製造/関東 「太陽電池一体型外壁パネルの開発事業化」

太陽電池を建物の外壁で有効活用

 習志野化工がコア企業となり、新連携の認定を受けたのは「太陽電池一体型外壁パネルの開発事業化」。フィルム型のアモルファスシリコン太陽電池と高い遮熱効果がある塗料を塗布した建材を一般建築物に広く使用される押出成形セメント板(ECP)として一体化した製品だ。これは国内初の取り組みで、建物の屋上に設置するのが主流だった太陽電池を外壁面で有効活用できる。

 太陽電池一体型建材は、遮熱効果が高い塗料を塗布したECPにスリットを入れ、富士電機システムズ製のシート状太陽電池をはめ込んでつくる。建材1枚当たりの発電能力は92ワット−110ワット。重さはガラス基板太陽電池に比べ10分の1以下の、1平方メートル当たり1キログラムと軽量にした。

 開発中の太陽電池一体型外壁パネルの売り込みは、大規模店舗などの商業ビルや鉄道の駅舎、工場などの大型施設向けが中心になる。屋上を駐車場やクーリングタワー、屋上緑化などに利用したい非住宅建築物などへも売り込んでいく。

 建物の屋根に比べ、側面に設置することは人目に付きやすい。そのため、工場の外壁に設置すれば省エネに取り組んでいる企業ということを対外的にアピールすることにもつながる。2010年3月3日から東京・有明の東京ビッグサイトで開かれる「PVエキスポ2009」には完成品を出展する予定だ。

習志野化工(株)


会社名
役割分担
■コア企業
習志野化工(株)
太陽電池一体型外壁パネル開発、塗装・加工
恒和化学工業(株)塗料開発



習志野化工(株) 中山博之社長<br>「新連携という枠で認知されているので、さまざまな分野の企業に問い合わせをしても前向きに対応してもらえるようになった」

習志野化工(株) 中山博之社長
「新連携という枠で認知されているので、さまざまな分野の企業に問い合わせをしても前向きに対応してもらえるようになった」

【大手ゼネコンが手掛けない外壁に着目】

 コア企業の習志野化工は、建築資材の塗装を専門に手がける企業。中山博之社長は「建築に関する自社の塗装技術をベースにした上で何か新しいことをしよう」と考えていた。建物の屋上に設置する太陽電池パネルは、大手ゼネコン各社が市場を占めており、新規参入はかなり難しい。屋根以外の場所は…と考えるうち、太陽電池一体型外壁パネルの開発を思いついた。建材に塗装する同社ならではの発想だった。

 連携する恒和化学工業は高い遮熱効果を持つ塗料を開発し、習志野化工に納品する。当初、恒和化学工業と取引はなかったが、支援や助言してくれる人からの紹介を受け、連携が実現した。習志野化工は遮熱効果を持つ塗料を建材に塗布する。塗料を塗布した建材に使用するアモルファス太陽電池は富士電機システムズ製。同一定格容量ではシリコン結晶系太陽電池と比べると年間発電量が約10%多くなる特徴を持つ。垂直に設置した際の発電効率の低下は3−5%少なくて済む。

 「太陽光発電システム」と「高い遮熱効果」という2つの付加価値を付けた建材の組み立ては習志野化工が行う。建材の1本のサイズは厚さ6センチメートル、横幅60センチメートル、高さ3.5メートル。習志野化工は製造した製品を大成建設の管理する施工現場に納品する。納品された製品の取り付け・配線工事は大成建設の下請け工事業者が施工現場で行う。


【ルート別販売パートナー3社が支援】

 基本的な販売戦略は、市場開拓を担当する販売ルート別支援企業として、3社が販売の支援企業として決まっている。小規模店舗などの直販小規模物件ルートは野口興産が支援する。既存ECP販売ルートとしてはノザワが支援企業として学校や倉庫、商業ビルなどをターゲットに販売する。直販大規模物件ルートとしては大成建設が大規模商業ビルや大規模店舗など向けに販売していく。

 新連携を活用したメリットについて、中山社長は「新連携という枠で認知されているので、さまざまな分野の企業に問い合わせをしても前向きに対応してもらえるようになった」と語る。さらに、パートナー企業をしっかりと決めたことで課題もはっきりしてきた。使用する太陽電池を二重に貼り合わせることでさらに発電効率を上げることやコンパクトサイズにしたコンバーターの開発など、技術的な工夫に取り組むという。

 採用される第一号物件も決まった。大型物件での採用で、外壁に200枚程度を貼り付ける計画だ。09年10月にも施工を開始し、2011年度には完成する予定だ。「一つでも多く採用されることを目指して実績をつくっていきたい」と、思いを語る中山社長。一枚でも多くの外壁パネルを設置することで地球温暖化対策と省エネ対策に貢献していく。