製造/近畿 「中堅・中小製造業へ最適ロボットシステムを供給する企業グループの構築と事業推進」

最適なロボット導入を後押しする環境作り

 溶接・ハンドリング・塗装などの作業に活躍する産業用ロボット。全世界のその約半数を、日本企業が所有する。だが、産業用ロボットを導入しているのは大企業が大半で、中堅・中小企業は敷居が高く感じているのが現状だ。

 コア企業の高丸工業(兵庫県尼崎市)は中堅・中小企業に対し、各企業のニーズに応えた最適なロボットシステムの導入の推進に取り組んでいる。

 同社は長年、ロボットメーカーから周辺装置の製造を受注してきた。培ったロボットの知識とノウハウを生かし、ユーザーからの直接受注に切り替え、あらゆるメーカーから最適なロボットを選定するとともに、周辺装置を含めユーザーの生産に適したロボットシステムを製造する。

 テンマウエルサービス(大阪府豊中市)が、導入後のメンテナンスとアフターサービスでフォロー。商社のエヌアイウエル(兵庫県尼崎市)が営業窓口を務める。この3社の連携によってユーザーが最新のロボット情報を入手できる仕組みを整えた。

 中堅・中小企業には産業用ロボットを操作できる人材が不足している。また手作業の生産方法と、ロボットを用いた高効率の工程は一致しないため、従来の手順をそのままロボットに移行しようとして行き詰まる中堅・中小企業が多い。

 そのため高丸工業が核となり、導入時にロボットシステムを用いた適切な生産技術の指導を行い、投資効果の向上とさらなるロボット化の促進を援助する。

高丸工業(株)


会社名
役割分担
■コア企業
高丸工業(株)
システム設計・製造
エヌアイウエル(株)営業、販売
(株)テンマウエルサービスメンテナンス、スクール運営



高丸工業(株) 高丸 正 代表取締役<br>「日本のロボット業界でリーダーシップを取る事は世界でリーダーシップをとることに他なりません。また、これまでのメーカー主体の閉鎖された市場を改善する事が業界全体の発展につながると思います」

高丸工業(株) 高丸 正 代表取締役
「日本のロボット業界でリーダーシップを取る事は世界でリーダーシップをとることに他なりません。また、これまでのメーカー主体の閉鎖された市場を改善する事が業界全体の発展につながると思います」

【中堅・中小企業に産業用ロボットの普及を】

 高丸工業の高丸正社長は、産業用ロボットの普及を訴え続けている。現在のロボット業界は、1980年前後のコンピュータ業界のようなものだという。当時は多くの人が文章にしても図面にしても「手書きのほうが速い」と思っていた。しかし現在では、パソコンは事務作業や設計になくてはならない存在となっている。

 「ユーザーがコンピュータの機能を理解し、使いこなせるようになって普及した。産業用ロボットも同様の流れで広まるはず」と高丸社長は考えている。

 産業用ロボットの普及には、日本企業の大半を占める中堅・中小企業への導入を進める必要がある。だが、一般に市販されている産業用ロボットは、既存ユーザーである大企業の量産作業に合わせた仕様になっている。メーカーの対応も大手ユーザーが中心で、中堅・中小企業に産業用ロボットの知識が行き渡っていない。

 そこで高丸工業は、産業用ロボットへの考えが近かったエヌアイウエルやテンマウエルサービスと連携して、中堅・中小企業への産業用ロボットシステム導入の推進を始めた。メーカーごとの産業用ロボットの特徴、差異などメーカーからは得にくいユーザー視点の情報提供を行っている。

 中小企業の業務フローとロボットの知識が豊富な企業同士が連携、手を組むことによってコンサルティング機能を果たす。このことがユーザーが自社にとって最適なロボットを選びやすくした。また設計、製造、設置、稼働、メンテナンス、オペレータ教育と一貫したサポートも実現する。

 2006年7月、同事業が近畿経済産業局の担当者の目に留まり、新連携の認定を受けた。
 

【テクニカルセンターで実機を見比べる】

 新連携認定を受けて資金を獲得したことで、事業推進が早まった。2007年1月、尼崎市内のインキュベーション施設に「尼崎ロボットテクニカルセンター(ARTC)」を開設。これは国内メーカー7社のロボットを一同に設置し、製造現場での加工を再現してユーザーがロボットを見比べることができる施設だ。

 溶接やナットの取り付けなど、実際にロボットの作業を確認できるとあって、ユーザーの関心は高い。2008年末までの2年間で、約400社が見学に訪れた。このARTCの存在が弾みになり、同事業を始めてから2年間で約100件の受注があった。目標の年間120件に向けて、さらに中堅・中小企業への普及を進める。

 新連携について「事業計画を指導してくれるシステム」だと高丸社長は話す。審査の結果は、事業が順調に進むかどうかの試金石と言える。

 「複数の企業が連携することにより、1社では進められない事業ができるが、一方で各社の考えの違いなどがあり、話し合いをしないと進まない」(同)。

 ただ、同事業ではARTCの事務所に各社から2、3人が常駐しており、交流が日常的に行われているため、かなりスムーズに事業が進んでいる。