製造/近畿 「釜を使用せず蒸気を活用した省エネ炊飯、品質安定、簡単操作の蒸気炊飯器の製造販売」

高品質なご飯を安定供給したい

 エースシステム(大阪府和泉市)は、洸陽システムソリューション(神戸市東灘区)と連携して、自社開発した業務用蒸気炊飯システムの拡販を目指す。

 業務用蒸気炊飯システムは、既存の業務用炊飯器と違い、炊飯釜を使わずZ型のベルトコンベヤーに生米を乗せて炊飯する。飽和蒸気や過熱水蒸気を用いて炊飯することで水分が均一に浸透し「炊飯ムラもなく、高品質のご飯を安定供給できる」(佐古圭弘社長)。

 業務用炊飯器に比べ炊飯効率が高く、初心者でも扱えるようタッチパネル式の操作部を採用しており、ランニングコストを大幅に削減できるのが特徴だ。8年前から同製品を販売し、地元である南大阪地域の食品製造業や病院などで売り込みを進めてきた。

 しかし専任の営業部署を持たないため販路拡大に限界があった。そのため営業担当として、洸陽システムソリューションとの提携を決定。7月に経済産業省から新連携事業の認定を受けた。

 今後は食品製造装置関連の展示会などを通じてPRを行う予定。08年5月期の売り上げは約2億円だが、炊飯システムの販売を加速することで09年5月期で2億8,000万円、2010年5月期で3億8,000万円に拡大を目指す。2013年5月期には「業務用炊飯器市場の10%」(同)である約20億円を狙う。

エースシステム(株)


会社名
役割分担
■コア企業
エースシステム(株)
連携体の運営・管理 機器の設計と製造
(株)洸陽システムソリューション機器の販売および広報活動



エースシステム(株) 佐古圭弘代表取締役<br>「食品分野は重要と可能性のある分野、新商品の開発も積極的に行っていきたいです」

エースシステム(株) 佐古圭弘代表取締役
「食品分野は重要と可能性のある分野、新商品の開発も積極的に行っていきたいです」

【景気に左右されない商品開発】

 エースシステムは、南大阪地域を拠点とする産業装置メーカー。創業以来、南大阪の地場産業に特化した商品開発を行っており「タオルメーカー向けにタオル梱包機、ベアリングメーカー向けにNC加工機など」(佐古圭弘社長)を製造・販売してきた。

 しかし90年代以降、南大阪地域の地場産業が安価な海外製品の流入により苦境に立たされたため、あおりを受ける形で同社の利益率も低下してしまった。このため佐古社長は「(景気の好不況に左右されないために)自社で数を売れる商品が必要だ」と考え、食品分野での装置開発を決意した。

 大量消費が見込める炊飯分野での研究を進め、8年前に業務用蒸気炊飯システムを開発。地元の食品製造業を皮切りに、国内外の食品製造業や病院などへ納入を進めていった。

 業務用蒸気炊飯システムは炊飯釜を使わず、Z型のベルトコンベヤーに乗せて炊飯するのが特徴。製品によって異なるが、1日あたり50kg〜500kgの生米を炊飯できる。1段目で飽和蒸気を使い80℃〜95℃の温度で炊飯、2段目で加熱水蒸気を使って120℃〜140℃で炊飯し、3段目で調味料の散布や蒸らしを行う。

 炊飯時間は30分程度。加熱水蒸気を用いるため、ご飯の内部まで水分を均一に通すことができ、α化した高品質なご飯を安定的に大量生産できる。釜を使わないため炊飯ロットごとの品質のバラつきもなく、高温蒸気炊飯のため雑菌を完全に殺せるメリットもある。また仮に低品位米が混入していてもベチャ飯になりにくいので、日持ちが良く再加熱してもご飯が硬くならない。


【省コストのアピールで拡販を目指す】

 業務用蒸気炊飯システムは、業務用ガス炊飯器に比べランニングコストを削減できることも大きなポイントだ。炊飯効率の高さや簡単操作による人件費削減などと合わせ、生米1kg炊飯するのに20〜30円、1トン炊飯するにあたり2〜3万円のコスト削減が可能という。

 同社がターゲットとする食品業界では月間数十トンのご飯を炊飯する工場も多く、ランニングコストの削減効果は大きい。佐古社長は「ガス炊飯は熱効率が悪く、炎のうち30%程度の熱エネルギーしか有効に活用できていない。当社の蒸気炊飯システムならエネルギーの無駄は出ない」と胸を張る。

 現在、ターゲットとしているのがコンビニエンスストアの弁当工場やスーパーマーケットの総菜工場。「弁当工場ではまぜご飯を作る必要がある」(同)ため、まぜご飯を作るサブ機の開発も進めている。

 「中小企業にとっては、販路開拓が最大の課題」と佐古社長は強調する。そのため「(新連携事業の)認定を受けたことで展示会などに出展、PRしやすくなったのはありがたい」と同事業に謝意を表する。

 今後は関西で開かれる展示会などに積極出展し、蒸気炊飯システムの性能をPRする一方で、洸陽システムソリューションとの連携をさらに深め販路を広げて行く意向だ。代理店を通じての海外販売も視野に入れている。