製造/関東 「大型スクリーン向けカメラ方式タッチパネルの開発ならびに事業化」

タッチパネルの技術で日本をリード

 最近、テレビの天気予報や情報番組の大型ボード、街頭での案内板などで見かける機会も増えてきたタッチパネル。それらの開発・製造を手掛けているのがシロクだ。シロクは小川保二社長が01年に茨城県つくば市で創業した。

 小川社長は以前、所属していた会社でソフトウェアや組み込みシステムを開発してきたが、アメリカのソフトウェア会社のレベルの高さを知り、「日本人がソフトウェアで世界に出るのは難しい」(小川社長)とコンピュータの周辺機器に関心を移すようになった。その後、タッチパネルの将来性に気づき、独立して起業した。

 同社のタッチパネルはカメラ方式を採用している。モニターの上部両端に組み込まれた2台のカメラがモニターにタッチする指の近辺の像を撮像、三角測量方式で検出・認識する。その影を画像処理により座標やタッチ状態の認識信号として変換する。

 従来の赤外線マトリックス方式などに比べ軽いタッチで細かい絵や文字が書くことができ、速度も速い。タッチする指の太さや複数の指を認識できる「マルチタッチ」も特徴だ。

 同社は大型のモニターを得意としている。「ほかのメーカーは大型を作れず、独壇場」(小川社長)で、センサーモジュールと呼ばれる心臓部を電子黒板メーカーやディスプレイメーカーにOEM(相手先ブランド)供給している。また、既製品にかぶせることでタッチパネルを後付けできる「シロク鏖タッチ」も販売している。

(株)シロク


会社名
役割分担
■コア企業
(株)シロク
タッチパネルの開発、設計・製造
レックスジャパン(株)イメージセンサーの開発・供給
(株)イーアイティー電子黒板・ディスプレイメーカーへの販売、ニーズ把握・情報提供



(株)シロク 小川保二代表取締役<br>「タッチパネルの市場はますます大<br>きくなっていきます。今後も直感的に<br>使え、違和感を持たずに使えるマン-<br>マシン・インターフェースを積極的に<br>開発していきたいと思っています」

(株)シロク 小川保二代表取締役
「タッチパネルの市場はますます大
きくなっていきます。今後も直感的に
使え、違和感を持たずに使えるマン-
マシン・インターフェースを積極的に
開発していきたいと思っています」

【鍵となるイメージセンサーを新連携で開発】

 カメラ方式のタッチパネルで鍵となるのがカメラの撮像素子、イメージセンサーだ。これまで同社ではデジタルカメラや携帯電話で使われるCMOSイメージセンサーを購入、使用してきた。しかしデジタルカメラなどの市場はモデルチェンジが早く、新しいイメージセンサーを頻繁に買い替えねばならないため安定供給に課題があった。

 イメージセンサーは高価なため、価格をどう下げるかという点も課題だった。また屋外で使用する際に外光に弱いという問題もあった。そのためタッチパネル専用のイメージセンサーを独自で開発することにし、半導体の開発に強いレックスジャパンと連携を組んだ。

 レックスジャパンは日立製作所と取引があり、それを通じて人づてで知り合った。生産は日立製作所の子会社で、シロクの協力工場である東海テックで行う。また開発した製品の販路を開拓するため、これまで取引があり、大手企業への販路を持つイーアイティーと連携した。

 新連携の認定は08年2月。開発は5月からスタートした。09年3月までに完成する予定で、販売は来年の夏ごろを予定している。将来的には2012年に21万9,000台の販売を目標にしている。

 同社が新連携に応募したきっかけは、入居する「つくば研究支援センター(TCI)」が新連携の茨城県内の窓口だったこと。新連携についてTCIに紹介され、イメージセンサーの開発で応募することになった。

 新連携の制度について、小川社長は「新しいものを開発する取り組みのほとんどが制度の対象になる。やろうと思えばいろいろ指導してくれ、今後どうすべきかが明確になった」と評価する。


【タッチパネルを街中や海外で】

 カメラ式タッチパネルの今後の利用方法として、「街頭でのショーウインドーとしての利用を広げていきたい」と小川社長は話す。

 店舗の窓ガラスにホログラムスクリーンを貼り、そこにプロジェクターで後ろから投影、通行人に見せる方法にタッチパネルを活用することを考えている。そこでの課題は外光への弱さだ。

 これまでは昼間に直射日光が当たる場合などにタッチパネルが利用できないことがあったが、新連携で開発する製品は外光への影響に適応できるようになる。

 海外での展開も拡大していく。すでに米国や欧州各国の黒板メーカーやディスプレイメーカーなどへの販路を持っているが、これに加えて中東やロシアなど産油国へも販売していく方針だ。

 「産油国は国がまとめて入札し、数千台規模で発注してくれる」と小川社長。病院や学校で利用することで教育効果を上げるためだという。小川社長は「ぼやぼやしていると日本は負けてしまう」と苦笑するが、産油国の急成長が同社の大きなビジネスチャンスになっている。