生活/四国 「新素材(パイル地)を使ったパジャマの開発・販売」

地域の資源を活かして産学が連携

 高度な縫製加工技術を持ちデザイン部門の強化を図る楠橋を中核とし、タオル生地製造会社の齋藤、生地に最適な糸を提供できる糸卸の田窪や、愛媛県繊維産業試験場が連携して、パジャマ用のタオル素材を開発する。

 さらに山本学園松山女学院専門学校がデザイン面で協力し、新素材を使ってオリジナルのパジャマを開発する。

 開発するのは厚くて重いパイル地ではなく、軽くて薄く、しかも肌触りの良い素材生地で、快適性、速乾性、通気性の向上を図るほか、今日のライフスタイルにパジャマの利点を融合させた部屋着としても十分着用できる商品とする。

 大手アパレルメーカーの協力を得ながら、その販売網を通じて全国に販売する。

(株)楠橋


会社名
役割分担
■コア企業
(株)楠橋
縫製加工
(有)斉藤タオル織り
田窪(株)糸提案/供給
山本学園デザインの提案
愛媛県繊維産業試験場タオル織り研究開発



(株)楠橋<br>楠橋康弘社長

(株)楠橋
楠橋康弘社長

【提案型企業へ脱皮を目指して】

 楠橋(愛媛県今治市)は、1953年4月に発足した輸出用アパレル製品加工の楠橋布帛(ふはく)に端を発する。その後、中近東やアフリカ向けにアパレル製品の製造販売を手がけて業容を拡大、1976年10月に現社名に変更し、現在、国内大手アパレルメーカーや有名百貨店へ婦人服のオリジナル衣料製品を供給している。

 楠橋康弘社長は「国内の繊維産業、とくに受注型の縫製業は、仕事が中国へ移行して業界全体で2−3割仕事が減少した」と厳しさを訴える。楠橋も受注型の縫製業だが、適切な対応で、仕事量も利益率も今のところ順調に推移している。

 しかし「このままでは先細り。言われた製品をただ生産するのではなく、逆に提案する企業でないと生き残れない」(楠橋社長)と、異業種との連携により「提案型企業」への転換を目指すことにした。


【適切な助言に心強さ、異業種連携に期待】

 2005年7月25日に四国経済産業局から異分野連携新事業分野開拓計画に認定された。連携したのは、タオル製造業の齋藤(愛媛県今治市)と、工業用ミシン糸などを手がける田窪(同市)。愛媛県繊維産業試験場(同市)が技術面で、山本学園松山女学院専門学校(松山市)はデザイン面でそれぞれ協力する。

 「商品開発や販路開拓への適切な助言がもらえて心強いうえ、商習慣などの違いを乗り越えてタオル業と縫製業が一緒に仕事できる。これが地域活性化の起爆剤になれば」(楠橋社長)と連携に賭ける思いは強い。

 各者はなるべくオープンにして地域に役立つことを信条とし、とくに約束事は設けていない。連携の最終目標は、軽くて薄く肌触りの良いパイル地を使った素材を開発し、部屋着としても十分着用できるパジャマを商品化することだ。

 「異業種からのさまざまな情報が新しい発想として従来の衣料品に生かせ、提案型企業への転換を促進するほか、連携そのものが地域の活性化に役立つ」(同)と多くのメリットを挙げる。

 「生地の開発は順調だが、パジャマの価格設定は厳しい。どれだけコストダウンできるか。さらに製品の企画から販売までトータルで理解できる人材育成も必要」(同)と、ビジネス化に向けた課題を二つ掲げる。

 楠橋の2005年7月期の売上高は4億2000万円。2006年7月期は5億4000万円が目標で、パジャマ単独では5年後の2010年に4億円の売り上げを目指す。異業種の新連携に寄せる期待は大きい。