製造/近畿 「建築現場等作業員を対象とした保冷剤レンタル配送サービスおよび専用ベスト販売」

配送・洗浄・冷凍・管理、すべておまかせのシステム

 自社の特許を軸にオリジナリティあふれる商品開発を手掛けるパアグ。同社は医薬品メーカー、運送業者などと連携し、猛暑化の影響で熱中症被害が増加、屋外の建築現場などの作業員の労働環境の改善を目的として「クールダウンベスト」を開発した。

 建築現場などの夏季の暑さ対策として、専用の「保冷剤保持ベスト」と、その中に入れる「保冷剤」をレンタル形式で建築現場に配送するサービスを連携体とともに提供、販売する。

 保冷剤はハセック(滋賀県甲賀市)が開発を担当。保冷剤や適温材、エアパッキンを組み合わせることで、軽量かつ適度な冷感(表面温度が10℃〜20℃)を4時間保持させている。

 医薬品メーカーのアルフレッサ(東京都千代田区)が販売元になり、運送業者のアクティー・フタバが配達・回収から消毒、商品チェックを行う。小規模作業現場には保冷庫のリースも行う。使用料金は1日300円から、配送料金は同1人あたり120円。

 「同様な製品はこれまでにあったが、リースすることで利用者の簡便さを追求した」とパアグの住友悠希社長は自信を見せる。

(株)パアグ


会社名
役割分担
■コア企業
(株)パアグ
全体統括、受発注業務、企画立案、システム管理・販売
(株)ハセック適温材の開発



(株)パアグ 住友 悠希 代表取締役社長<br>「動きやすく身体にフィットするクールダウンベストに、軽量かつ適度な冷感を保つレンタル式の保冷パックを組み合わせています。装着時の快適性を維持しながら利用者層の拡大を狙える商品展開を図っていきたいです」

(株)パアグ 住友 悠希 代表取締役社長
「動きやすく身体にフィットするクールダウンベストに、軽量かつ適度な冷感を保つレンタル式の保冷パックを組み合わせています。装着時の快適性を維持しながら利用者層の拡大を狙える商品展開を図っていきたいです」

【暑さから人を守りたい。連携によりわずか2カ月で開発】

 熱中症予防で何か考えられへんかー。夏になると熱中症で多くの人がバタバタと亡くなる。一方で予防策はなかなか講じられていないのが実情。パアグ(大阪市城東区)の住友悠希社長はそんな状況に胸を痛めていた。

 「必ず予防できるはずだ」。古くからの友人で医薬品メーカーのアルフレッサ(東京都千代田区)の中村昭二取締役専務執行役員医薬営業本部副本部長と熱く語ったのは07年秋。思いつくとすぐに実行しなければ気が済まない性分だ。

 07年11月に「クールダウンベスト」の開発に着手。同社と取引があったハセック(滋賀県甲賀市)が保冷パックを製造していることに目をつけ、さらなる改良を行った。保冷パックをベストに入れ、自社内のサウナバスでのテストを繰り返しながら4時間保温(重さ約1.1kg)できるものと2時間保温(同650g)できるものの、2種類を用意した。販売はアルフレッサが行う。


【5万人にクールダウンベストを】

 システムは、利用者が1カ月前までに場所や数量を決めて発注し、それを受けて作業現場まで配達する。運送業者のアクティー・フタバが配達・回収から消毒、商品チェックを行うため、利用者は保冷庫が不要だ。

 小規模作業現場には保冷庫のリースも行う。使用料金は1日300円から、配送料金は同1人あたり120円にした。「建設工事などは短期間かつさまざまな場所で行われることを考えたらリースが最適な方法」(住友悠希社長)。

 07年12月中旬には新連携に申請した。開発着手から申請までわずか2カ月足らず。「中小は4カ月でやるところを2カ月でやるから、えらいねん」と中小企業の底力を住友社長らしい言葉で表現する。

 08年度は試験導入だったため利用者は300人程度。しかしこのサービスの目新しさは評判を呼んだ。09年度は「5万人にクールダウンベストの袖を通す」(同)ことが目標だ。

 丸紅との共同事業で、日本郵政が導入を決めた。防衛省も興味を示している。アルフレッサとの事業もこれまで通り進めていく。もっぱら作業者向けの製品だが、「野球観戦客や女性にも使ってもらえるように応用したい」(同)とアイデアは尽きない。

 09年の夏には、クールダウンベストを着用して快適に作業をする人たちを街で目にする機会が増えてくるだろう。