サービス/北海道 「3Dレーザースキャニングシステムを搭載した大型産業用無人ヘリコプタからの計測・解析による高密度・高精度データの提供」

計測困難な地形を柔軟に計測

地質調査や測量など、社会資本整備に関わる計画・設計・施工・維持管理から事業全体をサポートする空間情報のスペシャリスト「タナカコンサルタント」がコア企業となり、産業用の大型無人ヘリコプタに3次元のレーザースキャニングシステムを搭載、高精度な3次元データを計測するサービスを展開する。

土砂崩れ現場や岩盤の崩落現場、危険で人の立ち入りが制限される場所の地形などに対して、近接して横や斜めなどあらゆる角度から計測、短時間で高精度の解析データとして提供する。

同事業の連携体は3次元計測、解析において豊富なノウハウを持つタナカコンサルタントをコア企業に、3次元レーザースキャニングシステム開発、ソフトウェアの開発を担うデベロ、産業用の無人ヘリコプタの操縦および技術指導、保守管理を担うシンタニの3社が組む。

計測システムの軽量化・安定化や赤外線カメラのヘリコプタへの搭載など、多様な計測を可能にするシステムの構築と事業化を図る。計画の実施には連携体メンバーのほか、外部協力メンバーとして室蘭工業大学、北見工業大学が加わって技術指導や評価にあたる。

大型ヘリコプタを使った計測事業のマーケットは、国や地方自治体、ゼネコンなどによる防災関連のほか、橋やダムなど大型構造物の維持、施工、管理などを想定するほか、自然環境保全の需要も期待できるとしている。

(株)タナカコンサルタント


会社名
役割分担
■コア企業
(株)タナカコンサルタント
三次元データ計測・解析、シミュレーション技術、マーケティング・販売
(有)デベロ3Dレーザースキャニングシステムの開発・改良、ソフトウェア開発・改良
(株)シンタニ大型業用無人ヘリの操縦および技術指導・保守・管理



(株)タナカコンサルタント 田中 稔 代表取締役<br>「防災事業のほか、3Dデータスキャニングシステムに赤外線サーモグラフィを搭載することにより、道路・河川等の施工管理、構造物の維持管理、自然環境保全の需要も期待できます」

(株)タナカコンサルタント 田中 稔 代表取締役
「防災事業のほか、3Dデータスキャニングシステムに赤外線サーモグラフィを搭載することにより、道路・河川等の施工管理、構造物の維持管理、自然環境保全の需要も期待できます」

【きっかけはスペースシャトル。無人ヘリで高精度な3次元計測】

「ゆくゆくは業界標準にしたい」(田中稔社長)。測量、設計、地質調査など、総合計測サービスが主力のタナカコンサルタントは、新連携支援制度を活用して無人ヘリコプタを使った高精度な3次元レーザー計測システムの開発、事業化に取り組む。

対象物に横から斜めから自由自在に計測し、高精度なデータを提供するこの技術。「ゼネコンなどからの引き合いもある。いったん火がつけばぐっと大きくなる」(同)と今後の事業成長に期待を寄せる。

きっかけはスペースシャトル。田中社長が3次元レーザー計測を実用化するきっかけになったのが宇宙飛行士、毛利衛さんのミッションだった。2000年に搭乗した際の任務の一つがレーザーを使った地球の計測。「地形を詳細に解析していた。測量のプロではない人が詳細に地形を解析した。測量のこれからはレーザーになる」と考えた。

そんなときに出会ったのが新連携支援制度だ。テーマは「3Dレーザースキャニングシステムを搭載した大型産業用無人ヘリコプタからの計測・解析による高密度・高精度データの提供」。担当のプロジェクトマネージャー(PM)と事業計画書を練り上げ、06年7月に認定を受けた。

同社は計測システム開発を手がけるデベロ(大阪市)、無人ヘリコプタの操縦技術を持つシンタニ(北海道江別市)の3社が手を組むことで「開発コストとスピードを追求した」(田中社長)。


【計測データはその場で解析】

課題は3次元レーザースキャナーの軽量化とヘリの挙動変化による計測のぶれ補正。およそ1年半、約1億円をかけてレーザー計測器「LISA3」を完成した。

またヘリ搭載に不可欠な軽量化については、スキャナーや全地球測位システム(GPS)、慣性測定装置(IMU)、デジタルカメラなど主要な搭載機器を可能な限り軽量化して、ブレも搭載位置などを工夫しながら諸課題をクリアした。

現行の航空レーザー法や地上型レーザー法ではレーザーの照射範囲が大きかったり、構造物などが障害になったりすることもあって高精度な計測においてはいくつかの制約があった。

しかしこの事業では、無人ヘリ計測システムによって得られた計測データは地上基地局の車両に送られてその場で解析作業され、3次元データとして提供できる。さらに計測精度のほか、無人ヘリの計測は土砂崩れの現場など、人が立ち入れない場所や危険を伴うところにも柔軟に対応でき、測量士の危険回避にもつながる。

田中社長は今後の見通しについて、「3次元計測は学会などで注目され初めている。地震や津波など自然災害に対応する防災対策としてのニーズも高まっており、ビジネスチャンスを広げていきたい」と手応えをつかんでいる。