防犯・防災/関東 「携帯電話を利用した災害情報収集・配信サービスの事業化」

必要な情報を全国のモニターが投稿

 危機管理情報の提供を行うレスキューナウが事業統括企業としてコアを務め、携帯電話を利用した災害情報収集・配信サービスの事業化を目指す。モニターの募集・組織化でプロバイダー大手のニフティ、携帯アプリケーション開発のユニアデックス、情報の投稿システムを開発するソフトパワーの合計4社が連携する。

 地震や台風、火山の噴火などの災害情報は行政やテレビ、ラジオなどのマスコミが流すのが一般的。どちらかというと一方通行の情報が中心だ。

 しかし、その情報が市民や企業にとっては十分でない場合があることも事実。そこでユーザーが本当に必要としている情報を双方向で受信、発信するサービスの必要性が出てきた。実際、そのニーズは年々高まってきている。

 サービスの仕組みは、まず日本全国に100万人規模のモニターを集める。そして災害発生時にモニターから現地の被害状況やライフラインなどの情報を投稿という形で収集し、必要なユーザーに提供する。

 今回の新連携制度を活用し、この配信サービスを緊急時の事業継続計画(BCP)を取り決めている企業を中心に事業化を目指す。

 BCPとは企業が災害などに遭遇した場合、資産の損失を最小限にとどめつつ、事業の継続や早期復旧を可能とするため、平時からその方法や手段を決めておくこと。近年、大企業を中心に実施が進められている。

(株)レスキューナウ


会社名
役割分担
■コア企業
(株)レスキューナウ
統括管理およびビジネスモデル特許による危機管理情報収集、加工、配信
ニフティ(株)モニターの募集および組織化
(株)ソフトパワー情報管理システムおよびナレッジマネジメントシステムの開発
ユニアデックス(株)携帯アプリケーション開発



(株)レスキューナウ 市川啓一社長<br>「阪神淡路大震災を契機に、個人レベルで的確な情報を届けるシステムの必要性を痛感しました。このサービスを事業継続計画(BCP)を取り決めている企業を中心に事業化する考えです」

(株)レスキューナウ 市川啓一社長
「阪神淡路大震災を契機に、個人レベルで的確な情報を届けるシステムの必要性を痛感しました。このサービスを事業継続計画(BCP)を取り決めている企業を中心に事業化する考えです」

【個人レベルで情報を提供】

 レスキューナウは00年に市川啓一氏によって設立された。起業に至ったきっかけは95年に発生した阪神淡路大震災。当時、日本IBMに在籍していた市川社長はいても立ってもいられなかったが「手伝いたくても何もできない。個人レベルで的確な情報を届ける必要を痛感した」(市川社長)と振り返る。

 同社は24時間365日体制で災害などに対応する「RIC24」を持つ。そのセンターで地震や台風、火山の噴火などの自然災害や米国同時多発テロ、新型肺炎(SARS)の流行、鉄道の運行状況などの情報収集を行ってきた。

 とくに鉄道の運行状況においては、天気の「ウェザーニューズ」、道路状況の「日本道路交通情報センター」と並び、高い信頼を寄せられている。また02年10月から朝日新聞の「朝日ライフラインNEWS」向けにコンテンツの提供も行っている。
 
 そんななか災害発生の際、100万人ものモニターから情報を収集し、配信するサービスを考えた。モニター数を増やせば、個人レベルまできめ細かく対応できる。しかしその実現には、会員の確保や携帯アプリケーション、有益な情報を選別するシステムが必要だ。

 そこでそれらの課題を補完する形で、以前から取引のあったインターネット・サービス・プロバイダー大手のニフティや、携帯アプリケーション開発会社、情報管理システム会社の3社とスクラムを組むことにした。

 すでにニフティとは06年4月より「rescuenow@nifty(レスキューナウ・アット・ニフティ)」という情報サイトを立ち上げて災害情報の提供や防犯グッズの販売などを行っている。


【ベンチャーならではの悩み】

 「新連携を活用する企業の実情をもっと知ってほしい」と市川社長は語る。市川社長がそう考えるには理由がある。それは新連携認定時は連携体はユニアデックスではなく、他の携帯ソフト開発会社だった。その会社は将来性が豊かなベンチャー企業だが、資金力という部分では余裕はなかった。

 そこで残念ではあったが、途中で企業を替えざるを得なかった。当然、新しい企業の選定中は本事業はうまく進んでいかない。結果的に月単位で進行が遅れてしまった。遅れるということはその分、別途、費用がかかってくることを意味する。

 また新連携の取り組みで得られる助成金はそのプロジェクトが終わってからもらうことになる。先にお金をもらうことがいいかどうかは議論を要するが、現状の制度ではベンチャー企業に資金面での厳しい状況を明かす。

 「例えば技術開発を伴う場合の上限3,000万円の助成金を得るためには、事業経費の2/3以内が補助率だから先に4,500万円を使わないといけない。ベンチャーにはきつい」(市川社長)という。

 「新連携のような制度を利用したいと思う企業は、基本的に資金面に余裕がない。そこをどこまでくみ取ってくれるか」と市川社長は問題提起する。