建設/関東 「吹付けアスベストの乾式除去工法・除去作業の機械化・現場内で溶融無害化する事業」

可搬型のシステムでアスベストを無害化、再資源化

 渡辺解体興業など4社は、解体時に建造物から除去したアスベストをその場で溶融して無害化する小型の処理システムを開発。新連携事業の申請後に完成した無人除去機とあわせ「モバイル型アスベスト溶融無害化リサイクルシステム」として特許を出願した。

 無人除去機、収集機、溶融機、ジェネレーターなど一式は10トン積みトラック2台に搭載でき、1時間に最大0.8㎥のアスベストを処理できる性能。電気駆動式の無人除去機でアスベストを除去・収集し、溶融機で無害化する。

 作業員はモニターを見ながらリモコンで操作するため、アスベストを吸い込む危険が少ない。集めたアスベストは飛散しないように水に浸し、その後に水分を取り除いて減容、さらに電磁誘導により1600℃で溶融して無害化する。

 溶融機は原子炉工学が専門の有冨正憲東京工業大学教授のアドバイスを受けて開発した。酸素なしで加熱できる電磁誘導を採用しているため、溶融器を密閉できる特徴がある。溶融後は水冷処理し、2mm〜5mm程度の粒状のガラスに成形する。

 成形されたガラスは道路資材などに再利用できる。また処理工程で発生した水は濾過して排出、濾過物質も溶解して無害化する。

渡辺解体興業(株)


会社名
役割分担
■コア企業
渡辺解体興業(株)
解体工事請負、アスベスト除去工事請負、特許保有
愛知産業(株)溶融機の開発・製造、特許保有
(株)ドゥイング除去機械製造、システムの製造、リース・修理
(株)ウェイテクシステム設計・製造



渡辺解体興業(株) 渡邊龍一代表取締役<br>「モバイル型のシステムで解体工事現場によるアスベスト廃材の無害化、再資源化を実現します。またリモコン式のアスベスト除去マシンで除去作業のリスクも低減しています」

渡辺解体興業(株) 渡邊龍一代表取締役
「モバイル型のシステムで解体工事現場によるアスベスト廃材の無害化、再資源化を実現します。またリモコン式のアスベスト除去マシンで除去作業のリスクも低減しています」

【アスベスト処理前の除去作業のリスクも低減】

 アスベストは、それを肺に吸い込むと20〜40年の潜伏期間を経て肺がんや中皮腫を発症する可能性が高まる。このため、一般的には解体現場から排出されるアスベスト廃材は二重に袋詰めし、その多くが全国数カ所にある指定処分場に埋め立てられている。

 ただ、この方法では運搬時や処分時にアスベストが飛散する可能性が指摘されている。また埋め立て後も地中にそのまま残るため「根本的な解決にはなっていない」(太田道男常務)というのが現状。アスベストを無害化するという面で有効な溶融処理も行われてはいるが、コストや処理能力の問題もあり、ほとんど利用されていない。

 現在、アスベストを使った建造物の多くが老朽化で建て替えの時期を迎えている。「処理費用は現場の状況などで大きく異なるため、一概にいくらとは言いにくい」(同)が、埋め立て処理の場合は地方にある処分場までの運送・回送費が高額になる。処分場ごとに搬入日や1日当たりの処理量が決められていることもあり、処理日数は伸びる傾向にある。

 一方、溶融処理は受け入れる大規模プラントが少なく、処理量が少ない。運搬や処理などトータルの費用が埋め立て処理より高く、普及していない。運搬時やトラックから降ろす際にアスベストが飛散する可能性も、埋め立て方式と同様に残る。


【解体済みアスベストの大容量バッチ処理システムも目指す】

 しかしこの新システムで処理する場合、運送費や回送費は一切かからない。太田常務は「トータルで埋立方式と同等の金額で提供できる」と見込んでいる。400u程度の施工であれば、コスト、環境の両面で最適な処理方法だ。にもかかわらず普及しないのは、建て替えを早く済ませたい施主やゼネコンの思惑も大きいという。

 「ゼネコンは独自に技術研究しているため、他社の技術は使いにくいようだ」(同)という側面もある。このようななか、大手通信会社グループなど溶融処理を求める施主も出てきている。家田聡営業顧問は「アスベストの溶融処理は企業にとって環境対策のアピールになり、ニーズは確実に増える。当社の優位性も発揮できる」と見る。

 連携事業は「アスベストを解体現場で食い止めたい」(同)という一心でスタートした。原子炉工学が専門の有冨正憲教授のアドバイスを受け「核廃棄物と同等の管理体制を構築した」(同)。さらに、建造物からアスベストをはがす最初の工程にも着目、人手に代わる無人除去機を開発した。

 このシステムは当初パッケージとして外販する予定だった。しかしシステムを導入しても現場には習熟した作業員が必要で、規模によっては採算が取れない。このため当面は自社の事業でのみ利用するが、今後は、すでに解体されたアスベストを処理できるシステム開発にも取り組んでいきたいという。