製造/近畿 「高機能な多関節ロボットを利用した機械部品の水中洗浄システムの開発及び販売事業」

既存技術へ挑戦、新しい洗浄方式を確立 

 自動車のエンジン関連部品をはじめとする機械加工部品は小型化・高機能化が進んでおり、切り粉や研磨くずなど小さな残留異物が致命的な欠陥になりかねない。そのため、洗浄装置に求められる性能も高まってきている。

 このため、自動車関連向け部品洗浄装置で多くの納入実績を持つ森合精機をコア企業に、ノズルの製造・販売を行ういけうち、液濾過技術を保有するワイドエンジニアリングの3社が連携。既存装置の問題点を解決する全く新しい洗浄装置の開発に乗り出す。

 まずノズルの形状を含めて、水中洗浄を可能にする低圧・低エネルギーの新方式を確立。確立した方式に高機能な多関節ロボを組み合わせ、最適な位置・角度で機械部品を水中洗浄できるシステムを開発する。
 森合精機は洗浄装置メーカーとしての知名度が高い。販売は森合精機が持つ独自の商社ネットワークを活用して行う。自動車や建設機械、工作機械を中心に、2008年度までの3年間で計30台の販売を目指す。

森合精機(株)


会社名
役割分担
■コア企業
森合精機(株)
プロジェクト統括/事業化
(株)いけうちノズル開発
(株)ワイドエンジニアリングポンプとろ過装置開発



森合精機(株)<br>森合政輝社長

森合精機(株)
森合政輝社長

【水中洗浄を採用、低圧・低エネルギーの新方式確立へ】

 自動車部品や機械部品が本来持っている機能を最大限に発揮するには高い清浄度が不可欠。そのため、部品生産における洗浄の重要性の認知度が高まっている。
 現在、機械加工部品の洗浄装置は、ノズルを効果的に配置して水を高圧噴射し、異物を吹き飛ばす気中洗浄が主流。だが、(1)期待したほどの清浄度が得られない(2)洗浄対象に汎用性が乏しく、1部品につき1台の装置が必要になる(3)対象物の大きさに比例してノズル数が増え、装置が大型化する−など多くの課題がある。そうした背景もあり、高い洗浄能力を持つ装置へのニーズが高まってきている。

 森合精機(兵庫県明石市)をコア企業とする新連携事業のポイントは、水中洗浄をベースとして多関節ロボットを活用すること。水中洗浄と多関節ロボを組み合わせて新しい洗浄方式を確立し、低エネルギーかつ高性能の洗浄装置を開発する。

 現在、機械加工部品はほとんどの場合、気中洗浄が採用されている。そのため切り粉や研磨くずなどの異物を除去するには、高い噴射力が不可欠だ。しかし水中では噴射圧力が減衰するため、除去するべき異物が残ってしまう恐れがある。
 水中での噴射力の減衰を解決するため、ノズルメーカーのいけうち(大阪市西区)と共同で、ノズル形状を含めて新しい洗浄方式を確立する。既存の水中洗浄システムは10メガパスカル以上が主流だが、それよりも低圧力・低エネルギーを実現する新方式を模索し、洗浄効果を検証する。

 新しい水中洗浄方式と多関節ロボを融合し、汎用性の高い機械加工部品向けの水中洗浄装置を開発する。ノズルを搭載した多関節ロボをコンピューター制御し、洗浄するポイントを的確に狙う仕組みだ。液濾過技術を持つワイドエンジニアリング(高松市)などと連携し、残留異物の重さが3ミリグラム以下、長さが1ミリメートル以下の洗浄精度を目標に装置化を進める。

【独自の販売ネットワークで早期に事業化】

 2006年6月までに試作機を開発し、同年7月からサンプル出荷する。「将来は標準機として量産化する」(森合精機の松村繁廣装置事業部開発課課長)方針だ。開発後の生産・販売も森合精機が行う。同社は自動車関連メーカーを中心に、各地域で有力な商社と強いつながりを持っている。そのルートを活用して、各商社の協力を得ながら開発商品を販売する。「メーカーの使命は売れる商品をつくること。価格は2000万円程度に設定したい」(森合政輝社長)と導入費用の低減にも意欲を示す。

 「どんなに新しい技術や画期的な装置を開発しても、軌道に乗るまで最低5年かかる。自動車関連で仕事量が確保できている今だからこそ5年先、10年先を見越した開発が必要だ」と森合社長は断言する。今回の開発は、気中洗浄が主流である既存装置への挑戦であり、森合精機が継続的な成長を続けるための布石でもある。