製造/近畿 「竹資源有効利活用事業のコア技術となる竹抽出物製剤の市場拡大を目指した連携体事業」

竹から除菌剤・食品添加物を生み出す

 竹を資源として無駄なく有効活用する研究を進めるタケックス・ラボ(大阪府吹田市)がコア企業となり、モウソウチクの表皮抽出物由来で、広範囲の細菌に対する抗菌性やノロウイルス対応力などの付加価値を持つ製剤「タケックスクリーン」の製造・販売に取り組んでいる。

 用途はおもに食品添加物の腐敗防止や除菌・消臭。医薬部外品と食品添加物という二つの用途で販売するため、医薬品メーカーの伏見製薬所(香川県丸亀市)と添加物メーカーの信和アルコール産業(東京都中央区)が連携に参加している。

 「タケックスクリーン」は、モウソウチク抽出物の有効成分とアルコールとの相乗効果で抗菌の速効性がある。また21日間にわたって抗菌が持続する、水のある場所でも抗菌効果を発揮する、吐しゃ物などの有機物にも効果が阻害されないなど、一般に抗菌剤として使用されているエタノール製剤と比較して優位性があるという。抗菌効果と同時に消臭効果があるのも特徴だ。

 主成分が竹由来のため、酸化しにくく、手荒れなど人体への悪影響がないという安全性もアピール。食品衛生法に基づく食品添加物の認定を受けているため、防腐剤など品質保持の目的で食品に練り込むことも可能だ。飲食店やホテル・旅館、給食業者などの厨房(ちゅうぼう)、食品加工工場など主に業務用として販売している。価格は500ミリリットルのスプレーボトル入りで1,100円。

(株)タケックス・ラボ


会社名
役割分担
■コア企業
(株)タケックス・ラボ
研究開発・品質管理・販売
(株)伏見製薬所モウソウチク抽出物の製造・販売
信和アルコール産業(株)「タケックスクリーン」の製剤化(製造)
住友商事(株)販売および物流、販路開拓



(株)タケックス・ラボ 清岡久幸 代表取締役社長<br>「「タケックスクリーン」の他に、食の安全をサポートする日持向上剤として「タケックスキープ」も開発しています。モウソウチク抽出物とトレハロースがコラボレーションした安心・安全な食品添加物です」

(株)タケックス・ラボ 清岡久幸 代表取締役社長
「「タケックスクリーン」の他に、食の安全をサポートする日持向上剤として「タケックスキープ」も開発しています。モウソウチク抽出物とトレハロースがコラボレーションした安心・安全な食品添加物です」

【各地で害を及ぼしている竹を有効活用】

 「食品添加物や除菌剤などの成分は、天然由来が一番いい」との考えから、竹の有効活用の研究を進めているのは、コア企業であるタケックス・ラボの清岡久幸社長。

 化学薬品を使うとウイルスなどを防ぐ代わりに、人体にも悪影響を与えてしまう可能性がある。そこで日本で昔から行われている竹の皮を使った食品保存法を参考に、モウソウチクの表皮抽出物の実用化にこぎ着けた。

 食品添加物と除菌剤の兼用製品として開発した「タケックスクリーン」は「家庭用としても使えるが、主に市場が大きい業務用として販売していく」(清岡社長)方針。衛生管理の徹底が求められている食品加工工場や厨房などでの需要を見込んでいる。

 09年7月期に7億2,500万円、2,012年7月期には除菌剤市場の約10%のシェアにあたる22億9,000万円の売り上げを計画している。連携体には大手商社の住友商事も参加しており、海外市場も視野に入れる。

 竹は驚異的な成長速度を持つため、繁殖して他の植物の生存地域に侵出する、草花への日光を遮るなど、生態系を壊す要因となっている。さらに地下茎も浅いため、放置された竹林では土砂崩れが発生しやすい。

 「タケックスクリーン」の製造・販売は、これら竹害を解消するために過剰に存在する竹を有効活用して消費量を増やすと同時に、植物の生態系を回復させる環境対策を視野に入れた事業だ。タケックス・ラボでは表皮抽出物の製剤のほか、木材の代替品として竹の本体を活用した建材の開発などを行っている。


【長年の信頼関係から新連携事業へ】

 83年の創業以来、モウソウチクの表皮抽出物由来の食品添加物が主力のタケックス・ラボ。連携している医薬品メーカーの伏見製薬所と添加物メーカーの信和アルコール産業は、創業間もないころからの協力関係にある。

 従来の事業の延長で取り組んでいるため、清岡社長が「それぞれの権利と役割をしっかり把握できている」と胸を張る信頼関係だ。新連携の認定事業を進めていくのも自然な流れで苦労はなかった。

 新連携に申請した理由は「補助金が認められることは、第三者からの客観的な評価が得られるということ」(清岡社長)との考えからだ。申請のため事業計画などを整理することにより、目的がより明確になる効果もあった。

 また広告・宣伝・販促の費用の捻出(ねんしゅつ)が課題だったこともある。知名度の低い「タケックスクリーン」の市場を拡大していくためには、販促物の作成や展示会への出展などが必要不可欠。研究・開発向けの補助金は多いが、宣伝・販促対策まで視野に入れた補助金は珍しく、「当社のような中小企業の一番の課題をカバーできて助かる」と清岡社長は制度を活用できたメリットを話す。