製造/関東 「新型ベローズポンプによる薬液供給システムの事業化」

設計専門からオリジナル製品の開発へ

 シグマテクノロジー(茨城県ひたちなか市)は日立製作所の設計部に在籍していた橘良昭社長が2002年に創業した。企業や大学の依頼を受け、今回認定を受けたベローズポンプのほか、レーザーなど各種機器の設計を手がけてきた。そのうち、オリジナルの製品を作りたいと思うようになり、06年から新型ベローズポンプの開発に取り組み始めた。

 ベローズポンプは化学工業用の薬液供給や、半導体などの洗浄に用いられて30数年になる。ベローズと呼ばれる蛇腹状の左右二つのポンプを動かすために、ベローズを囲む形で設置した連結シャフトを駆動させ、片方に圧縮空気を入れて収縮させると、もう片方が膨張する仕組みだ。

 だが従来方式では、連結構造が複雑で組み立て精度を保つのが難しいことや、シャフトの軸受部分の摩耗による故障、部品点数が多くメンテナンス性が悪いなど課題があった。さらに、脈動というポンプ内の液体が一定ではなく一度に多く排出される現象をなくすため、ダンパーという製品を使う必要があった。

 新型のべローズポンプはこれらの課題を解消したうえ、ダンパーがなくても脈動を抑えることができるようになった。それは今まで多くの企業が試みて失敗してきた、連結シャフトをなくして構造をシンプルにすることに成功したからだ。

シグマテクノロジー(有)


会社名
役割分担
■コア企業
シグマテクノロジー(有)
べローズポンプの設計・製造
(株)バルカーテクノべローズポンプ本体の加工技術
(株)ファド薬液のコントロール技術
(株)日本レーザーなど販売・マーケティング



シグマテクノロジー(有) 橘 良昭 代表取締役<br>「開発したべローズポンプは非常にいいポンプに仕上がりました。この方式がこれからの主流になっていくのではと思います」

シグマテクノロジー(有) 橘 良昭 代表取締役
「開発したべローズポンプは非常にいいポンプに仕上がりました。この方式がこれからの主流になっていくのではと思います」

【連結シャフトをなくしてシンプルな構造に】

 これまで連結シャフトがないと、圧縮空気を入れる際、ベローズに縦の圧力がかかり、つぶれてしまっていた。シグマテクノロジーは圧力上昇を抑える独自の方法を用いることで、連結シャフトが無くてもベローズをつぶさないことに成功した。それによって体積は従来製品の7割に減った。部品点数は半分になり、メンテナンス性が良くなった。故障を起こしやすい軸受もなくなり、長寿命を実現した。

 新連携では開発・設計を同社が行い、フッ素樹脂加工が得意なバルカーテクノ(東京都台東区)にベローズ本体の加工を、ファド(埼玉県吉川市)に薬液を送り出す際のコントロールを依頼した。販売は日本レーザー(東京都新宿区)など複数の会社に依頼した。

 各社と連携したきっかけは、これまでの仕事のつながりだ。バルカーテクノとはベローズポンプの設計を他社から依頼されていた時に知り合い、独自に開発に取り組むことを相談し、協力を得た。ファドとは義歯洗浄機の開発で協力を依頼したことをきっかけに、ベローズポンプでも依頼することになった。

 新連携には昨年7月に申し込み、2月に認定された。1社ではできないことが新連携により、「開発資金や販売ルートの問題を解決できる」と橘社長は連携のメリットを強調する。特に大きかったのが「フッ素樹脂加工において信頼の高いバルカーテクノさんとの出会いだった」という。

 連携の難しさについては、「こちらの思っていることがはっきり伝わっているか不安だった」と各社との意思疎通を挙げた。連携相手が多い分、それぞれの考えにずれが生じやすいという。「それを埋めるには話し合いしかない」と今後もコミュニケーションを取っていく考えだ。

【複数のサイズを開発し、販売へ】

 ベローズポンプの開発は当初の予想より広がりのあるものになった。初めは脈動を取るためのダンパーも開発していたが、ポンプ自体にダンパーとしての機能があることが分かった。従来の切り替えセンサー内蔵方式から、タイマーで外から制御する方式に改良することでダンパーが不要になった。

 新開発のべローズポンプは流量が毎分30リットルで、実験に3年をかけ改良を重ねた。顧客の高い要求に応えるため、通常の使用水準である3000万回の2倍、6000万回の実証実験を行った。

 今年度はテスト販売を行い、来年の3月から本格的に販売していく予定だ。利用者へのアンケートの結果や販売で協力する数社との話し合いから、価格を今後決定していく。また、現タイプに加え、流量が毎分10リットルの製品を開発中で、今年度中に完成させる。来年には毎分60リットル、再来年には毎分120リットルの製品を開発する予定だ。