試作集団は「試作のまち」づくりという大きな夢へ向かって確実に歩みを進める。