建設/九州 「移動式アスファルト再生プラントを用いたASRR工法による道路維持補修工事の事業化」

アスファルトを再生利用

 九建は仕事のほとんどが公共事業の土木工事業者だ。近年は公共事業の頭打ちに危機感を持ち、若い社員を中心に自社製品の開発に取り組んでいる。これまでに生ごみ処理機やトイレの節水用品など、既存事業から離れた製品も積極的に製品化してきた。

 開発の中で現在最も期待しているのが2008年度に事業化したアスファルト再生工法「ASRR(アスル)工法」だ。アスル工法とはアスファルト・リデュース・リユース工法の略称。アスファルト舗装修繕用として開発した。修繕のためにはがした廃アスファルトを再生装置で加熱、撹拌するなどして修繕に再利用する。

 アスル工法が目指しているのは省資源。かつてのアスファルト舗装修繕では、はがしたアスファルトは廃棄処分され、修繕には新たなアスファルトが使われた。はがしたアスファルトの再利用が進められている現在でもアスファルト再生は専用工場まで運ばなければならないのが一般的だ。アスル工法のアスファルト再生装置は移動式で比較的道幅が狭い道路でも使える大きさにしている。

 九建は現在、アスル工法と修繕個所の発見から修繕工事までの情報伝達や手続きを迅速にするITシステムを組み合わせたシステムを新連携で普及させようとしている。

(株)九建


会社名
役割分担
■コア企業
(株)九建
企画・設計・組み立て・販売・施工
開盛機械工業(株)アスファルト再生装置の炉体製造
(有)フロンティア・ビジョン・システムズ道路管理サポートシステムの構築



(株)九建 新永隆一社長<br>「技術と再生装置を提供することでアスル工法の全国展開を目指す」

(株)九建 新永隆一社長
「技術と再生装置を提供することでアスル工法の全国展開を目指す」

【道路修繕はなくならない】

 九建がアスル工法の開発に着手したのは02年。公共事業の減少に「特徴のない土木工事業者は生き残れない」(新永社長)と独自の工事技術の開発を目指した。同工法が修繕工事を対象としている理由は「新たな道路建設がなくなったとしても修繕はなくならない」という新永社長の判断があるからだ。

 廃アスファルト再生装置の基本技術である加熱と撹拌のノウハウは、工法開発に着手する以前からあった。同社は02年以前に多数の石を生分解性プラスチックで固める技術を確立していた。その際の連携先が新連携事業でも連携している小型炉メーカーの開盛機械工業(仙台市宮城野区)だ。

 九建は加熱と撹拌の技術を基に加熱温度や撹拌方法などの試験を繰り返したり、添加剤を開発したりして再生アスファルトの品質が安定する方法を確立した。新永社長は「何百回と試験した」と苦労を語る。

 廃アスファルトを再利用する場合、現在は専用の工場に持ち込むのが一般的。アスル工法のアスファルト再生装置は移動式のため工事現場で使える。はがしたアスファルトをその場で再生してすぐ利用できる。そのため再生するために遠くの再生工場まで運ばなければならない地域や、アスファルトの運搬に船を使わなければならない離島などで輸送のコストと時間を大幅に削減できる。

 アスル工法の採用が広がっているのは地元熊本のほか佐賀、高知、沖縄など。沖縄では離島で採用された。事業開始の08年度は数件の受注だったが、09年度は22件に達した。現在も北海道や東北地方から引き合いがあり、10年度の受注は09年度の倍近くになると予想している。

【ITシステムとの融合】

 新連携事業で九建は、アスル工法と道路管理向けITシステムを組み合わせて普及させようとしている。このシステムは同社が06年にフロンティア・ビジョン・システムズ(熊本市)や熊本大学などと開発した、情報伝達や手続きを迅速に行う道路管理サポートシステムだ。道路の修繕個所を発見すると、報告と現場写真をすぐに電子メールで道路管理者に送り、道路管理者は電子メールで工事業者に発注することができる。

 九建は従来、熊本県の北部地域を中心に事業を展開している。しかしアスル工法は全国展開を目指す。今後は土木工事関連の展示会出展などのPR活動を増やす。今回の新連携事業の認定は県外進出においての信用力アップと資金調達の円滑化が狙いだ。

 同社はアスル工法の施工を自社で独占しない。技術と再生装置を提供することで工法の全国展開を目指している。「各都道府県に1カ所は代理店を置きたい」(同)という考えを持っている。06年には新永社長を会長に九建内に事務局を置くアスル協会を設立、普及に力を入れている。