製造/九州 「気流解析に基づく24時間空気殺菌システム「エアロシールド」の事業化」

空気の自然循環を利用して安全に殺菌

 医療機関や高齢者向け施設での「院内感染」が社会問題化している。これらの施設には病気や高齢化により抵抗力が低下している人たちが多く集まっており、空気感染に対する対策が急務となっている。

 シールドテックをコア企業とするグループは、こうした環境下での空気感染を防止するための紫外線(UV)殺菌装置「UVGIエアロシールド」を考案した。

 この装置は天井付近に設置する。殺菌力が強い遠紫外線(UV-C)を24時間水平照射し、天井付近に厚さ30cm程度のUVの殺菌層を形成する。室内の空気循環を利用して空気中を浮遊している細菌やカビをこの層の中で殺菌し、室内全体の空気を浄化するという仕組みだ。

 ルーパー構造により紫外線を天井付近で水平方向に照射するため、人体に紫外線が当たらず安全であるとともに、使用しているUV-Cランプはオゾンレス。ランプ寿命は約8,000時間と、約1年間のメンテナンスフリーも実現する。

 しかし開発途上で想定していた対流が起きていないため、思うような効果が得られないという事象が発生した。そこで室内の空気の流れを解析する技術を持つターボブレード(大分市)と連携。装置への対流ファンの取り付けや、気流解析に基づく設置方法などの改良を行った。

 また製造はダウンライト製造で実績がある照明器具製造事業者の国分電機(鹿児島県霧島市)が担当する。

 これまでに医療機関や幼稚園、高齢者向け施設などに約500台の設置実績がある。さらなる拡販に向けて全国的な販売網を持つ企業との業務提携も進めている。

シールドテック(株)


会社名
役割分担
■コア企業
シールドテック(株)
エアロシールドの開発・提供
(有)ターボブレード空気の流体解析、ファンの設計
国分電機(株)エアロシールドの製造



シールドテック(株)<br>木原倫文代表取締役<br>「天井の高さが2.3m以上あれば一般<br>家庭にも設置可能です。また、仮に紫<br>外線の照射範囲に人や動物が入った<br>場合、自動的にランプが切れるセンサ<br>ーの組み込みも可能です」

シールドテック(株)
木原倫文代表取締役
「天井の高さが2.3m以上あれば一般
家庭にも設置可能です。また、仮に紫
外線の照射範囲に人や動物が入った
場合、自動的にランプが切れるセンサ
ーの組み込みも可能です」

【3社の方向性が一致し、理想的な連携が実現】

 「新連携制度の中身を知ったとき、ベンチャー企業にとってありがたい制度だと思った」とシールドテックの木原社長は振り返る。特に「開発費の3分の2を補助してくれるのは大きな魅力だった」(木原社長)。

 また新連携への認定は「それなりの会社だということを認めてもらえること」(同)と、顧客や金融機関に対する信用度の向上にも寄与したことを利点に挙げる。

 連携先であるターボブレードは、07年に「大分県ビジネスグランプリ」を同時に受賞した時からの縁だ。ともに開発型ベンチャー企業という共通点があった。またエアロシールドの製造にあたる国分電機も「全国区で活躍する企業だがベンチャーに対する理解度が高い会社」(同)だという。

 同じ思想のもとで経営がなされている3社だったため、「連携する上で苦労は特にはなかった」(同)という。

 今後、エアロシールドの大きな市場として見込まれているのが医療業界だ。これに先立ち、日医リース(東京都品川区)と、ジャパンデンタル(同新宿区)の両社との販売代理店契約を締結した。

 提携先の両社はともに医療機関向けのリース業務を行っており、全国に営業拠点がある。診療室や待合室での殺菌ができることをウリにリース契約での普及を目指す。

 エアロシールドについては、現在約15社の販売代理店がある。しかし医療機関向けに特化して営業を行っている事業者はいなかった。日医リース、ジャパンデンタルとの提携は「医療機関向けの営業は医療系に強い会社でないとフォローできない面もある」(同)という課題を解決すると期待される。

 またこれまでは設置先の8割が地元・九州地区になっており、大都市圏での販売が大きなテーマになっていた。これについても「両社との提携で全国販売に向けたネットワーク体制が構築できた」(同)としている。

 さらにシールドテックは08年4月、東京都文京区に自社の東京事務所を開設した。現在社員2人を配置しており、首都圏に本社がある企業を中心に営業を強化する。


【市場拡大はまず意識改革から】

 次なる課題は、空気感染対策に対する国内の理解を深めていくことだ。

 木原社長は「従来の蛍光灯(殺菌灯)タイプの殺菌装置と誤解されている部分が多い」という。UVは直接照射されると人体に影響が出るため、蛍光灯型の装置は人がいる時には点灯できなかった。

 これに対してエアロシールドは設置場所を工夫することで、人がいる昼間でも使用を可能にした。

 市場にない製品を普及していくのは難しい。しかしそんな中でも「空気に対する考え方を、我々が先頭に立って変えて行かなくてはいけない」(同)と、決意を固めている。