製造/中部・北陸 「金属工作機械から出る切粉を混合させずに空気搬送する装置の製造・販売事業」

切り粉の問題を解決

 モノづくりの現場では連日、工作機械から鉄やアルミなどワークの切り粉が発生する。その運搬処理は人が台車で行うなど、大変な労力を要し、各業者にとって悩みの種だ。

 そこでコア企業のクマクラ工業は切り粉を空気輸送できる「切粉マジックシステム」を開発。同システムの製造・販売で、永江技術製作所(岐阜県多治見市)、トーノー・ニッソー(同可児市)、中部電気サービス(同多治見市)の3社と連携した。

 切り粉マジックシステムは工作機械に取り付けて使用する。工作機械のチップコンベヤーから出た切り粉を、破砕装置(強制クラッシャーフィーダー)で破砕しながら、空気で輸送管を通じて回収する仕組みだ。

 鋳物、アルミ、鉄などさまざまなワークに対応し、これらワークの切り粉を分別回収することが可能だ。切り粉がカール状であっても、破砕して輸送できる。切削加工の際に、切り粉に付着した油、水分なども輸送中に分離、捕捉する機能を搭載している。

 現在、クマクラ工業では、新聞広告出稿、展示会参加、大手企業への営業など、同システムを売り込むための積極的な活動を展開している。反響は大きく、高い評価を得ている。引き合いも多く、その拡販に手応えを感じている。

クマクラ工業(株)


会社名
役割分担
■コア企業
クマクラ工業(株)
切粉空気輸送機械およびシステムに関する特許・製造・メンテナンス体制など
(有)永江技術工作所切粉破砕機械装置および輸送管スライドゲートに関する技術・加工ノウハウ
(株)トーノー・ニッソー動力盤・操作盤・手元盤に関するノウハウ、製作、各基盤作動に関するメンテナンス体制
中部電気サービス(株)電気配線工事に関するノウハウ、電気配線・メンテナンス体制



クマクラ工業(株) 熊倉康雄 代表取締役社長<br>「開発した金属切粉マジックシステムは、空気の力を利用して安全に効率よく金属切粉を集積することができます。省力化、コストダウン、作業環境の大幅な改善を実現する画期的なシステムです」

クマクラ工業(株) 熊倉康雄 代表取締役社長
「開発した金属切粉マジックシステムは、空気の力を利用して安全に効率よく金属切粉を集積することができます。省力化、コストダウン、作業環境の大幅な改善を実現する画期的なシステムです」

【空気輸送装置のパイオニア】

 コア企業のクマクラ工業は、生コンプラントでセメントをタンクからプラントに空気で送る装置の製造販売を手がけている。同装置は全国の生コンプラントの半数を超える工場で使われている。また空港やダム建設などの大型プロジェクトでも採用実績が多数あり、同社は「空気輸送装置の草分け的存在」(熊倉康雄社長)といえる。

 そんな同社が、これまでとは異なる分野の金属加工工場へと目を向けたのは、「人手で切り粉を処理している」(同)という非効率な現状を知ったためだ。コンベヤーで処理する工場もあるが、電気代がかかるなどの課題がある。このため、コンベヤーから人手に戻す工場もあるという。

 そんな状況から、同社では「切り粉も空気で送れば良いのでは」(同)と発案し、金属加工現場向けの空気輸送装置の開発に着手。連携先企業の協力を受け、07年に「切り粉マジックシステム」を完成した。

 同システム名に「マジック」という表現を使っているのには特別な狙いがある。それは、「製品だけでなく資源も生まれる」(同)ということをアピールするため。つまり同システムを使った工作機械があれば、製品を作り出しながら、同時に鉄、アルミなども再資源として無駄なく回収できるというわけだ。また切削油も切り粉から分離回収することで、再利用が可能になる。

 同社では環境や原材料価格の高騰といった金属加工業界が抱える諸問題に対応できるシステムとして、売り込みを進めている。


【大企業を攻略】

 だが、生コンプラント業界では知られている存在とはいえ、同社は金属加工業界では後発の存在となる。そこで新連携の認定を受け、金属加工業界での認知度向上に積極的に取り組んだ。既存の営業に加え、新聞などへの広告出稿、展示会への参加などだ。その結果、同システムへの引き合いが多く来るようになった。

 そうした引き合いには、もちろん中小企業からのものも含まれている。ただ、同システムを導入するためにはそれなりの投資が必要になる。中小企業では良いシステムだと理解はしても、なかなか導入に踏み切れないのが現状。そこで同社ではまず、「大企業を中心に実績を作る」(同)方針だ。

 大企業を中心に積極的に売り込み・交渉する中では、「あれはできないか、これはこうしないかといった注文、提案が多く出てくる」(同)という。そうした注文、提案に「できませんと答えるのはだめ」(同)と力説する。あらかじめ対応できるようにしておくことが重要だという。

 同社はいま、販売活動と併せて同システムの改良にも力を注ぐことで、システムの完成度をより一層高めていくと意気込んでいる。「大企業をうんと言わせるモノにしてこそ広まる」(同)とし、進化を目指す。