製造/四国 「緑化ボックストーンを活用した多自然型護岸工法の事業化」

河川護岸の石詰かご(じゃかご)は自然に溶け込み、見直されている

 瀬戸内金網商工(高松市)は、箱状の金網に石を詰めてよう壁や護岸で使う「石詰かご」(じゃかご)の国内トップシェアを誇る。創業は1893年(明26)、49年に株式会社化した老舗メーカーだが、近年ではじゃかごを重機によりプレキャスト化した「ボックストーン工法」を確立した。

 ボックストーンとは字のごとく、箱(ボックス)と石(ストーン)を組み合わせた造語である。従来、石詰かごは空かごを設置した後に石詰め作業をしていたが、河川や山の急斜面など足場の悪い場所では危険を伴う。ボックストーン工法は平地であらかじめ石詰めをすることで、安全性の確保と大幅な時間短縮を実現する。この点が評価を受け、国土交通省の新技術活用システム「NETIS」に登録された。今後の普及が期待されている。

 同工法をさらに進化させたのが、環境タイプの製品だ。コア企業の瀬戸内金網商工が金網製造のノウハウを提供し、近畿砕石(京都市左京区、岸田隆行社長、075-741-2164)が石を詰めるかごをつくる。そこにテザック(大阪市西区、石橋隆社長、06-6578-5520)がボックストーン工法専用となる植生マットを開発した。

 07年、石と空間だけだった石詰かごにテザックが緑化の概念を持ち込み、3社の強みを存分に生かした次世代型の河川景観保全に最適といえる「緑化ボックストーン」で、環境対応を前面に打ち出したタイプの製品として販路拡大を目指す。

瀬戸内金網商工(株)


会社名
役割分担
■コア企業
瀬戸内金網商工(株)
ボックストーンの設計、製造・販売
近畿砕石(株)カゴセッターの設計、製造・販売
(株)テザック市場緑化資材の研究開発、調査、販売



瀬戸内金網商工(株) 白井常彦社長<br>「プロだけが集まって新連携の発想に忠実に取り組んだ」

瀬戸内金網商工(株) 白井常彦社長
「プロだけが集まって新連携の発想に忠実に取り組んだ」

【網ひと筋、環境製品は自然回帰から生まれる】

 創業当時、ニワトリ向けのかごなど農業向けのモノづくりでまい進してきた瀬戸内金網商工。今回の新連携で、まとめ役として中心的な役割を果たした黒田潔理事社長室長は「ニッチな産業だが、網ひと筋」と、こだわりの姿勢を強調する。

 じゃかごづくりも、昔は手作業で進めていた。形も円筒形と角形がある。河川での護岸工事においては、じゃかごは伝統工法として多用されてきたが、コンクリートブロックの普及で市場規模は縮小傾向にあった。しかし、環境保全にシフトしつつある昨今、土砂が堆積して草木が生育するなど「自然らしさ」を演出することが見直されている。

 粗度係数(河川の水が河岸に触れる際の抵抗量)は高いほど発生する波を消すが、じゃかごはその係数が高いのも特徴だ。国内有数の避暑地である上高地(長野県)の梓川の川べりでもじゃかごが使われる。消波装置として安全性を確保しつつ、自然に違和感なく溶け込み、観光客を和ませる。再び市場でのシェアも拡大路線に乗った。

 そして、緑化型のボックストーン。じゃかごから進化し、石を先に詰めてストック、搬送して設置するボックストーンに緑化機能を付け加えた製品だ。自然回帰。現代社会のニーズを反映したものとはいえ、新連携で開発された緑化ボックストーンは生まれるべくして誕生した。

【“超プロ”3社が結束、販促に本格化】

 緑化タイプはシートの中に種を埋め込み、石の上に乗せる。植物もヨモギなど7種類を要望に応じて変更が可能だ。香川大工学部も技術支援し、緑化資材の製造を手がけるテザックが開発面で中心的役割を果たした。

 構造は、ボックスストーンの背面にある土砂の水分を利用し、シートの植物に水を行き渡るようにするが「導水マップをつくるのは足かけ3年、苦労した」(黒田理事)という。

 「緑化の部分が、荒天時でも流れない。テザックは緑化のプロ、近畿砕石は砕石のプロ、われわれはかごのプロ。“超プロ”だけが集まってやろうとして新連携の発想に忠実に取り組んだ」と白井常彦社長は大きくうなずく。

 かごづくりは伝統のワザだが、近代工法にはマッチしない部分もある。ボックストーンは、伝統の良さを生かしながら、より最新の工法として昇華させた。安全面もコスト面でも優位性に立つ。

 09年度から本格的な販売を開始した緑化ボックストーンは「使い勝手がいいと評判を頂いている」(白井社長)と、これからは販路拡大に全力投球する。金網の大きさが長さ2メートル、幅1.2メートル、高さが0.5メートルの標準サイズで価格が2万7000円。初年度500セットを目標にしている。