IT/九州 「移動式ネットワ−クカメラ「モニタリングミックス」の事業化」

どこでも手軽に設置が可能・移動式遠隔監視カメラで市場開拓

 アシストユウと共立電機製作所は、場所を選ばず簡単に設置することができる次世代携帯電話網(FOMAやPHSなど)を利用した移動式遠隔監視カメラを開発、屋内・屋外用遠隔監視システムの提供と、ASP録画情報管理サービスの全国販売を目指している。通信各社のモバイルカードを差し込めば、設置して2〜3分後には撮影が可能という利便性が売り物だ。

 現在、インターネットを使ったカメラは固定式が大半を占める。ただし現地調査や配線工事、ネットワーク設定などに時間を要するのが欠点だ。

 08年8月に新連携の認定を受けたアシストユウ(宮崎市)と共立電機製作所(同)が開発したカメラは、設置や撤去を短時間で行えるのが特徴。工事現場で施工期間だけ利用するケースや災害場所の監視、防犯対策などでの用途を想定している。これまで宮崎県の港湾設備などに4件の設置実績がある。

 カメラを内蔵した本体に携帯通信用のカードを挿入して利用する。スタンドと電源を加えた基本セットの場合、価格は60万円程度。長期間にわたる撮影が必要な場合には固定式のネットワークカメラを提供することもできる。

 移動式に必要な電源装置や照明、携帯電話への通知、画像転送などの機能も付け加えることが可能。さらに遠隔操作の機能を使えば、園芸ハウスの天窓の開閉やポンプなどの操作も画像を見ながら行うことができる。

(株)アシストユウ


会社名
役割分担
■コア企業
(株)アシストユウ
移動式ネットワークカメラ企画・開発技術、ASP録画・DDNSサーバー開発技術
 (株)共立電機製作所 ハウジング製造およびコンパクト設計技術、電気回路設計製作技術



(株)アシストユウ 小幡 小百合 代表取締役社長<br>「モバイルカードを差し込こみ、本装置を置くだけで3分以内に使用が可能となる利便性の高い屋内・屋外用遠隔監視システムです。遠隔モニタリングに対応して各種装置の制御も可能なため、他分野への市場拡大も見込んでいます」

(株)アシストユウ 小幡 小百合 代表取締役社長
「モバイルカードを差し込こみ、本装置を置くだけで3分以内に使用が可能となる利便性の高い屋内・屋外用遠隔監視システムです。遠隔モニタリングに対応して各種装置の制御も可能なため、他分野への市場拡大も見込んでいます」

【ネット環境改善や安全意識の高まりが開発を後押し】

 アシストユウは2000年から移動式ネットワークカメラの開発に着手した。01年には第1号機を完成したが、高速大容量のインターネット環境などインフラ面の整備が進んでいなかったために、一時開発を中断した時期もある。その後のネット環境の変化やセキュリティへの意識の高まりなどが開発を後押しした。06年には宮崎県のトライアル発注制度の認定も受けている。

 アシストユウの本業はCADを使った図面製作やコンピュータソフトウェアの販売、パソコン指導にかかわる人材派遣業だ。モノづくりは本業ではないため、電力関連設備や農業関連機器を製造、販売している共立電機製作所の力を借りた。

 新連携の認定を受けたことで「金融機関や企業から信用が高まった」(小幡小百合アシストユウ社長)と喜ぶ。ただ認定を受けるまでには商品の独自性、新規性を理解してもらうのに苦労したという。

 現在の施工実績のうち、宮崎県中部港湾事務所では船舶の管理録画を行っている。カメラの特徴を生かし、場所を変えて外国船の入港を撮影することもあるという。また県外では養豚汚水処理場での処理工程の観察や、電線や工具の盗難被害に悩む電気工事現場への設置といった実績がある。


【遠隔モニタリング対応で各種装置の制御も可能】

 このほかにも、(1)台風や地震などの被害にあった場所で臨時的に設置して被害状況監視する、(2)栽培中の農産物の観察建設工事現場に工事期間だけ設置し、工事の進行状況を施工主らにリアルタイムで知らせる、などの用途を想定している。

 また「幼稚園に子供を預けている保護者向け画像や24時間稼働している加工機械の管理用、商店街の落書き対策などにも提案していきたい」と、小幡社長が思い描く市場はつきない。

 今後に向けてはモバイル端末の通信環境の向上など、同社の努力だけでは解決できない課題もある。その一方で、公共工事に評価入札制度が導入され始めたことなどは追い風だ。「単純に価格が高いか安いかだけでなく、高くてもカメラによる監視が伴えば品質面の差別化にもつながる」(同)という。

 今後5年間で600台の販売を目指している。また本格販売に備えて販売代理店も募集し、販売網の構築にも乗り出す。さらに製品のネーミングやデザイン変更なども計画している。

 「これまで当社には独自の事業がなかった。ネットワークカメラは将来的に企業を安定させるための商材に育てたい。大手企業が移動式カメラの市場に乗り込んでくる前に積極的に販売を進めたい」と小幡社長。新連携の専門家派遣制度も活用して、コンサルタントから販売面の指導も受けるという。