製造/九州 「コンクリートのひび割れ誘発を抑制する鉄筋用最適プラスチックスペーサの開発・販売」

ひび割れ防ぐスペーサ

 中央産業が新連携事業で取り組む、鉄筋用プラスチックスペーサ「プラ・スターG」を採用する建設現場が広がっている。型枠へのコンクリート充填(じゅうてん)度が高まり、ひび割れ抑制につながるなどの機能性が評価されている。公共工事の減少など建設業界を取り巻く環境は厳しいが、大手のマンションデベロッパーなどが採用しており、今後さらに顧客開拓を進める構えだ。

 鉄筋コンクリート造りの構造物を建設する際、型枠内の鉄筋が適正な位置を維持するようスペーサが使用される。従来のスペーサは円盤状だったが、建設現場ではコンクリート材料が均一に充填されない個所が生じるなど、課題が指摘されていた。

 同社はこれまで手がけてきた自動車向け射出成形部品の技術を応用し、新規事業として建設業向けに新型スペーサの開発を目指した。福岡県から補助金を受給、2005年度と06年度の2年間、福岡県飯塚市にある近畿大学産業理工学部、同筑紫野市の福岡県工業技術センターとの産学官で共同研究を実施、六角形の星形プラスチックスペーサを開発した。その後07年に同社がコア企業となり新連携事業の認定を受け、事業推進体制の構築とともに販路開拓を進めてきた。

 最近では民間のほか、官庁の発注工事でも採用される事例が増えている。今後は建設だけでなく、土木分野への営業を本格化する方針だ。

(株)中央産業


会社名
役割分担
■コア企業
(株)中央産業
設計、製造、販路開拓
近畿大学産業理工学部技術支援
(株)サイム材料調達
(株)真穂呂馬資源材料調達、製品輸送



(株)中央産業 塚本大常務<br>「建設業界の景況は厳しいが、品質が高いスペーサを求める声は増加している」

(株)中央産業 塚本大常務
「建設業界の景況は厳しいが、品質が高いスペーサを求める声は増加している」

【県の補助事業を機に産学連携】

 中央産業は金属加工事業部と成形事業部があり、売り上げの約6割はプラスチック自動車部品を生産する成形事業部が占める。九州には日産自動車九州工場(福岡県苅田町)など車両組立工場が4工場立地するなど「カーアイランド九州」とも呼ばれ、部品工場の集積も進む。同社も成形事業部の仕事を拡大してきたが、「自動車向けだけでは不安定」(塚本大常務)と他分野の開拓が課題と考えていた。

 そうした中、福岡県の「新産業創造等基金・研究テーマ探索事業」を申請、05年度と06年度の2年間、補助金を受給し、製品開発を進めた。同事業は中小企業が産学連携により新製品の開発を推進することを支援する補助事業。第三セクターである飯塚研究開発機構(福岡県飯塚市)のアドバイザーらが同社を訪問、製品開発ニーズを把握すると同時に「共同研究の相手として近畿大学産業理工学部を仲介してくれた」(同)という。福岡県工業技術センターの支援も得て06年、建設現場で使用する新型のプラスチックスペーサ開発に成功した。

【大手ゼネコンの本社工事に採用】

 ただ国内の建設投資はピーク時の半分以下と、建設業界を取り巻く環境は非常に厳しい。ひび割れ防止などの機能を有していても価格が従来製品と比べて高ければ顧客の開拓は難しい。そこで原料に廃プラスチックを利用することでコストダウンを実施。連携体を構成するサイム(福岡県桂川町)などから家電リサイクル時の再生材料やペットボトルのキャップを調達する体制を構築した。

 また建設現場への営業を進めるため、樹脂スペーサ販売大手の日本インダストリー製作所(大阪市西区)と代理店契約を締結、07年、08年の採用実績は数件にとどまったが、09年以降順調に拡大している。JR九州や九州電力子会社、住友不動産などが建設するマンションなどに採用されたほか、官公庁でも福岡県、鹿児島市、国土交通省などの発注工事で採用、全国で実績を残した。また10年には、ゼネコン大手清水建設の本社建設工事でも採用され、「今後の営業活動に大きな財産になる」(同)と期待を寄せる。

 07年の計画策定時には5年後に売上高1億円を目標に掲げた。ただ現在のところ「この目標には及ぶ事業規模ではない」(同)という。鉄筋用スペーサの市場規模は全国で10億円前後と見られている。これまで建築向けをメーンに営業を展開してきたが、今後は土木向けも進めていく。建設業界の業況は厳しいが、耐震性など品質に対する目も厳しくなっている。こうした流れを追い風に、新たな顧客開拓に注力する方針だ。