サービス/近畿 「蚊・ハエなど飛翔昆虫の対策に活かせる生息データ記録・保存及び防除対策事業」

害虫対策を効率化

 徹底した衛生管理が求められる食品工場などで対応に苦慮するのが昆虫対策。各工場は異物混入ゼロを目指し、虫の侵入防止策や駆除に力を注ぐ。

 出入り口や製品の搬入出路、原材料など侵入経路は疑い出すときりがない。京都インテリジェンスサーチはそんな食品工場や薬品工場などを対象に、害虫生息調査や衛生面のリスクマネジメントを手掛けている。

 近年、食の不信・不安が高まり、消費者の視線は以前にも増して厳しくなっている。各工場は「捕虫器で虫が発生してから駆除する」体制から「虫のいない工場構築」に視点を切り替え始めている。

 だがハエやゴキブリ、蚊など害虫の種類は多種多様で、発生時期、性質もそれぞれ異なる。どの時期に、どんな虫が生息しているかを正確に把握しない限り、効果的な対策を打てないのが実情だ。

 連携体は京都インテリジェンスサーチとスキャナーメーカーのニューリー(京都府久御山町)で構成する。両社は06年12月、捕虫シートで捕らえた虫を自動計測するスキャナー「捕虫シート・スキャンイメージ自動計数システム」を共同開発。目視計測からリポート作成まで20日間以上かかっていた捕虫シート分析作業時間を、2日間に大幅短縮した。

 目視による捕虫数計測は部分検査で対応していたため約2倍の誤差が生じることもあったが、全数検査で精度も向上させた。また虫の寿命サイクルは短いが、分析時間の短縮で時期を逃さず効果的にシャットアウトできるようになった。

(株)京都インテリジェンスサーチ


会社名
役割分担
■コア企業
(株)京都インテリジェンスサーチ
有害生物のモニタリング・対策処置、対策コンサルティング
ニューリー(株)自動計測スキャナーの開発、メンテナンス、サーバー管理



(株)京都インテリジェンスサーチ<br>吉村賢社長<br>「自動計数システムは分析作業を大幅に短縮できるだけでなく、シートのデジタル保存も可能です。異物混入事故の原因究明の手がかりにもなります。今後は海外展開を進めていきたいです」

(株)京都インテリジェンスサーチ
吉村賢社長
「自動計数システムは分析作業を大幅に短縮できるだけでなく、シートのデジタル保存も可能です。異物混入事故の原因究明の手がかりにもなります。今後は海外展開を進めていきたいです」

【自動計測で全数検査】

 96年に大阪府堺市で起きた「病原性大腸菌O-157集団食中毒」。感染者9,000人以上で死者も出た大事故は、厚生省(現在の厚生労働省)がカイワレ大根を発生源として疑ったことでも世間を騒がした。

 当時大学生だったコア企業の京都インテリジェンスサーチ吉村賢社長は、企業の衛生面でのリスクマネジメントの必要性を痛感。97年の大学卒業と同時に、環境ビジネスの立ち上げ準備を始め、99年5月に同社を設立した。

 ニューリーとの関係は共通の開発顧問を持つことに端を発する。同社を訪れた吉村社長は、同社のスキャナーで複写されたチョウの印刷物を見て驚いた。立体的で細部まで正確に再現していたからだ。同社のスキャナーは非接触で立体物を高解像度スキャンでき、質感まで正確に複写できるのが特徴。吉村社長は即座に協力を要請した。

 虫はおよそ150万種と言われ、大きさもさまざまだ。約1mm程度の小さな虫はデジタルカメラで正確に撮影できず、デジタル画像を使った自動計測は困難だった。

 このため従来は顕微鏡を使い目視計測したが、5cm×50cmの捕虫シート1枚に2,000匹以上捕獲される場合もある。工場には複数の捕虫シートを設置するので、労力を要する目視計測は部分検査しかできず、正確なデータを得られなかった。また虫の寿命は短い。検査結果が出るころには、新たな虫が発生していた。

 ニューリーのスキャナーは立体感や質感を細部まで高精細に再現する。このスキャン技術を生かし、共同開発した自動計測スキャナーの計測処理時間は、捕虫シート4枚で約5分。パソコンモニターでの確認が可能で、専用ソフトウェアにはシートごとのカウント結果表示や虫名登録などができる機能が備わっている。

 また同システムは分析作業の短縮に貢献するだけでなく、従来破棄していた捕虫シートをデジタル画像で保存できる。異物混入事故が発生した場合、記録画像があれば原因究明の手がかりとなり「無実の証拠にもなる」(吉村賢社長)という。


【全国を主要エリアごとにオンラインで結ぶ】

 両社は同スキャナーとインターネットを活用した、新たなビジネスモデルの検討も始めている。京都インテリジェンスサーチは現在、東京と名古屋に営業拠点を持つが、分析作業は京都の本社に集約。全国から京都に郵送される捕虫シートを取り込んで分析し、各工場へのアドバイスを行っている。

 そこで主要エリアに同スキャナーを設置し、取り込んだ画像を本社へ送信すれば分析時間短縮、分析効率向上につながると考え、この可能性を模索している。

 またアジアからの食品輸入が増加傾向にあることから、09年中に東アジアを中心とした「海外での提案も始めたい」(同)と、海外進出にも意欲を示す。