製造/九州 「調音・遮音・制振の積層パネルを利用したSound Solution事業」

音の環境づくりを目指す

 ハウス119は工務店として2002年に創業した。「119」にはシックハウス症候群に対応した建材など、健康面から住環境を改善する思いが込められている。08年ごろからは住環境における音にも注目、「音の環境づくり」(古澤秀和社長)を目指した。09年に開発、発売したのが調音パネル「ルームクリエータ」。現在は売り上げの80%を占める主力事業に成長した。

 ルームクリエータはピアノなど楽器を演奏する音楽関係者の利用が多い。全国に41ある代理店が販売を行っているが、このほとんどを楽器店が占める。
 同製品は5層構造で、厚さ21ミリメートルの特殊フィルム素材。壁面やピアノなど楽器の周囲に設置する。加工しやすいのが特徴で、パネル化して壁材にするだけでなく、曲げることが可能なためロールカーテンのようにも使える。軽量なためピアノの弦の上に直接敷くこともでき「音色、音程、響きはそのままに音だけ小さくすることができる」(同)という。

 ピアノの場合は音を遅延して反射し、コンサートホールと同様に多数の柔らかな残響音を作り出す。「狭い部屋でもホールのように聞こえる」(同)のが売りだ。
 一方で音と振動を遮断する機能もある。このため間仕切りに使うと防音効果がある。例えば病院の診察室の会話を遮音することでプライバシーが守れる。また子供部屋に使うと雑音を防いで集中力維持につながるという。ほかにも機械の騒音対策として工場に採用された実績もある。

 音が関係する場所は無限にある。ルームクリエータは医療、教育、産業と幅広い分野で活躍する可能性を秘めており、今後は代理店の業種も多彩になりそう。古澤社長は将来の代理店網の形態を「売り込み先の業界別に分けたい」と考えている。

(株)ハウス119


会社名
役割分担
■コア企業
(株)ハウス119
企画、開発、製造、販売
(株)レヂテックス接着剤の開発・製造



(株)ハウス119 古澤秀和社長<br>「音色、音程、響きはそのままに、音だけ小さくすることができる」

(株)ハウス119 古澤秀和社長
「音色、音程、響きはそのままに、音だけ小さくすることができる」

【「新連携」で信用度アップ】

 ルームクリエータの製造で連携しているのが、接着剤メーカーのレヂテックス(神奈川県厚木市)だ。調音機能を発揮するためには、積層構造の一部を構成する接着剤も音の反射にかかわる。そのため単に張り合わせるだけでなく音に対する働きも求められる。古澤社長は「他社の接着剤ではできない」と全幅の信頼を寄せる。

 さらに09年からは、九州大学と福岡大学が遮音や制震の実験や評価で協力。北九州工業高等専門学校は遮音に関する技術支援を行っている。
 連携のメリットは第一に国の制度である新連携に認められたという信用度のアップ。「製品の話をする際、連携の説明をする前後では相手の聞き方が違う」(古澤社長)と苦笑いする。
 第二が補助金など資金面での支援が受けやすくなったことを上げる。製品の特性上、実際に耳で聞いてもらえる展示会は重要な営業手段。「出展への支援は大変ありがたい」(同)と感謝している。

【米国へも進出】

 10月には米国販売に乗り出す。調音・遮音ニーズが日本より高く、普及が期待できると判断したためだ。現地の公的機関で火災発生時の有毒ガス発生や不燃性など、安全性に関する認証を取得してから販売を始める。当面のターゲットは現地の富裕層だ。
 ハウス119は米国進出の準備として今年4月、ネバダ州ラスベガス市で開かれた音響関連の展示会に出展、来場者に製品を試してもらい高い評価を得た。

 7月1日には全額出資子会社のグローバルアコースティックテクノロジーズ(カリフォルニア州パサディナ市)を設立した。古澤社長が社長を兼務し、当初6人、年内8人体制で米国での販売に取り組む。既に同州の総合病院からの引き合いもあるという。
 また12年1月には同州アナハイム市で開かれる楽器関係の展示会に出展を決めた。12年12期の米国での売り上げは3000万円を計画している。