製造/近畿 「バッテリー再生効果を持つ溶剤と特殊充放電機による廃バッテリーのリユース事業」

バッテリー再生技術で全国展開

 使用済みの自動車バッテリーを復元して、リサイクル品として安く提供するのが事業の骨格。

 アワレイジ(徳島市)が復元溶剤と専用の復元装置を製造し、アクトが復元作業と使用済みバッテリーおよび復元バッテリーの集配を行う。販売は兵庫県自動車整備商工組合(神戸市東灘区)が担当し、組合員である自動車整備工場向けに供給していく。

 すでに連携相手の兵庫県自動車整備商工組合をはじめとする4都府県の自動車整備商工組合と提携しており、今後1年ほどで全国の組合と契約を結ぶ計画。全国には自動車整備商工組合傘下の整備工場が9万ほどあり、実現すれば市場規模は極めて大きい。

 現在、自動車バッテリーの販売数は年間約2,700万個。このうち整備工場での取り扱い2割にも満たないが、整備工場が安価なバッテリーを品揃えするようになれば、この比率は大きく変わる可能性がある。

 自動車バッテリーは充放電を繰り返すと、電極表面に硫化鉛が付着し、これによってバッテリーの機能が低下する。連携事業では硫化鉛を取り除くために、有機ポリマー系の溶剤と復元のための専用装置を用いて、最大 18時間かけて処理を行う。復元にかかるエネルギーは、新品バッテリーの製造に比べると少なくて済み、環境保全効果も期待できる。

(株)アクト


会社名
役割分担
■コア企業
(株)アクト
事業統括、廃バッテリーの再生、収集配送、機器・溶剤販売
アワレイジ(有)溶剤の生産、充放電機の製造、再生技術
兵庫県自動車整備商工組合再生バッテリーの販売、営業支援



(株)アクト衣笠辰巳 代表取締役社長<br>「安定した売上、販路を獲得するために、自動車整備商工組合に復元バッテリーを卸し、同組合が組合員に商品を販売するという仕組みを構築しました」

(株)アクト衣笠辰巳 代表取締役社長
「安定した売上、販路を獲得するために、自動車整備商工組合に復元バッテリーを卸し、同組合が組合員に商品を販売するという仕組みを構築しました」

【整備商工組合を通して組合員へ販売】

 新品の半額ほどで購入でき、製品化時に排出される二酸化炭素(CO2)の排出量が新品の10%以下という、財布と環境にやさしい自動車バッテリーがある。兵庫県の内陸部に拠点を置くアクトが手がける復元バッテリーがそれだ。もちろん性能は新品並みで、アクトは2年間、4万kmの走行を保証する。

 この事業はアクトの衣笠辰巳社長が、テレビでバッテリーの寿命が伸びる"魔法の水"の存在を知ったのがきっかけ。同社は外国車の販売や自動車の整備などを手がけており、自動車バッテリーとは縁が深い。すぐに、この魔法の水(復元溶剤)を製造していたアワレイジ(徳島市)と接触。情報交換するうちに復元バッテリービジネスのアイデアが生まれた。

 アワレイジが復元溶剤と専用の復元装置をアクトに供給し、アクトがこれら溶剤や装置を用いて使用済みバッテリーを復元、販売するという図式だ。

 ポイントとなるのが販売先。アクトが自動車整備業者の団体である兵庫県自動車整備商工組合(神戸市東灘区)に復元バッテリーを卸し、同組合が組合員に商品を販売するという仕組みを構築した。

 この連携によってアクトとアワレイジは安定した売り上げが見込めるようになる。一方、自動車整備商工組合は組合員である自動車整備業者が、価格競争力があり、CO2排出量の少ない魅力的なバッテリーを取り扱えるようになる。バッテリーの購入のために、自動車所有者が整備工場を訪れるようになれば、他の商品やサービスの販売チャンスが生まれる。

 このシステムは兵庫県内にとどまらない。すでに東京都、京都府、奈良県の自動車整備商工組合と提携しており、現在、滋賀県、高知県、茨城県の組合と交渉中。さらに神奈川県、埼玉県、栃木県などからも問い合わせがあり、一気に広がる様相を呈してきた。


【5年後は10億円規模に】

 近畿圏内はアクトが復元作業をはじめ使用済みバッテリーの回収、復元バッテリーの配送などを行う。その他の地域についてはアクトと同じような作業のできる業者を選定し、業務を委託する計画。委託できない地域については、アクトが進出することも検討する。こうした取り組みで、5年後には全体で10億円の売り上げを目指すという。

 アクトの衣笠社長は「新連携計画の認定により、資金の借り入れがしやすくなるだろう」と資金調達面でのメリットに期待を寄せる。他地域に進出する際には、3,000万〜4,000万円の投資が必要となるだけに、借り入れの成否は事業拡大の重要な要因となる。

 「復元バッテリーは自動車整備工場にしか卸さない」と、あくまで整備工場の競争力アップにこだわる衣笠社長には、明るい未来が見えているようだ。