製造/関東 「プラズマ・触媒融合技術による有害ガス浄化サービスの事業化」

人々の健康と環境を守る

 インパクトワールド(東京都大田区)がコア企業として開発したのは、プラズマと触媒を利用して亜酸化窒素やダイオキシン、揮発性有機化合物などを分解し、浄化する装置「PACT」だ。現在病院を納入先として見込んでいるため、亜酸化窒素分解を主なターゲットとしている。亜酸化窒素は別名「笑気ガス」と呼ばれ、手術や歯の治療時に麻酔用ガスとして使用されている。40年以上前から、医療従事者の健康へ悪影響を与えていると指摘されてきたが、有効な手だてがうたれていなかったという。現在では自然流産のリスクも報告されている。また亜酸化窒素は、二酸化炭素の310倍という温室効果を持つことが知られており、排気するうえでも問題視されている。

 同製品は、触媒効果を持たせた電極に高周波電圧を与え、大気圧でプラズマを生成させることで、亜酸化窒素を窒素と酸素へ99%以上分解することができる、としている。対象物質を同空間内でプラズマ分解と触媒反応させることができるのが特徴。また分解可能なガスが多岐にわたるため、工場や研究所など新たな販路を開拓していきたい考えだ。

インパクトワールド(株)


会社名
役割分担
■コア企業
インパクトワールド(株)
事業統括、製品開発・特許、販路開拓
いであ(株)分解・浄化評価
玉置電子工業(株)電源開発、製品の改良協力
豊電機(株)反応器製造、製品の改良協力



インパクトワールド(株) 林佑二社長<br>「PACTで人々の健康と地球環境に貢献していきたい」

インパクトワールド(株) 林佑二社長
「PACTで人々の健康と地球環境に貢献していきたい」

【東京医科大学で実証実験】

 プラズマと触媒を利用した有害ガス分解装置「PACT」の性能実証実験は、東京医科大学茨城医療センターの協力を得て2009年5月から行っている。実際の手術室を借り、部屋の笑気ガス濃度を上げて実施した。医療センターからの要望で手術と手術の間が約60分と想定し、その間にどれくらい笑気ガスを浄化することができるかを測定した。

 実験結果によると、部屋の笑気ガス濃度が6300ppmあったのが、60分後には300ppmまで下げることができ、「麻酔科の方からは分解効率が良好であると言われた」(林佑二社長)と納得のいく結果が出た。米国では、笑気ガスの8時間平均暴露の閾値を50ppmと定めているという。そのため「より一層の分解効率の向上が必要」(同)と考えている。

【連携で技術改良・販路拡大】

 分解装置の性能を評価するのは、環境保全コンサルタントを行う「いであ」。精度の高い分析評価を行うことで、商品としての信頼を得ていくという意味では、同社に負う部分は大きい。

 PACTは2010年での本格的な量産を目指し技術改良を進めている。装置製造で連携しているのが、玉置電子工業と豊電機。玉置電子工業は高周波電源を開発・製造している。エネルギー効率を上げていくためには、出力インピーダンスと入力インピーダンスを合わせる必要があり、「一層の低エネルギー化を実現するには同社の技術は不可欠」(同)。また豊電機は高密度実装をともなう電子部品を手掛けており、「同社の技術により装置の超小型化に成功し、有害ガス発生源で廃棄することが可能となった」(同)と連携に手応えを感じている。

 PACTは大型、中型、小型、超小型の4種類。大型装置の大きさは、700ミリメートル×400ミリメートル×600ミリメートルで重さは約35キログラム。病院全体で使用されるガスを集中排気処理する場所に設置することを想定している。それと比べ超小型の大きさは、205ミリメートル×280ミリメートル×115ミリメートル。重さは約3キログラムで、持ち歩くことも可能だ。

 インパクトワールドはファブレス企業であるため、3社と連携して製品の信頼性、分解能を向上していく。また新たな触媒を模索しており、より一層のコスト削減もしていきたい考えだ。

 「すでに手術室や病理室で笑気ガスやホルマリンなどを使用している大学病院からの引き合いが増えてきている」(同)。販路拡大・販売促進はコア企業であるインパクトワールドが担うため、「新連携を活用する中で、販路の開拓につながる情報が得られれば」と期待している。