製造/近畿 「斜め織り織機による高機能布素材の製造販売」

「斜め織り」織物による産業資材への進出をめざす 

 桑村繊維と片山商店は2005年2月、新産業創造研究機構(NIRO、神戸市中央区)や兵庫県工業技術センター繊維工業技術支援センター(兵庫県西脇市)などと協力し、縦糸と横糸を斜めに交差する斜め織りの専用織機を世界で初めて実用化した。開発した同織機を使って、斜め織りの特性を生かした高機能布素材を製造。自動車メーカーや一般機械メーカー、航空機メーカーなどをターゲットに、ハイテク繊維素材として販売する。

 まず、バンドー化学に高機能伝動ベルト用の基布として販売している。バンドー化学は、この織物を伝動ベルトの被覆材として採用し、伝動効率の高いベルトの開発に成功した。ベルトの年間生産量を400万本とすると、二酸化炭素約40トン、ベルト換算で約5万本の削減効果が期待できるという。

 連携参加団体の繊維工技支援センターから織物に関する技術的なアドバイスを受けるほか、販売先となるバンドー化学、合成繊維メーカーなどと用途開発を進める方針。航空機構造材やゴルフシャフトなど向けの布素材として販売を目指す。

桑村繊維(株)


会社名
役割分担
■コア企業
桑村繊維(株)
斜め機械による布製造
(株)片山商店斜め機械開発知識、技能



桑村繊維(株)<br>桑村茂社長

桑村繊維(株)
桑村茂社長

【地場産業をハイテク分野に応用】

 兵庫県西脇市や加西市を中心とする北播磨地域は全国有数の織物産地だった。古くから播州織と呼ばれ、同県を代表する地場産業として発展してきた。だが現在は、そのほとんどが春夏向けのシャツ、ブラウス素材など薄手織物。長引く不況や、製造コストの安い中国製品の台頭などにより、播州織に対する需要が減少し、厳しい状況に置かれている。

 そうした中、地域を挙げて取り組んでいるのが「斜め織り」織物による産業資材への進出だ。衣類などで使用されている従来織物は、たて糸と横糸が直角に交差しているものが一般的。一方、斜め織り織物はたて糸と横糸が斜めに交差しているもので、従来織物にはない特性がある。その特性を利用してハイテク分野へ参入しようというのが狙いだ。

 播州織産地では、斜め織り織物に対する関心が高く、約30年前から同織物専用織機の開発にチャレンジしてきた。だが同織物への確実な需要がなく、品質のバラつきが自動化のネックとなり、これまで実用化に至った例はない。

 斜め織り織機の開発事業は、経済産業省の「2003年度地域コンソーシアム研究開発事業」に認定され、新産業創造研究機構(NIRO、神戸市中央区)や桑村繊維、片山商店、バンドー化学など計8社・団体が、2003−2004年度に取り組んできた。

 2005年2月、桑村繊維、片山商店が中心となって設計した世界初の斜め織り織機が完成した。同織機は、横糸を押さえつける筬(おさ)を改良し、織り目の密度のバラつきを抑えた。回転数は毎分230−240回転。価格は従来機の約2倍で、2000万円程度を見込んでいる。


【産業資材向けに展開 新たな飛躍に向けて】

斜め織り織物は、従来の織物よりも柔らかい感触で、斜めに伸びにくい方向と伸びやすい方向があるのが特徴。また、同織物を交互に積層することで、高い強度としなやかさを持つ素材をつくることができる。バンドー化学が省エネ型伝動ベルトの基布として利用を見込んでいるほか、自動車や航空機の構造材、ゴルフシャフト向けの布素材など、幅広い分野への適用を見込む。

 桑村繊維の2004年度の売上高は95億円だが、そのほとんどがアパレル向けの織物。産業資材分野の販売は年間約8億円で、全売上高に占める産業資材分野の比率は7−8%程度と低い。
 大江周平常務は「斜め織の特性を生かした高機能布素材を早期に事業化し、将来は産業資材を20−30%まで引き上げたい」と話す。斜め織織布業の製造販売業を産業資材分野向けに展開し、新しい経営の柱として育てていく方針だ。