サービス/関東 「高性能油分除去装置によるグリース阻集器洗浄サービスの事業化」

高性能油分回収装置で市場開拓

 ティービーエムは大型商業施設や複合ビルなどの食料品店で用いられる排水装置内の廃水から、水分と油分、残さを分離し回収する機器を開発した環境ベンチャー企業。07年12月、東京バイオマシンから組織変更し、設立された。

 現在、油分を下水に流さないように厨房(ちゅうぼう)などで設置が義務づけられているグリーストラップ(阻集器)。しかし適切な清掃方法が確立されておらず、維持管理が行き届いていない事業所が多数あると指摘されている。実際、トラップに蓄積した油分がビルの排水槽や下水に流れ込み、悪臭を発生させるといった問題が各地で頻発している。

 従来、グリーストラップに蓄積した油脂系汚泥はバキューム装置で廃水全体を回収し産業廃棄物として処分するのが一般的だった。しかしビル内での使用には一定の条件もあり、効率が悪くコストがかかるため、多くても月1回のメンテナンス作業にとどまってしまうといった問題があった。

 高性能油分回収装置「環吉君」は、グリーストラップにたまった廃水から油分と残さのみを回収しそれぞれを分離する。しかも油分は独自の精製ノウハウにより、灯油などの代替燃料としての再利用が可能だ。

 バキューム方式では、一般的な30リットルから200リットル容量のグリーストラップから排出される廃棄物は年間72トン程度に上る。しかし「環吉君」を用いた場合、排出されるのは残さのみとなるため、年間4トン程度にまで削減できる。また、残さは産業廃棄物でなく、一般廃棄物として処理できるため、管理コスト削減にも効果的だ。

(株)ティービーエム(旧 東京バイオマシン(有))


会社名
役割分担
■コア企業
(株)ティービーエム(旧 東京バイオマシン(有))
高性能油分除去装置「環吉君」の製造と改良開発・メンテナンス、「環吉君」のOS供給
中越クリーンサービス(株)専門サービスマンの教育・派遣、サービス品質の管理、装置のフィールド情報提供



(株)ティービーエム 佐原邦宏代表取締役<br>「グリーストラップに蓄積された油泥を高効率コンパクトに回収、再資源化ができるようになりました。「環吉君システム」で新たなリデュース→リサイクルの流れを生み出します」

(株)ティービーエム 佐原邦宏代表取締役
「グリーストラップに蓄積された油泥を高効率コンパクトに回収、再資源化ができるようになりました。「環吉君システム」で新たなリデュース→リサイクルの流れを生み出します」

【認定が新規顧客の獲得を後押し】

 市場の特異性と新たな価値を創造する環境ベンチャーとしての基本スタンスで取り組むティービーエム。開発した技術・製品で広くサービス展開するにあたり、全国に清掃サービスの営業拠点を持つ中越クリーンサービスと連携。新連携事業の認定を機にマーケティング活動を進め、将来の事業展開の基礎固めに乗り出した。

 連携体では、ティービーエムが排水処理に関するコンサルティングやテナントへの指導ノウハウをもとに、装置の改良や事業全体の管理・運営を担当する。中越クリーンサービスは高い作業品質を強みに、現場での回収作業を手がける。双方の長所を最大限に発揮することで、顧客に安心と満足を提供する事業モデルを構築していく構えだ。

 その一方で、環境ベンチャーとして常につきまとうのは信用力の問題。「かつて融資の相談を金融機関に持ちかけたところ、『従来にないオンリーワンの分野で、かつ新規性の高い事業であるため、ビジネスの成長性についての判断ができない』と言われたことがある」(佐原社長)。

 また「優れた装置を持ったとしても、なかなか円滑に事業展開ができないといった課題を抱えていた。だが、新連携という“国のお墨付き”を得たことは「『信用力』という課題の解決につながった」(同)と、施策の活用で新規の顧客が獲得しやすくなったと振り返る。


【代替燃料精製技術で新事業展開へ】

 助成金をもとにスタートしたのは、新たなビジネスモデルの構築に向けたマーケティング活動だ。ティービーエムは、回収した油分を灯油などの代替燃料に精製する装置も開発。環吉君とともに持ち運びが可能なサイズで、併用すれば現場回収と同時に代替燃料を精製することが可能になる。

 「精製した燃料は1リットルあたり60〜70円程度に抑えられる。環境負荷の低減だけでなくコストの削減にもつながる」(同)と、導入のメリットを顧客に提案できるようになるという。

 介護施設やハウス栽培をする農家に燃料を供給しようと、環境専門のコンサルティング会社とともに、法的側面や運搬方法などの具体策を模索してきた。まもなくその成果が実を結び、年内にも東京都八王子市内の介護施設への燃料供給に着手する。

 これに併せて、首都圏近郊の商業施設を中心に週600リットル程度の油脂回収能力の拡大とともに、ハウス栽培を手がける農家なども含め供給先を広げていく方針だ。

 今後のビジネス展開で課題となるのは、サービス品質をいかに維持していくかという点。「安易な拡大路線は禁物。中越との連携を維持し、顧客満足度の高いサービスを提供していく」(同)と、管理・回収から代替燃料の供給に至るシステムの高度化に注力していく考えだ。