製造/近畿 「電気も傘袋も使わない雨傘しずく取りの開発と製造・販売」

傘袋いらずでゴミ削減

 雨の日の傘袋ほど無駄なモノはない−。第一化工(奈良市)が展開する雨傘しずく取り器「アメデス−Q」は、傘を差し込み3、4回の上下動作をするだけで雨傘に付着したしずくを除去できる。雨の日、屋内へ傘を持ち込む際、使用していた傘袋が不要となる。傘用ビニール袋のゴミ削減、しいてはコスト削減に直結、環境に取り組む企業としてのイメージ向上にも有効だ。しずく取り器そのものはドライヤーなどで電気を使わず、特殊フィルターでしずくを除去・排水。耐久性も高く、量販店や百貨店など人の集まる場所への設置が期待される。

 アメデス−Qは、製品発案者のOTS(奈良県王寺町)と共同で企画製造、販売を手がける。08年10月、南都銀行の紹介により、人材や資金面が不足していたOTSを支援する形で同社の保有するアメデス−Q特許を取得。共同で事業を推進すると契約した。

 アメデス−Qの特徴は不織布フィルターにある。外側に高密度、内側に低密度の不織布を重ねて一体化した。吸水性の高い外側フィルターに対して、水はけの良い内側フィルターが排水を助ける。スポンジを使用した類似品に対して、吸水性は衰えず、連続使用に耐えられるという。

 デモ機を100台用意し、東芝テックやコクヨと売買契約を締結し、カタログ販売や展示会出展で販路開拓をしてきた。09年4月の発売以来、エントランスに傘置きのない大学のキャンパスやホテル、百貨店、官公庁に採用されて約80台を販売している。10年3月からはフィルターの吸水能力を高めた新バージョンを発売する。

第一化工(株)


会社名
役割分担
■コア企業
第一化工(株)
事業の統括、商品企画と製造販売
(有)OTS吸水フィルター供給、販路拡大



第一化工(株) 三木茂生社長<br>「前の人が使えば、後続の人も使ってくれる。アメデス−Qは使ってもらってこその製品」

第一化工(株) 三木茂生社長
「前の人が使えば、後続の人も使ってくれる。アメデス−Qは使ってもらってこその製品」

【下請けの容器加工から自社製品作りに挑戦】

 第一化工はプラスチックボトルやキャップの成形やラベル印刷などを手がける。シャンプーなどのトイレタリー製品や食品容器の製造を得意としている。1956年の創業以来、大手メーカーの下請けとして事業を展開してきた同社にとって、アメデス−Qは初の自社製品だ。

 レジ袋削減を進めるスーパーが増えているのだから、傘袋は店舗もお客さんもムダだと分かっているはず−。OTSとの連携をきっかけに、そう考えた第一化工の三木茂生社長は、アメデス−Qの量産化を視野に入れ、ボディー部を金属製から樹脂製に改良。09年4月、第1号商品の発売にこぎ着けた。それまで同社では製品を販売する機会がなく、OTSが持つ販路以外に具体的な販路はなかったが、確かな需要はあるはずとの思いで突っ走った。

 長浜ドーム(滋賀県長浜市)で開かれたびわ湖環境ビジネスメッセや東京ビッグサイト(東京都江東区)開催のエコプロダクト展に出展。環境フレンドリーな同製品に関心を持つ人も多かった。

【機能向上の新機種で、大々的にデモ展開】

 ただ、雨の日には傘袋を使用する習慣が定着化していることと、初期投資が必要なことで、当初は見込みに対し思うようには広がらなかった。三木社長は「吸水能力の面で若干の改善余地はあったが(潜在的なニーズがあるため)製品化を急ぎすぎた」と反省し、発売直後からフィルターの改良に着手。フィルター製造を担う榊原鈑金(大阪府東大阪市)と、浪華絹綿(大阪市城東区)の間で不織布を構成する糸から見直し、従来の吸水率75%を85%へ高めた。フィルター改良の開発費用は、新連携による補助金制度を活用した。

 補助金は平城遷都1300年祭モデルのデモ機作製にも活用した。オリジナルの150台をイトーヨーカドー奈良店やイオンモール大和郡山店にモニター設置するほか、50台は1300年祭の各会場に設置する。販路も従来の売買契約先に加えて、自ら地元の奈良県の量販店を中心に、デモ機を設置して地道な普及活動を行う。直販やリース販売も展開する予定だ。

 傘袋の普及に対して、しずく取り器は設置してあってもどう使えばよいのか分からない人が多いと指摘する。三木社長は「前の人が使えば、後続の人も使ってくれる。アメデス−Qは使ってもらってこその製品」とし、多数の店舗にデモ機を設置しアメデス体感者を増やすことで、しずく取り器使用の習慣化を狙う。