製造/四国 「世界初「超高密度・超幅広ジャカード織」技術による最高級織物の開発・製造・販売」

タオルから脱皮した超高密度・超幅広の高級寝具や壁紙

 愛媛県今治市はタオルの生産高で日本一。今治タオルを代表するジャカード織は、複雑な文様と多彩な色彩が特徴だ。 

 上脇は中国製の安価なタオルと一線を画し、ジャカード織による付加価値の高いタオルやハンカチなどを製造販売している。諏訪紋匠はジャカード織の複雑な文様を生かしたデザインに取り組む。両社に染色業者の西染工(今治市、山本敏明社長)が加わり、今治発で世界初の「超高密度・超幅広ジャカード織技術」による最高級織物の開発に挑んだ。

 商品化に向けて諏訪紋匠はソフトウェアを改良し、約2万3,000針を織り込む新技術を開発した。通常のジャカード織が約3,000針で最大でも約9,000針程度に対し、新技術は従来比2.5倍以上の針数で織り込まれ、より複雑な文様と多彩な色彩を可能にした。

 また上脇は約1億円を投資し、幅4mで織れる海外製の幅広ジャカード織機を導入。この織機を使った二重、三重織を応用した多重織手法で特許を取得した。一方で、西染工は仕上機を購入。新技術で織り上がった商品に防水加工や撥水加工を施す。

(株)上脇


会社名
役割分担
■コア企業
(株)上脇
事業マネージメント、製造(織り)
(有)諏訪紋匠紋型、織りデザイン



(株)上脇 上脇 大智 代表取締役<br>「協同組合名の「菱花」は父親の俳号に由来します。腕の良い織師だった父が、一方で高浜虚子の弟子として俳句を詠んでいた。父は機能性や高機能に加え文化を持った織物を織りたいという夢があり、自分もそれを受け継いでいきたい」

(株)上脇 上脇 大智 代表取締役
「協同組合名の「菱花」は父親の俳号に由来します。腕の良い織師だった父が、一方で高浜虚子の弟子として俳句を詠んでいた。父は機能性や高機能に加え文化を持った織物を織りたいという夢があり、自分もそれを受け継いでいきたい」

【竹馬の友が連携】

 世界初の「超高密度・超幅広ジャカード織」技術による最高級織物の開発は取引先から「現行より大きな高級シーツができないか」とのニーズがあり、「それならできる」(上脇大智上脇社長)となって始まった。

 連携体の上脇、諏訪紋匠と協力企業の西染工の3社は、今治のタオル産業を支える老舗。織師とデザイナー、染師は互いに関係が深く一体でタオルづくりを手がける。3社の代表者は50代と40代の2代目や3代目で、幼いころからの友人。互いを熟知し、地場産業を再生したい思いも一緒で協力もスムーズに進んだ。

 新連携の制度活用は愛媛県中小企業団体中央会などから助言を受けた。技術支援は愛媛県産業技術研究所繊維産業技術センターから協力を得た。

 上脇は従来のタオル製品などの取引先に加え、高級シーツやカーテン類、壁紙の販路拡大に期待している。上脇社長は「部屋の壁や劇場の壁一面を織物で飾ることもできる」と夢を膨らませる。

 販路開拓では海外にも目を向け08年はドバイの展示会にも出展。一方、国内では5月に東京都渋谷区のオーガニック繊維製品販売店で寝具類を中心に発売する。6月には東京の展示会に30品150点を出展する。


【3社で協同組合を設立】

 新技術を活用した今後の事業展開を踏まえて3社は08年に協同組合「菱花(りょうか)」を設立した。事務局は上脇内に置き、上脇社長が理事長に就任。愛媛では珍しい異業種による協同組合の設立だという。

 3社は「菱花」をブランド化して事業展開を進めていくことを検討。自社で独自に販売する一方で、共同で展開したほうが効果的な場合は協同組合を活用する考えだ。
 
 「超高密度・超幅広ジャカード織」は従来の幅では実現できなかったつなぎ目のない一体成形のシーツカバーやピローケースなどの寝具類や壁紙などを商品化した。シーツの価格は10万円前後で高級品として売り出していく。