製造/関東 「中空部品内面バリ無しプレス加工」

パイプの穴あけコストを大幅ダウン

 ナディックは金型設計を行うファブレス企業。2003年に取引のあった自動車部品メーカーから、油圧部品のパイプ穴あけ関連の相談があった。内面バリの処理コストと手間がかかり過ぎるため、なんとかできないかというものだった。

 これを受け、ナディックの上野栄蔵社長は、金型設計で培ってきたノウハウと技術力を生かして研究に打ち込んだ。プレスでバリの出ないパイプ状部品の穴あけ技術と装置の開発に取りかかった。従来、穴あけ加工は外側からドリル加工または放電加工するのが一般的で、内側のバリ処理に手間とコストがかかり、効率が悪かった。また、直径2ミリメートルの横穴1カ所のプレス加工は難しいとされていた。

 1年後、新技術で金型やプレスの加圧法などを工夫して、「パイプ内面バリなしプレス加工」を開発した。内側から外側にプレス穴あけ加工するため、内面は傷めずバリが出ない。内面検査が不要で、コストも従来の加工方法に比べて約3−5割ダウンした。この加工法は自動車、油空圧、産業機器部品のパイプ穴あけ加工に大きな需要が見込まれる。

(株)ナディック


会社名
役割分担
■コア企業
(株)ナディック
マーケティング/金型設計/プレス機設
(有)山一精工専用プレス機械製作
(有)稲田製作所切削加工/出荷検査
(有)内堀製作所金型作成
(株)尾崎製作所プレス量産加工
オリオン機械(株)生産技術/品質管理/経理指導



(株)ナディック<br>上野栄蔵社長

(株)ナディック
上野栄蔵社長

【長野・須坂地域の産業活性化へ技術連携】

 ナディックは金型設計中心の技術開発型企業だ。生産設備を持たないため、加工生産を社外に依頼している。以前から仕事の連携の重要さを理解している。上野栄蔵社長は「長野県内19市の中で須坂市は、1人当たりの工業出荷額が最低のほうだ。これを打開するために地元連携で新産業を創出していきたい」と、新連携への意気込みを話す。

 須坂市は、産業アドバイザーをおき、中小企業の問題や悩みにアドバイスしている。新連携は、コア企業となったナディックが、オリオン機械とともに開発した基礎技術の活用を産業アドバイザーに相談したのがきっかけ。産業アドバイザーは須坂市を活性化するために協力を約束し、連携新事業がスタートした。

 地元企業5社がグループを組んで、技術ノウハウをそれぞれ生かして受注活動を進め、産業活性化を進めることになった。また、経済産業省が2005年度から始めた「新連携計画事業」に申請した。「横の太いつながりで展開できる須坂のモノづくりをより繁栄させたい」(上野社長)と、技術開発とモノづくりで地域経済に貢献するのが狙いだ。

 2005年9月、ナディックの連携体が長野県で初めて新連携計画事業に認定された。特許出願中の「パイプ内面バリなしプレス加工」技術は、自動車や油空圧部品において、大幅にコストダウンできる革新的工法として認められた。さっそくグループ企業の役割分担を決めた。グループ会議を月1回程度開いて、最良の運営システムを構築した。

 ナディックの連携体は、まず「須坂工業連携体規約」を策定。別途「機密保持契約」を結んで情報漏えいを防ぐ体制を整えた。加えて「特許実施許諾」や「品質保証」などの契約書を作成し、新事業がスムーズに実施できるようにした。


【地元をバリなし技術の拠点に】

 新連携事業に認定されたことで、商工組合中央金庫や八十二銀行などが無担保・無保証の低金利融資をしてくれる。また、中小企業基盤整備機構がビジネス支援ポータルサイト「J-Net21」などで情報発信や広報を展開。さらに、市や地元中堅企業のバックアップなど、横のつながりと協力体制が生まれ、大きな産業に成長できる素地ができた。

 同連携体は、ライセンス料を取らず、製品出荷のロイヤルティーだけとする。2005年10月に開かれた中小企業総合展では、自動車部品メーカーなど60社余りにサンプルとカタログを渡した。「多額の補助金を生かすため、顧客にプレゼンテーションして仕事を受け、ビジネスとして早急に立ち上げたい」(同)と事業化に向けて傾注する。

 設備を充実してバリなし技術の拠点を目指したい。自動加工装置を開発し、大量の受注を受けたい」(同)と夢は大きい。