製造/関東 「絵画額装シミュレーター及びマットカッターシステムの製造販売事業」

絵画購入のプラットフォーム構築

 絵画を選んで購入する際、自分の部屋にマッチする作品や額装の価格が分からないという理由で購入をためらう人がいるという。連携体では絵画の選択や額装などをシミュレーションできるソフトを開発。絵画を額に入れた状態まで加工する一貫システムの構築と販売に取り組んでいる。価格提示まですることで多くの人に絵画を購入しやすいようなプラットフォームを提供する。

 コア企業のマルオカ工業は1947年創業。木工業が盛んな木曽地域で絵画の額縁の製造販売と張キャンパス用の木枠製造を主業務としている。特に張キャンパス用木枠では、国内シェアの6−7割を持つ。また、マットと呼ばれる絵画と額との間の厚さ2ミリ−3ミリメートルの中敷き紙をサイズ通りに切断するマットカッターの製造・販売も手掛けている。

 連携体ではマルオカ工業がソフトとマットカッターの開発。マルオカ工業の社内システムの構築を請け負っていた関係でエス・アイ・システム(長野県塩尻市)が製造装置とのマッチング支援ソフトの開発を担当。販売はマルオカ工業と資本関係があるエムイートライエックス(名古屋市)とマット販売大手のミューズ(東京都江戸川区)が担当する。そのほかミマキエンジニアリング(長野県東御市)がマットカッターのベースマシンの供給で参画している。

マルオカ工業(株)


会社名
役割分担
■コア企業
マルオカ工業(株)
ハード・ソフト開発
(有)エス・アイ・システムソフト制作
(有)エムイートライエックス開発企画、販売
(株)ミューズマット販売



マルオカ工業(株) 湯川泰征社長<br>「中小企業が支出するのをためらいがちな無形財産への投資と弁理士への依頼などは、公的機関のバックアップがあったからこそスムーズに勧められた」

マルオカ工業(株) 湯川泰征社長
「中小企業が支出するのをためらいがちな無形財産への投資と弁理士への依頼などは、公的機関のバックアップがあったからこそスムーズに勧められた」

【装置用ソフトを共同開発】

 マルオカ工業が絵画額装シミュレーションシステムの開発に着手したのは15年前。連携体をつくる以前から数社とは手を組み共同開発や販路について打ち合わせを進めていた。マルオカ工業をコア企業とする連携体が新連携計画の認定を受けたのは09年の2月。認定を受けた事業の特徴は額装シミュレーションとマットカッターシステムの融合にある。
 額装シミュレーションは小売店などのパソコン画面で顧客が絵画の選択からマットや額の色・素材、さらにインテリアとのコーディネートをバーチャルで行える。シミュレーションした絵画の金額を表示、ネットで発注できる。「ここからが重要」とマルオカ工業の湯川社長。発注を受けたデータを元にマットカッターで注文通りのマットを仕上げていく。この「デジタルとアナログを融合させたシステム」(同)は3月に完成したばかりだ。

 マルオカ工業は額縁の材料を切る、組むという部分は強かった。特にマットカッターの刃物の開発や装置のカスタマイズなどの実績は豊富だった。連携事業ではエス・アイ・システムとシミュレーションとマットカッター用のソフトを共同開発。データを装置にマッチングさせる部分が強化され額装までの一貫システム構築にめどがついた。
 また、新連携制度の活用でメリットを大きく感じたのは「特許申請時のサポート」(同)。中小企業が支出するのをためらいがちな無形財産への投資と弁理士への依頼などは公的機関のバックアップがあったからこそスムーズに勧められたという。

【ネット利用し普及促す】

 4月からはマットカッターのさらなる高機能化とシミュレーションソフトのネット上での構築に取り組む。エンドユーザーがネット上のデモ版で操作をして、販売店に行って絵画を注文する流れを作っていく。
 湯川社長は「シミュレーションシステムを国内美術館に併設されているショップに告知し、採用を働き掛けたい」と考えている。それら国内に約3万ある美術館や大学などのユーザーとネットから興味を持つ一般ユーザーの2つのルートから普及させていく戦略だ。

 従来は画材や額装関連の装置メーカーが直接販売まで行うことは少なかった。「これからはメーカーも自分で作ったものを売れるシステムを作っていかなければならない」と湯川社長は意気込む。
 目標はシミュレーションシステムとリンクさせたマットカッターを月に1台販売していくこと。将来は全国からオーダーを受けた絵画を1枚ずつ、その場で額装まで完成させる「フレームファクトリー」を目指していく。