製造/北海道 「安全で美味しい高品質な食材調製を可能にする新水蒸気加熱装置『アクアクッカー』の開発・販売」

中間状態で食品を迅速に加熱・殺菌

 コア企業のタイヨー製作所は1967年(昭42)創立。イカ、サケ、ホタテなど水産物を中心とした食品加工用機械の企画、設計、開発、製造、販売が主力。漁業が盛んな土地柄に根ざした事業を展開している。近年は水産物以外に農畜産物向けの加工機械に事業領域を拡大。現在は除菌解凍装置、燻製装置、空気制御乾燥装置など100種以上の食品加工機械を手がけている。販売先は北海道内が50%、本州が30%。北米やロシア、中国、東南アジアなどへの輸出が20%を占める。

 新連携では同社の戦略的な新製品「アクアクッカー」の低コスト化、小型化、用途に応じた機種の拡充、販売の本格化を目指す。また販促策の一環として、装置を用いたレシピの開発も進めている。アクアクッカーは115度Cの過熱水蒸気と100度C以上の微細水滴を混合し、気液二相状態(アクアガス)をつくり出し、食品を迅速に加熱・殺菌する装置。

 熱が食品にダメージを与える乾燥した過熱水蒸気だけの状態と、殺菌に時間がかかり栄養分が溶出してしまう飽和水蒸気だけの状態の中間的な状態となる。これにより食感の低下、表面の乾燥といった問題点を克服、美味しくて栄養価が高く、安全な食品の提供を可能にする。このような特徴をアピールするとともに、機種を拡充することで、病院などの厨房(ちゅうぼう)、総菜や弁当の製造会社、大手食品メーカーの生産ラインなど幅広い販売先の開拓を狙っている。

(株)タイヨー製作所


会社名
役割分担
■コア企業
(株)タイヨー製作所
事業統括、装置開発・製造・販売
MUNCHメニューレシピの開発
高砂屋産業(株)マーケティング調査
(財)函館地域産業振興財団装置開発改良の技術協力



(株)タイヨー製作所 丸山量社長<br>「新分野を軌道に乗せるには資金や市場開拓力、営業力など足りないものを補完する必要があるため、新連携を活用することにした」

(株)タイヨー製作所 丸山量社長
「新分野を軌道に乗せるには資金や市場開拓力、営業力など足りないものを補完する必要があるため、新連携を活用することにした」

【事業領域拡大を機に自前主義から転換】

 タイヨー製作所の丸山量社長は「これまでは自前主義でやってきた」と振り返る。だが主力の水産加工機械の国内需要は「ピーク時の40%程度まで縮小」(丸山社長)。このような状況を背景に、水産分野で培った技術やノウハウを生かし、農畜産分野に事業領域を広げているが、「新分野を軌道に乗せるには資金や市場開拓力、営業力など足りないものを補完する必要がある」(同)と判断、新連携を活用することにした。

 技術協力を受ける農研機構食品総合研究所、女子栄養大学には前段階である生物系特定産業技術研究推進機構の「生物系特定産業創出のための異分野融合研究支援事業」(03年度採択)から協力を受けてきた。アクアクッカーで実際にどんな料理をつくれるか。メニューレシピ開発で連携するMUNCH(マンチ、東京都目黒区)の代表はフードコーディネーターで、女子栄養大学出身だ。これまでにフレッシュカリフラワーのマリネ、カボチャのプリンなどのレシピを開発している。

 営業、マーケティングで連携する高砂屋産業(千葉県習志野市)は北海道を地盤とする商社、ナラサキ産業のOBが立ち上げた会社。展示会に出展したアクアクッカーが紹介された雑誌を見た大手冷凍食品メーカーが高砂屋産業に調査を依頼したのをきっかけに、タイヨー製作所とのつながりが生まれた。ほかに北海道立工業技術センター(函館市)が装置の開発改良、評価などにおいて技術支援をしている。

【大手食品メーカーへの営業にメリット】

 新連携を担当するタイヨー製作所の小笠原幸雄常務は、連携のメリットとして「これまであまり取引がなかった大手食品メーカー向けの営業力が向上した」ことをあげる。まず研究所が導入し、そこで量産への利用を見極めるのが大手メーカーの生産ラインに採用されるまでの流れ。研究所にはすでに3件の納入実績があり、検討中が4、5件あるという。

 一方、女子栄養大学には2台を設置、実験や営業に活用できる体制を整えている。これまでの半年に関係者が集まったのは4回。今後も顧客に実機を見てもらう際や展示会、セミナーといった機会を活用して年に数回は集まる計画。「パートナーが遠距離であることは問題ない」(小笠原常務)という。

 病院の厨房や中小の弁当屋などに販売する際は低コスト化と小型化が非常に重要。設計の見直しなどで、従来機と比べて「40%の価格低下と20%のサイズ縮小にめどをつけた」(同)という。これを受け、早急に本格販売に乗り出す意向だ。同社の柱の一つに育成し、3年後に3億円の売り上げを目指す。