製造/関東 「プレス機械を有効活用して行うマルチアクションダイによる複合プレス加工法の開発・販売」

汎用プレス機の改造で付加価値の高い複合加工と加工の短縮化を実現へ

 プレスメンテナンス分野のパイオニアであるしのはらプレスサービス(千葉県船橋市)がコア企業となり、汎用性の高いプレス機械をベースに、最新鋭の電動式サーボプレス機に改造するシステムの開発を進めている。

 この事業ではプレスストローク中のスライドモーションを自由にプログラミングできるほか、油圧プレスで実用化されているマルチアクションダイを採用し、プレス加工工程の短縮化も図れるメリットがある。

 国際競争の激化や製品サイクルの短縮化などにより、プレス部品メーカーにはコスト削減や高付加価値が求められている。多くの産業分野がそうであるようにプレス加工でも大量生産から多品種少量生産に需要が変化しており、1台のプレス機械で複数工程を同時に行うニーズは高まっている。

 ただ、既存装置はプレスストローク中に横方向に動かすだけにとどまっている。「さらに一部でも縦方向に動かせないだろうか」。そう考えて開発に取り組む4社は、既存設備の有効利用により設備投資を抑えながらも、加工技術の付加価値を高めた同システムの実用化に力を注いでいる。

 しのはらプレスサービスがプレス機械サーボ化のための改造設計・製造を、黒沢金型が金型製造を、ピーマック・ジャパンがモーションコントローラーの設計を、ネットシェイブが複合加工ダイセットの設計と技術指導をそれぞれ担当する。

 しのはらプレスサービスが取りまとめ役となり、製品化後には販売窓口となる。中小企業金融公庫(中小公庫)から低利融資の支援を得て、2008年度中の製品化を目指している。

しのはらプレスサービス(株)


会社名
役割分担
■コア企業
しのはらプレスサービス(株)
プレス機械サーボ化改造設計・製造、アフターサービス、販売
(株)黒沢金型高精度精密金型設計・製造
(株)ピーマック・ジャパンモーションコントローラー設計・製造、位置決め制御技術、CNCソフト開発
(株)ネットシェイプ多重シリンダー関連の特許、複合加工ダイセットの設計・技術指導



しのはらプレスサービス(株)<br>篠原敬治社長<br>「一社単独の努力と能力にはおのずと限界があります。だから異業種の企業と手を携えることは不可欠であり、その積み重ねがいまの社風となっています」

しのはらプレスサービス(株)
篠原敬治社長
「一社単独の努力と能力にはおのずと限界があります。だから異業種の企業と手を携えることは不可欠であり、その積み重ねがいまの社風となっています」

【プレスメンテのパイオニアとして連携を軸に広範囲なニーズに対応】
 
 しのはらプレスサービスは1973年の創業。プレス機の製造では補完的な存在でしかなかった修理業を知識集約型のメンテナンス産業という新しいビジネスの視点で捉え、可能性を追求したプレスメンテナンス分野ではパイオニア的な存在だ。

 特定のメーカーに帰属することなく独自にユーザーを訪問し、有料診断を通じて情報を収集。25年間で蓄積した情報は機種にして4,000にも及ぶ。

 同社の特徴は機械を修理するだけにとどまらず付加価値を高める改造を手がけることにある。「“よりよく直す”ということは、機械の製造や対症療法的な修理とは別のジャンル」(篠原敬治社長)という。

 そしてそこで培った技術力、開発力、情報力、企画力をもとに、機械設備の生産性、安全性、環境面でユーザーの悩みを解決するトータルソリューションの提供により事業を拡大している。
 
 ただ、より広範囲な分野でユーザーの要求に応えるには「一社単独の努力と能力には限界がある」(同)。異業種の企業と手を携えることは不可欠であり、「新連携」で取り組む今回の開発はその一環。連携は同社の会社方針であり、その積み重ねが「社風となっている」(同)という。


【改革のモデル企業。主体性を確保し、販売は自社というこだわりも】

 異業種交流、融合化、特許流通、知的財産戦略、産学連携―。行政より新たに改革案が施行されるたびに同社は先手を切って挑戦してきた。

 1984年には異業種交流という潮流に乗り、その成果の第1号としてプレス加工用ワーク搬送ロボットを5社(新港電気産業株式会社、株式会社三浦製作所、有限会社潮見製作所、有限会社ヨシカワ)共同で開発した。

 2000年にはマツダの持つ特許「樹脂による歯車メンテナンス技術」について、マツダと特許の実施権許諾契約を交わしている。数年前からアイデアを持ち寄っていた3社と今回の新連携に至った経緯についても「当然の流れ」(同)という。

 今や国の施策に沿った「改革のモデル企業」として扱われることが多くなった同社。認知度が高まり、連携のコア企業として期待され、そこかしこから「こういうモノがつくれないか」といったニーズが舞い込んでくるようになった。

 それはまるで「水が高い所から低いところに流れるように」(同)・・・。協業を持ちかけられることも少なくなく、それが新たな協業の輪を広げることにつながっている。「複雑化する社会にあって多様なニーズにすべて自社で応えるのは難しい」(同)。連携することが「癖になった」(同)という同社だが、こだわりもある。

 どんな製品を共同開発する場合にも「主体性は確保した上で、売るのは自社」(同)との立場は譲らない。それは顧客と直接に接していく中で「次ぎのニーズやシーズを読み解くためのヒントが得られるからだ」(同)という。