製造/中国 「高度表面処理を施したマグネシウム製品の製造・販売」

高品質・低コスト製造プロセスを確立

 岡山県内の産学官6者が連携してマグネシウム合金筐体製造プロセスの研究に取り組んだ2003、2004年度の地域新生コンソーシアム研究開発事業の成果の延長。導電性陽極酸化被膜の形成や、チクソモールド法による鍛造マグネシウム合金の高品質・低コスト製造プロセス、仕上げ加工の自動化などにより実現した。

 従来のメッキ処理はシアン化銅メッキの場合、マグネシウムと銅のイオン化傾向の差で、境界面のマグネシウム合金が腐食する問題があった。新連携計画では、導電性を持たせた陽極酸化処理技術を利用して、マグネシウム合金の表面に1−2マイクロメートル程度のアルミなどを含む複合酸化被膜を形成し、これにニッケル、銅などのメッキをする。

 腐食を防ぎ、導電性も高める複合酸化被膜は表面がアンカー効果のある凹凸構造で、メッキの密着性向上にも寄与している。シアン、クロムなどの有害物質も使用しないうえ、質感や光沢感に優れた製品に仕上げることが可能だ。製造コストも従来工法に比べ30%程度抑える方向で事業化を目指す。

オーエム産業(株)


会社名
役割分担
■コア企業
オーエム産業(株)
全体統括/めっき処理
アーク岡山(株)成形加工/研磨処理
堀金属表面処理工業(株)めっき下地処理



オーエム産業(株)<br>難波圭太郎社長

オーエム産業(株)
難波圭太郎社長

【マグネシウム合金へのメッキ技術確立】

 マグネシウムは軽量で高強度なのが特徴。ノートパソコンや携帯電話などのデジタルモバイル製品から自動車関連まで幅広い分野で注目されている。しかし、腐食しやすい金属のため使用用途が限られていた。こんなマグネシウム合金の用途拡大につながる高品質表面処理を施したマグネシウム合金の製造・販売をテーマとした新連携計画がスタートした。

 連携したのはマグネシウム合金の成形加工からメッキ処理までの固有技術を持つ3社。コア企業のオーエム産業(岡山市)は優れた被膜密着性、耐久性を備えたメッキ加工を行う。連携企業の堀金属表面処理工業(静岡県掛川市)は複雑な前処理が不要な導電性陽極酸化被膜によるメッキ下地処理技術、アーク岡山(岡山県真庭市)はマグネシウム合金の成形加工や研磨処理技術をそれぞれ得意としている。

 新連携により、技術面では互いの懐に一歩踏み込んだ開発を進めてきた。営業情報の共有といったメリットもあった。毎月1回、定期的に会合を開き、スケジュールの進ちょく状況を確認しているほか、技術レベルでのすりあわせを行っている。「認定を受けたプレミアムによって、知名度も上がった」(難波圭太郎オーエム産業社長)とし、連携によるデメリットはないという。

 メッキは塗装に比べ、光沢が出せることや傷が付きにくく、電磁波シールド性能も向上するなど優れた面が多い。だが、直接メッキした場合、密着性や耐食性が低下するため、これまではメッキが必要な部品へのマグネシウムの使用はほとんどなかった。こうした中で岡山県工業技術センターや岡山県立大学などとの技術提携で、小型軽量品の製造に適したチクソモールド法による鋳造成形技術や、マグネシウム合金の腐食を防ぐ下地への導電性陽極酸化処理技術を開発し、問題点をクリアしていった。


【2006年度の事業化目指す】

 新技術は実験室レベルでは完成しており、試作品依頼も数多くきている。現在、メッキの量産ラインを建設中で、近く完成する予定。マグネシウム合金へのメッキ加工ニーズは高く、「早く対応してほしいというユーザーの声もあるが、量産レベルでの確認ができておらず、実用化は2006年度になる見込み」(同)という。

 ニッケルや銅などにメッキを施したものをサンプルとして用意している。販売面ではオーエム産業がパソコン、ポータブルオーディオなどの家電製品、堀金属表面処理工業が自動車部品、アーク岡山が携帯電話、デジタルカメラを中心にそれぞれ販路開拓を進める意向。コストやデザイン面でも優れたマグネシウム合金へのメッキ加工だが、事業化を進めていくには、「利益配分や営業活動のやり方などでの話し合いが必要になるだろう」(同)と見ている。