製造/関東 「美水石触媒新浄化システムの開発・販売」

エレメントレスフィルター技術を生かす

 industriaは91年創業。原子力・火力発電所や化学、薬品プラント用バルブなどの精密金属加工からスタートし、93年にはこの加工技術を生かし、自社ブランド商品のエレメントレスのフィルター「FILSTAR」を開発した。

 これは遠心分離の原理を応用したもので、工場の切削廃液などに含まれる汚物を除去、液体を浄化しリサイクルする。広島大学との共同研究が実用化への弾みとなった。すでに全国各地の自動車関連工場などへ普及しており、同社のフィルター・オゾン酸化技術を用いた主力製品に成長している。

 現在、industriaがコア企業となり取り組んでいる新連携事業(05年7月認定)は、このエレメントレスフィルター技術を中核技術とし、天然鉱石の美水石を触媒としたコストパフォーマンスの高い浄化システムの開発。

 美水石を供給するシアトルキャタライザーラボラトリー(東京都世田谷区)、浄化水分析を担当するアイ・トリート(同八王子市)との連携に加え、技術面でオゾン関連製品メーカーなどの協力を得ている。

(株)industria


会社名
役割分担
■コア企業
(株)industria
エレメントレスフィルター技術、オゾン酸化技術、センサ開発技術の提供
シアトルキャタライザーラボラトリー(株)美水石の供給、技術指導
アイ・トリート(有)浄化水分析



(株)industria 高橋一彰社長<br>「水や油の廃液処理のほか、工場内の空気浄化に応用できるシステムも開発しています。今後は連携グループ間の新しい連携も視野に入れていきます」

(株)industria 高橋一彰社長
「水や油の廃液処理のほか、工場内の空気浄化に応用できるシステムも開発しています。今後は連携グループ間の新しい連携も視野に入れていきます」

【固形物質と溶解物質を同時に除去】

 天然鉱石の美水石はナノメートル(1ナノは10億分の1)レベルの細孔を持つ。細孔内のバクテリアが水や油を浄化し、約3年程度、浄化機能を維持する。さらにオゾンの効果も加えることで、効率的に化学的酸素要求量(COD)を低下するほか、脱臭効果も引き出していく。

 同システムの大きな特徴はフィルター技術と天然鉱石などの融合により、固形物のみならず溶解物質などの不純物を同時に除去できるようになったこと。金属加工工場では、切削油や水の酸化、劣化を防ぎ、リサイクル効率を高めるほか、フィルター交換などのメンテナンスを軽減することでコストダウンにつながる。

 また従来の浄化システムに比べシステムのサイズも大幅にコンパクト化できることから工場スペースの有効利用にも役立つ。

 さらにアイ・トリートの分析面での協力により、システムの浄化性能の信頼性を確保する。これにより工場の生産性向上、作業環境の改善、品質管理の強化につながり、環境ビジネスという観点からも新分野開拓が期待される。

 システムの設計、製造は基本的にindustriaが担当。08年内には本社工場を増設する予定で、新連携製品などの開発、生産に弾みをつける構えだ。


【09年には売り上げ規模を5億円に拡大】

 ターゲットとする市場は、金属加工業界や食品関連業界など幅広い。とりわけ工作機械を利用して金属加工している自動車、工作機械などを有望市場とみている。

 今後の新システム販売については、新連携参加企業が各社のブランドで発売する計画。industriaでは今春にも、第1号として自動車関連会社に納入する予定で、このほかにも水や油などの廃液処理のほか、工場内の空気浄化にも応用できるシステムを開発している。

 08年度には6,000万円、09年には年間10−20システムを販売し、売り上げ規模を5億円に引き上げたい考えだ。アイ・トリートも菓子メーカーなど食品業界への普及を進めており、今後も参加各社との定期的な会合、研究会を開くなど、連携を継続強化していくという。


【TAMA協会とのつながりがきっかけで3社が連携】

 industriaが新連携事業に参加したきっかけは、08年に設立10周年を迎えた首都圏産業活性化協会(TAMA協会)の仲介。同社は草創期からの会員で、同協会によるアドバイザーの紹介や勉強会で知り合った企業でパートナーを構成し、お互いを知り尽くした信頼関係を築いている。

 同事業を引っ張るのが高橋社長。07年に社長就任した二代目若手リーダー。TAMA協会による異業種交流をはじめ複数の大学との共同研究活動に奔走し、社長就任前から自社ブランド製品の開発育成を、自らの大テーマとして取り組んできた。

 今回の新連携事業については「コア企業としての予定外の出費などの負担もあった。販売面での対策も必要」(高橋社長)との課題を指摘する。

 連携制度については「製品化に向けた技術支援、資金面でのサポートなど、各方面から協力が得られ、大変ありがたい制度」としながら、今後は「連携グループ間の新しい連携も視野に入れる」(高橋社長)とその拡大にも意欲的だ。