医療・福祉/関東 「花粉飛散設備によるアレルギー領域臨床試験サービスの事業化」

花粉アレルギー臨床試験受託サービスを開始

 ウェザー・サービス(千葉県成田市)は、民間気象会社として98年に設立。気象情報を独自システムで処理し、データ配信する気象情報事業をメーンにスタートした。しかし、設立した98年当時は、社数も少なかった民間気象会社も今では数多くある。差別化を図るには、「特性のある情報を提供することが重要」(横田匡彦社長)と考え、03年には花粉飛散情報提供サービスを開始。1時間毎に最長48時間後の飛散予想マップを作成して提供する。また、郵便番号や住所などから検索地域を特定することで、ピンポイントで飛散状況を確認することもできる。

 この事業での経験やノウハウを生かし、08年12月に新連携事業に認定されたのが「花粉飛散設備によるアレルギー領域臨床試験サービスの事業化」だ。同事業では、製薬会社などが花粉症新薬開発の際に行う臨床実験をウェザー・サービスが受託し、データを提供する。

ウェザー・サービス(株)


会社名
役割分担
■コア企業
ウェザー・サービス(株)
花粉飛散室運営管理、情報システム開発運営・営業・広報・宣伝
樹産業(株)花粉飛散室設計、花粉飛散室の安全維持・向上



ウェザー・サービス(株) 横田匡彦 社長<br>「国内には、ほかに3カ所の花粉飛散実験室があるが、収容人数は10―20人程度。コスト面を考えると、一度に倍以上のデータが得られる実験室は花粉関連企業に大きくアピールできる。」

ウェザー・サービス(株) 横田匡彦 社長
「国内には、ほかに3カ所の花粉飛散実験室があるが、収容人数は10―20人程度。コスト面を考えると、一度に倍以上のデータが得られる実験室は花粉関連企業に大きくアピールできる。」

【国内最大規模の臨床実験室を設置】

 事業化のため、インキュベーション施設である亥鼻インキュベーションプラザ(千葉市中央区)に花粉を空気中に飛散させる臨床実験室設置した。投資額は約1億円。実験室の延べ床面積は約80平方メートルで、最大50人の被験者を収容できる。「国内には、ほかに3カ所の花粉飛散実験室があるが、収容人数は10―20人程度。コスト面を考えると、一度に倍以上のデータが得られる実験室は花粉関連企業に大きくアピールできる」(同)と胸を張る。

 実験室では被験者にどれくらいの花粉が付着したかわかるように、粒子センサーを装着させる。また、被験者にはタッチパネルをもってもらい、くしゃみや鼻をかんだ場合には、その都度指定のボタンを押して新薬投与後から症状が出た間隔などの相関関係を細かく収集できるようにしている。そのほか、被験者が外から花粉などの粒子を実験室に持ち込まないように、エアシャワーを完備した。7月には商業稼働を予定しており、2010年5月期には約3億円の売り上げを予想する。


【選ばれた事実が最大のメリット】

 新連携では、ウェザー・サービスがコア企業となり、花粉飛散室の運営管理のほか、情報システムの開発、広報宣伝活動を行う。飛散室の設計や改良については、樹産業(千葉県我孫子市)が手掛ける。また、臨床試験は法律上、医師が行わなくてはならない。そのため、千葉大学医学部付属病院がバックアップする体制も同時に整えた。

 横田社長は、新連携事業に選定されたことのメリットについて、「事業に選ばれたという事実自体が大きい」という。「国から認められた事業ということで、与信力がついた」(同)と利点を語る。さらに、「中小企業基盤整備機構などの公的機関とのパイプが、より強固なのもとなったこともプラスに働いた。知的財産についての情報やイベント情報などをタイムリーに知ることができるようになった」(同)と付け加えた。

 今や国民病となった花粉症。ウェザー・サービスの調べでは、花粉症の有症率は全国で26.5%、関東のみに限ると35%を超えているという。

 同社は花粉症の医療用、一般用医薬品のほか、マスクなどの関連製品を合わせると、花粉関連製品市場規模は「1兆円弱」(同)と見ている。少子高齢化時代にあって、数少ない成長市場であることから、新連携で得た信用力とパイプを武器に攻勢をかける。