製造/関東 「塑性加工による中空化技術の応用製品開発と事業化」

軽量化、低コスト化、環境対応の流れにこたえる新技術

 風光明媚な浜名湖畔に位置するユニクラフトナグラ本社。独創性と柔軟性を追求しながら、品質と価値向上に徹底的にこだわり、「世界で愛される名品創り」(名倉喜英社長)を掲げる同社のクラフトマンシップはこの自然環境に恵まれた地で育まれた。
 1951年に静岡県湖西市で創業し、当初は紡織機部品生産を手がけた。その後、トヨタグループ向けを中心に自動車部品の供給を開始。現在はエンジン部品や駆動部品など、自動車部品事業が売上高全体の9割を占める。

 新連携事業の「塑性加工による中空化技術の応用製品開発と事業化」では、熱間塑性加工による「中空化技術」と、同社が得意とする素材を通電加熱し型打ち鍛造して成形する「電鍛技術」という2つの技術を組み合わせた。
 同社は塑性加工から切削、組み付けまで完結できる「一貫生産体制」と独自の工法開発などによる「VE(価値工学)」、自社で独自の加工設備を内製し、自働化も行うFA(フレキシブルオートメーション)に強みを持つ。今回の技術開発も蓄積したこれら3つのコア技術が基盤となった。そして競争激化や環境問題に対応するため、部品の軽量化やコスト低減を急ぐ自動車関連メーカーや家電メーカーのニーズが、開発の背を強く押した。

ユニクラフトナグラ(株)


会社名
役割分担
■コア企業
ユニクラフトナグラ(株)
技術開発、市場開拓・販売、部品製造
日本サーモニクス(株)加熱装置設計、製造技術
(株)東栄超硬専用治工具開発、製造



ユニクラフトナグラ(株) 名倉喜英社長<br>「熱間塑性加工による中空化技術と、電鍛技術の組み合わせは世界でも例がない」

ユニクラフトナグラ(株) 名倉喜英社長
「熱間塑性加工による中空化技術と、電鍛技術の組み合わせは世界でも例がない」

【蓄積した2技術を組み合わせ】

 「熱間塑性加工による中空化技術と、電鍛技術の組み合わせは世界でも例がない」と、名倉喜英社長は胸を張る。トランスミッション部品のフォークシャフトは従来、中が詰まった"中実体"がほとんど。一部軽量化の工法として、ドリル加工や冷間鍛造によって中空にする方法やパイプ材を使う方法など3タイプある。このうち中実は重量が重く、中空の場合の2倍以上になる。
 シャフトを軽量化するには中空にするのが効果的だが、一般的なドリルによる穴明けでは、穴の精度や材料歩留まりの悪さが課題だった。また冷間鍛造では、冷却など前処理に時間とコストがかかり、穴深さも穴径10倍程度と限界がある。パイプ材ではコストと加工性とそれぞれに課題があり、なかなか採用の方向に向かわなかった。

 これに対し、「熱間塑性加工による中空化であれば、実験結果からもこれらの課題を克服できる」(佐藤秀和開発部長代理)と優位性を強調する。穴深さは自在に設定でき、一部を中実体として残すなど柔軟な加工が可能。さらに「電鍛工法や他工法との組み合わせで、より高付加価値な製品づくりができる」(同)のも特徴だ。
 電鍛工法は、同社が長年培ってきた得意技術で、すでに製品化実績がある。シャフトに対し、別部品として組み付けていた部品を電鍛工法により一体成形する。中空化技術と組み合わせることで「軽量で耐久性の強い異形の製品加工が可能になる」(同)。

【良品廉価を提案】

 技術開発はコア企業のユニクラフトナグラが担当。日本サーモニクス(神奈川県相模原市)が加熱装置の設計と製造技術を、東栄超硬(愛知県愛西市)が専用治工具の開発と製造をそれぞれ担う。豊田工業大学や名古屋大学の近藤一義名誉教授、静岡県工業技術研究所浜松工業技術支援センターなども技術支援として参画した。中空化技術については現在、特許出願中。
 軽量で歩留まりの良い製品づくりを実現することで、二酸化炭素(CO2)削減につながり、トータルコストを低減できる画期的な技術として今後、自動車や家電関連メーカー向けに提案していく。すでに主要取引先へのプレゼンテーションを終え、「高い関心を持ってもらえた」(名倉社長)と手応えは十分だ。

 "良品廉価"を目標に掲げ、「同じ機能を持つ従来品と比べ、価格は確実に同等以下にできる」(同)とコスト競争力にも自信を見せる。まずは2010年度中に試作を完成し、11年度に量産受注に結びつけ、売上高1億円を目指す。深穴加工を必要とするシャフト形状の部品に幅広く応用できることから、「3年後の2013年度には売上高10億円」(同)と飛躍を誓う。