サービス/東北 「還元滅菌炭化加工機による有機廃棄物の高品質炭化事業」

廃棄物を再利用する環境ビジネスを提案

 環境配慮型建築資材の販売などを手がけるECO(仙台市若林区)は、機械設計技術者などで組織する有限事業責任組合の炭化塾(同太白区)と共同で、有機廃棄物から良質の炭をつくり出す炭化加工機を開発。家庭ゴミや家畜ふん、間伐材などの廃棄物を再利用して燃料や肥料などに有効活用するといったビジネスモデルを提案する。

 今回の事業の中核となる技術は、炭化塾が設計した「還元滅菌炭化加工機」。既存の加工機に比べ、高品質・高純度の炭を安定的に生産できるのが大きな特徴だ。

 コア企業のECOは、同加工機を使えばどんな廃棄物から炭が加工できるか、加工した炭はどんな分野で需要があるかなど、入り口から出口までの一連のビジネスモデルを企画。自治体や農林水産業者、食品加工業者などに向けて売り込み、廃棄物の有効活用を促す。

 加工した炭の活用方法を見つけるのが今後の課題だ。燃料に活用するだけだと単価は安いが、脱臭剤などに利用できれば付加価値が高くなる。板金工事やプレス加工を手がける相澤製作所(仙台市若林区)が炭成形機の開発を担当し、廃棄物を再利用した炭の新たな使い道を模索する。

(株)ECO


会社名
役割分担
■コア企業
(株)ECO
ビジネスモデルの企画・構築
有限責任事業組合炭化塾炭化加工機の技術開発
(株)相澤製作所炭成形機の開発



(株)ECO 佐藤周史環境事業部長(左)と炭化塾 田口信和塾頭<br> 「ビジネスモデル自体を売り込み需要を開拓する(佐藤部長)」

(株)ECO 佐藤周史環境事業部長(左)と炭化塾 田口信和塾頭
「ビジネスモデル自体を売り込み需要を開拓する(佐藤部長)」

【廃棄物から高品質の炭を生産する技術を完成】

 炭化塾は、廃棄物を炭に再利用する技術の研究を目的に約20年前から活動してきた。機械メンテナンスなど個人事業を営む田口信和氏を塾頭に、機械加工業者や農業者などが参加している。

 「廃棄物をリサイクルして売るためには、高品質の炭が加工できなくてはならない」と田口塾頭は加工機開発の狙いを話す。廃棄物を炭に加工する技術は以前からあったが、加工した炭の品質や加工コストに課題があり、ビジネスには結びつかないと考えられていた。

 炭素を含んだ物質は、空気のない環境下で燃焼すると炭化する。高純度の炭に加工するには、燃焼時の空気の遮断がポイントだ。炭化塾は、連続で素材を投入しても燃焼室が無酸素状態になるように加工機を設計、素材に特有の多孔質構造を保持した高品質な炭が量産できる技術を完成した。コーヒー豆のカスから加工した炭の発熱量は1キログラム当たり7250キロカロリー。従来技術の約3.5倍で、一般の石炭並みの発熱量の炭が加工できる。
 この炭化技術をどのようにして世の中に出していくかは炭化塾の課題だった。そんな中で2008年3月、一条工務店宮城(仙台市若林区)の峯岸良慥(りょうぞう)社長が炭化塾の取り組みに興味を持ち、同社子会社のECOを通じて事業化を進めることになった。

【炭化加工のビジネスモデルを売り込み、需要を開拓】

 「炭化加工機を売るのではなく、ビジネスモデル自体を売り込む」とECOの佐藤周史環境事業部長は事業の目的を説明する。廃棄物から炭をつくり出す技術は一般的でなく、装置だけを販売しても需要は見込めない。そこで連携体は、炭に加工できる廃棄物を確保する方法や加工した炭の用途を調査。顧客に提案することで、需要を掘り起こしている。

 福島県三島町では09年3月から炭化塾などが実施主体となり、一般家庭ゴミから炭をつくり出す実証プロジェクトを進めている。町内の家庭から出る可燃ゴミを回収して炭に加工、炭をペレットストーブやビニールハウスのボイラなどの燃料に活用することを目指している。

 小規模の町村は従来、可燃ゴミを周辺の市などが所有する焼却炉に運んでいた。炭化加工機を町の設備で持つことができれば、廃棄物の有効活用ができる上、ゴミの輸送コストを抑制することもできる。実証試験では事業の採算性や安全性、環境に与える影響などを10年2月まで調査。有効性が確認できれば、ほかの小規模な自治体へと展開できる可能性もある。