環境/九州 「安価・高性能・コンパクトな汚泥処理システム『MC工法』の事業化」

三位一体の処理技術

 ファーストソリューションが手掛けるのは、高速汚泥処理システム「MC(メッシュカット)工法」だ。小規模の建設現場や事業場から排出される汚泥や濁水を脱水・浄化し、残った廃棄物を処分場まで運ぶ「三位一体」の技術だ。高速汚泥反応装置「SR3000」、粉体凝集剤「フロックマン」、フロック脱水装置「エコポーチ」の3点で構成される。

 汚泥を反応装置に投入し、凝集剤を添加しながらかき混ぜて分離させる。毎時20立方メートル処理できる。上澄み水と沈殿物(フロック)に分離した処理物を脱水装置に移し搾る。脱水工程はポーチに入れて吊るしておくだけでよく、脱水後の処理物「脱水ケーキ」の運搬にそのまま利用可能だ。脱水ケーキは重金属なども吸着しており、脱水時に出る水分はそのまま流しても問題がない水質になっている。

 最大のメリットは処理コストの大幅削減。脱水を完全に行うことで、処理物の体積と重量を小さくでき、搬出と輸送コストを削減できる。一日あたり20立方メートルの汚泥や濁水が発生する建設現場なら、バキューム車による処理コストに比べ、コストは約2分の1になるという。反応装置も小型化したことで、運搬コストもダウンした。
 小型化と低コストを強みに、建設業者以外にも用途を拡大し導入を進める構えだ。

(株)ファーストソリューション


会社名
役割分担
■コア企業
(株)ファーストソリューション
企画、設計、SR3000の製造
(有)エコシステム販売、システムの保守管理
日豊製袋工業(株)エコポーチの製造
小泉製麻(株)エコポーチの素材提供



(株)ファーストソリューション 高田将文社長<br>「設備投資が厳しく処理設備を持てない建設業者でも、自身で手軽に処理できるよう開発した」

(株)ファーストソリューション 高田将文社長
「設備投資が厳しく処理設備を持てない建設業者でも、自身で手軽に処理できるよう開発した」

【処理物の運搬までが工法】

 「従来の汚泥や濁水処理は、濃縮させていただけだ」と、高田将文社長は他社製品との違いを強調する。単なる汚泥の凝集装置ではなく「処理物の運搬までが工法だ」(同)と力を込める。同工法で肝となるのは脱水・浄化・輸送をワンストップで行うこと。汚泥を濃縮するだけの工法とは異なり、同工法は凝集に加えて脱水するのが強みだ。動力を使わない脱水の容易さと運搬の手軽さも特徴の一つだ。

 重要な役割を果たすのが汚泥脱水袋「エコポーチ」。反応装置で凝集剤と汚泥を反応・分離しフロック化した後、袋で脱水する。脱水した袋を輸送容器として使えるという効率性が大きなポイントとなる。従来も袋を用いて脱水する方法はあったが「袋が防水素材でできているなど、効率化とは程遠かった」(同)という。脱水の効率と輸送に耐える強度を両立した袋が連携の強み。

 袋の素材は輸送・梱包用資材を手掛ける小泉製麻(神戸市)に依頼。「カワリ織」という特殊な織りの原反を使用する。縫製はフレキシブルコンテナバッグメーカーの日豊製袋工業(大分県中津市)が手掛ける。独自の技術により日本工業規格(JIS)と日本フレキシブルコンテナ工業会規格(JFC)の2規格に対応する強度を備えた。10回までの繰り返しの使用に耐える。

【九州とアジアで販路開拓】

 「2009年の1年間はブランディングに費やした」と高田社長は話す。経済産業省の新連携事業認定をはじめ、県の経営革新計画承認など、積極的に知名度アップに向けて取り組んだ。
 10年からは代理店網の確立に注力する考えだ。建機レンタル業者などへ向け、まずは年間3−6台の販売を見込む。最終導入先として想定するのは中小規模の建設業者など。ローコストによる処理で取り込みを図る。

 ターゲットである中小建設業者は、高田社長が目の当たりにした廃棄物処理の現状を反映している。設備投資が厳しく処理設備を持てない建設業者は、汚泥を処理業者に依頼する。バキュームカーなどで処分場まで運搬してもらうことになるが、当時処理業者の中には処理量を減らすために運搬途中に廃棄物を不法投棄するなど、必ずしも適切な方法で廃棄物処理がなされていなかった。高田社長はこの現状を変え、建設業者自身が手軽に処理できることを求め、同工法を開発した。

 また、反応装置を小型化したことで、規模の問題から処理設備を導入できなかった浄水施設やゴルフ場、公園の池などへも導入を期待する。
 現在「アジアからの引き合いが多い」と高田社長は話す。九州を中心に規模拡大を図るとともに、急成長するアジアの新興国においても販路開拓を目指している。