製造/近畿 「多機能性皮革織物における素材開発・商品開発並びに事業化」

多機能性皮革織物で産業資材分野へ進出

 京都高度技術研究所の2002年度新事業可能性調査事業で生まれた「除電絹織物」「除電皮・絹織物」の織物技術をベースにして、多機能化した皮革織物の素材および商品の開発を行う。織物のベース材料としてフッ素塗料を使用した撥水・撥油・防汚性を持つ特殊皮革を短冊状の糸状に加工する。これに抗菌性や放電西陣織の伝統的な織物技法を使って織物に仕上げる。

 具体的な織物商品として航空機や鉄道、自動車の内装資材、家電、衣料、家具、小物などを想定。まず2007年度に航空機や鉄道、自動車用皮革織物の商品化を狙う。また、この事業を通じて、低迷した西陣織物業界の活性化を図り、新規市場の開拓や新規雇用の促進、日本の伝統技術の世界発信も目的にする。マーケティング専門会社とも連携して市場調査を積極的に行い、素材、商品の両面から国内外の展示会に出展する計画。

(株)アウラ


会社名
役割分担
■コア企業
(株)アウラ
全体的な開発プロデュース
(株)山本弘商店機械設備/試作等
(株)竹中テキスタイル織物設計等
(株)ナダヤ糸条/スキなど加工技術
(株)JMRサイエンス市場調査
森義皮革工業所素材加工



(株)アウラ<br>野々村道信社長

(株)アウラ
野々村道信社長

【皮と伝統的織物の融合で商品開発を推進】

 「新連携のプロジェクトは、ぜひやらねば」−。アウラ(京都市下京区)の野々村道信社長は強い使命感と決意を持って、中小企業活性化支援で国が打ち出す「新連携事業」に取り組んでいる。同社は建築内外装素材の企画開発で独自の道を歩んできた。顧客に認められる素材・商品をつくるため、20年以上前からさまざまな企業とのアライアンスを積極的に手がけ、多くの商品を開発している。

 野々村社長は「自分一人でできることは限界がある。そのため多くの業界の人とのネットワークを大切にしてきた」と振り返る。建築内外装案件で1000を超えるプロジェクトを実現させ、「アウラトーン」と呼ぶ独自の装飾素材も開発してきた野々村社長は、連携の重要さを肌身で感じている。

 今回の新連携事業の目標は、西陣織の技法と皮素材を活用して新素材を開発、商品展開することで、西陣織業界の活性化につなげたい考え。事業の参画者はアウラ以外に、織物技術を持つ竹中テキスタイル(京都市上京区)、織物機械設備を提供する山本弘商店(同上京区)、皮加工をするナダヤ(大阪府東大阪市)、素材加工の森義革皮工業所(兵庫県龍野市)などの中小企業が中核となる。これにフッ素加工や抗菌性などを施した高付加価値素材の提供でダイキン化成品販売やユニチカガーメンテックなども参画する。

 皮を織物にすることで商品展開の自由度はかなり広がる。現在、取り組んでいるのは航空機や鉄道車両、自動車などの内装資材用皮革織物の開発だ。「商品化のハードルが高いこれらの用途開発をまず手がけ、他の商品への展開を図る」(野々村社長)のが狙い。多機能性皮織物の商品開発を加速させ、事業の売上高で5年後に8億円、10年後に100億円を計画する。


【個人のノウハウ、技術もすべてガラスばり】

 連携事業を成功させるため、強固な人的ネットワーク構築も必要になる。連携組織の運営で求心力の役割を果たす野々村社長は「みんなが1人のため、1人がみんなのために当たり前に動けるかがポイント。自分の持っているノウハウや技術を全部ガラスばりにして提供し、事業で得た利益還元も最適配分が必要。それをしないと連携はうまくいかない」と語る。

 21世紀のビジネスモデルは、企業規模に関係なく、いかに最適なアライアンスを組めるかが重要となる。中小企業でもオンリーワンのノウハウや技術、商品を持ち、企業や大学との連携が機能すれば、大きなビジネスができる。
 「皮と織物が融合したマテリアルのブランド化、日本のモノづくりの尊厳の復興、商品の世界標準づくりを狙いたい」−。今回の新連携事業に臨んで力強い抱負を語る野々村社長は、大きなビジネスとして成功させるようと動き回る日々が続いている。