防犯・防災/関東 「業務委託用USBメモリの情報漏えい防止システムの事業化」

情報漏えいを防ぐ専用USBメモリを開発

 企業の機密情報や個人情報が、違法コピーなどにより漏えいする事件が後を絶たない。サイエンスパーク(神奈川県座間市)を中心とする企業グループは、こうした情報の漏えいを防ぐための専用USBメモリの開発に取り組む。

 専用USBメモリは、市販のUSBメモリに違法コピーなどを不可能にする専用アダプターを装着したもの。アダプターには自社開発の情報漏えい防止対策用に「ドライバウェア(DW)」を組み込んだ。

 「DWの働きにより、アプリケーションや基本ソフト(OS)とのデータ交換なしに複数のデバイスを制御」(小路幸市郎社長)する。そのため違法コピーなどにつながる不正操作防止が可能になり、業務委託先など社外関係者に自社データの処理を依頼する際に威力を発揮する。

 動作的には、まず専用アダプターを接続していない場合はUSBメモリのデータをパソコン上に開けない。またUSBメモリに専用アダプターを接続し、ファイルを開いた場合でも、外部委託先のパソコンにはデータ保存はできない。これにより業務委託先などからの情報漏えいを防止する。

 現在は同専用アダプターに「時限機能」を組み込んだ形での製品化を目指している。時限機能をつけると、一定の日時を設定するだけでファイルが自動で消滅する。「08年夏までの完成が目標」(同)だ。

サイエンスパーク(株)


会社名
役割分担
■コア企業
サイエンスパーク(株)
システム設計・販売
テクノシステム(株)ハードウェア(専用アダプター)設計・試作・開発
(株)ベアールートシステムソフトウェア開発・開発



サイエンスパーク(株) 小路幸市郎社長<br>「時限機能を組み込んだ製品を08年夏までに完成させるとともに、委託先に一切データが残らないというビジネスモデルの認知度向上を進めていきます」

サイエンスパーク(株) 小路幸市郎社長
「時限機能を組み込んだ製品を08年夏までに完成させるとともに、委託先に一切データが残らないというビジネスモデルの認知度向上を進めていきます」

【デバイスドライバーに活路】

 サイエンスパークは94年、小路社長が勤めていたITベンチャーが倒産したため、自宅マンションをオフィスとして創業。工場自動化(FA)機器の開発などにあたってきた。

 上場企業と官公庁を中心に約400の企業・団体を相手に営業を展開。その過程で、OSがデバイスを制御するためのプログラム「デバイスドライバー」を専門に手掛ける企業がほとんどないことに気付いた。

 「ニッチな分野だからこそ、ナンバーワンになれるチャンス」と感じた小路社長は、同社をデバイスドライバー技術に特化した企業にすべく方向転換した。

 しかし、デバイスドライバー技術者に向けた翻訳本の作成や、セミナーなどの開催で事業が軌道に乗り始めたころ「ある事件」が発生した。01年に在職していた社員が「独立する際に社内データを持ち出したほか、一部の情報を削除」(同)するという深刻な事態に遭遇したのだった。

 訴訟も考えたが「社員に罪を作らせないシステムを作る方が大事」と、小路社長は発想を転換。デバイスドライバーの技術を生かしたソフトウェア開発に取り組むようになった。


【ビジネスモデルの認知向上へ】

 こうして03年4月に開発したのがフロッピーディスクなどのリムーバブルディスクへのファイルコピーを禁止する情報漏えい防止・監視システム「4thEye(フォース・アイ)」。当時、世界初のドライバベースのシステムで、発売当初は顧客先からも「社員を疑うのかといった批判が一部であった」(小路社長)と振り返る。

 だが大手企業で起きた社員による個人情報の流出が社会問題化すると「明らかに見る目が変わってきた」と、小路社長は手応えを感じている。

 同社は07年10月にビルのワンフロアから神奈川県座間市内にある2階建ての新本社へと移転。同年7月に認定された今回の新連携事業を「事業拡大の追い風にしたい」(同)と意気込む。

 これは同社にとって初となる他社との共同事業は「お互いが手の届く範囲で取り組める」(同)と考えたからだ。

 テクノシステム(神奈川県相模原市)が専用アダプターの設計や試作、開発を行い、ソフトウェア開発は、かつてサイエンスパークに在職した社員がいるという縁で、ベアールートシステム(熊本市)が行う。完成した製品の販売はサイエンスパークがあたる。

 小路社長は専用USBメモリの開発によって、委託先には一切データが残せないというビジネスモデルの認知向上と、顧客開拓を同時に効率よく進める考えだ。