製造/関東 「三次元多積層電子モジュール」

3次元多積層半導体の開発

 「スパイラルコンタクト」はバネのような構造で、先端部は細く、取り付け部に近くなるほど太い。ハンダボールに巻き付くように接触する。その際、スパイラルのエッジがボール表面の酸化膜をすべるように切るので、接触圧が不要で、ハンダボールへのダメージを抑えることができる。

 コンタクトの厚さはおよそ0・15ミリメートルと非常に薄く、基板の多積層化に対応しやすいほか、配線長が短いため高周波特性に優れる。そのため、わずかな電力で大容量データを受信、再生する携帯電話やMP3プレーヤーの部品、半導体検査装置の小型化など次世代の高密度集積回路(LSI)開発への貢献が期待されている。

 アドバンストシステムズジャパンはサンエス電気、横浜国立大学工学研究院と連携することで、このスパイラルコンタクト技術の製品への応用と普及を目指す。

(株)アドバンストシステムズジャパン


会社名
役割分担
■コア企業
(株)アドバンストシステムズジャパン
電子モジュールを積層する接点技術
サンエス電気(株)接点機能部品の製造
横浜国立大学工学研究院機器分析評価センター電子レベル・金属間接合技術



(株)アドバンストシステムズジャパン<br>平井幸廣社長

(株)アドバンストシステムズジャパン
平井幸廣社長

【自信があるから事業リスクはすべて負う】

 半導体の高速・高機能・大容量化が進み、従来の接触子(コンタクト)ピンによるデバイスへの機械的応力歪みや、対応するソケットの機械的強度、固定方法などが問題になっている。2001年に設立したアドバンストシステムズジャパン(東京都三鷹市)は、これらの問題を解決できるソケット機能を備えた渦巻き形状の超小型コンタクト「スパイラルコンタクト」を開発した。半導体デバイスを中心に、携帯電話向けなど電子部品製造市場での応用と普及を目指している。

 スパイラルコンタクトは、理論的にはフォトリソグラフィーを用い、プリント基板の表面に金メッキを施すことで効率的に大量生産できる。製造は、プリント基板の工程を逆から行うことで可能だ。

 同社の平井幸廣社長は以前、半導体検査装置メーカーに在籍し、プリント基板設計・試作のサンエス電気(東京都小平市)とつながりがあった。製造を引き受けてくれるよう足を運んだが、最初は断られた。平井社長は何度も訪問し、つくり方や、新しい設備を導入しなくても製造できることを説明した。その結果、サンエスが製造を担うことになった。

 「中小の製造業は、自社の事業範囲を超える恐れがあれば、手を出したがらない。それを引き受けてもらえたことがカギになった」(平井社長)。サンエスが技術評価を委託していた横浜国立大学工学研究院とも自然に連携していくことになった。

 アドバンストのグループの場合、コア技術であるスパイラルにかかわる特許はすべてアドバンストが所有するため、新連携における事業リスクのすべてを同社が負う約束になっている。サンエスに生産を委託、横浜国大の試験評価協力を得て、製品化に向かっていく計画だ。


【コスト、品質管理、大量生産の確立】

 新連携計画認定によるメリットは、信用度がアップし、金融機関からの資金調達がしやすくなったことと、中小企業基盤整備機構の専門員からの技術的支援が得られることだという。平井社長は「今回の事業に直接関係しなくても、新たな事業のきっかけとなりそうなアドバイスがあった」と話す。

 当面の課題は三つ。一つは電子回路基板にソケット機能を実装するに当たり、コストをいかに抑えるかということ。「性能が良くても、価格が高いと市場に受け入れられない」(平井社長)。二つ目はメッキ液の品質管理方法の改善。プリント基板の基準を、半導体の基準に合わせていく必要があるという。三つ目は大量生産に向けた自動製造工程の確立だ。

 「税金を利用して事業を行うからには、国民の生活向上につながるものをつくる責任がある」と平井社長は考える。専用の製造設備の開発も視野に入れ、2009年の本格販売を目指す。