製造/関東 「農業生産者が簡便に利用できる土壌・水質・作物・堆肥の総合分析器の開発と事業化」

おいしい作物の礎となる土壌成分の分析を簡単に

 社名に冠されたCBRとは、コミュニティー・ビジネス・リサーチの略。地域の課題をビジネスの手法で解決しようという意気込みを示した。

 群馬県はキャベツの生産高で全国1位を誇るなど農業が盛んな土地柄。新井正彦社長は「化成肥料の過剰投入などによる土壌の疲弊を解決したい」と話す。農業生産者が簡単に使える低価格の土壌分析器の開発により、土壌改良を推進。農業の活性化や食の安全確保につなげていく。

 販売のターゲットは有機的な農法などに挑戦している生産者。そのため土壌の状態を把握するうえで簡単に使える分析器の普及がカギを握る。

 CBRアグリット群馬が開発した土壌分析器は窒素やリン酸、カリなどの7成分について30分程度の短時間で測れる。試薬のカートリッジ化により、試薬検量の手間を省くとともに、色判別センサーを搭載し、目視判定も不要にした。

 1検体当たり580円という測定試薬コストも普及に弾みを付けるうえで一つのポイント。定点測定により土壌改良の進み具合を確認したり、広い農地で複数の地点を測定したりするのにも向いている。土壌の分析サービスは公的な試験機関や企業も提供しているが、時間や費用、手間の面で生産者にとって敷居が高かった。

 3月に完成した分析器は生産者による2年間のモニター評価を実施中。土壌の分析データを収集、データベース(DB)に蓄積し、生産者に土づくりの指針を示していく方針だ。

CBRアグリット群馬(有)


会社名
役割分担
■コア企業
CBRアグリット群馬(有)
事業の統括運営、製造(組立)・販売、性能の総合評価
ノア・テクノネット基板設計・製造、パソコンソフト開発
(株)ビッドシステムDBアプリケーションの開発
千代田産業(株)企画・販売



CBRアグリット群馬(有) 新井正彦社長<br>「高い、手間がかかるなど、土壌分析は個人の力だけではどうすることもできません。だから何とかしたいと思い「一生産者に一台」の普及タイプを目指しました」

CBRアグリット群馬(有) 新井正彦社長
「高い、手間がかかるなど、土壌分析は個人の力だけではどうすることもできません。だから何とかしたいと思い「一生産者に一台」の普及タイプを目指しました」

【地域の課題をビジネスで解決】

 新井社長は地元建設会社幹部や、沼田市議を4期務め、地域への関心が高い。生ごみ処理や堆肥による土壌改良に取り組んでおり、牛ふんの堆肥化では、無臭化による環境改善や、土壌改良の効果を確認できた。

 こうした成果は群馬県産業支援機構の会合でも発表。土壌の疲弊を解決したいとの思いは強く、土壌分析器が必要との結論にたどりついた。同機構のコーディネーターからも事業化を後押しする助言を受け、05年にCBRアグリット群馬を立ち上げた。

 同社で新井社長とタッグを組むのは、研究開発担当の麦島昌氏。有機農法などの指導者でもある。新井社長と有機農法を巡る議論の中で意気投合し、事業化に加わった。

 06年7月に分析器の開発に着手。麦島氏はノア・テクノネットの色判別センサー技術に着目するとともに、農業資材販売などを手掛ける千代田産業とのつながりを生かした。また同機構コーディネーターの紹介により群馬大学との連携が始まり、DB技術を持つビッドシステムも連携体に加わった。

 新連携の認定を受けたのは07年7月。すでに「ポケットマネーなど数百万円を投じている。事業化を成功させるためにも支援を受けた」(新井社長)。開発拠点として群馬県立産業技術センターの一角を借り、手作業で試行錯誤を繰り返しながら、最初の4台を完成させた。

 同社の分析器は「取り扱いが簡単で分析時間が短い。1検体当たりの分析コストも安い」(同)のが強み。堆肥による土壌の改良がどこまで進んだか、生産者が確認しやすくした。従来はユーザーによる試薬の検量や、反応の色をみて判定する手間もかかっていた。


【土壌データ管理システムでオンラインサポート】

 これまでに分析器は90台を製作。すでに「モニターの生産者から使い勝手の向上を求める声などが届いている」(新井社長)。改良を重ね、本格的な事業化はモニター評価が終了する2010年ごろを見込んでいる。価格は20万円以下を目標にしている。

 今後は分析器の販路確保も大きな課題だ。国内農家戸数は285万戸(05年)。「この1割が減農薬や有機農法を手掛けている生産者で、販売のターゲットになる」(新井社長)と予想する。

 生産者がパソコンに取り込んだ分析データをインターネット経由でDBに蓄積、技術情報や堆肥の与え方などを生産者にフィードバックするデータ管理システム仕組みを確立させる。また試薬カートリッジなどのリサイクルシステムも立ち上げていく考えだ。