製造/近畿 「「焼酎工場排水処理システム」の製造・販売およびメンテナンス事業」

中小焼酎工場向けの排水処理システム

 排水処理装置を開発する夢幸房(大阪府枚方市)がコア企業となり、焼酎工場排水処理システムの開発、製造販売を行う。

 排水処理機「かんぷらくん」の販売代理店を務めるハルミ・コーポレーション(千葉市若葉区)と連携体を構成。そのほか数社から技術面の協力を得て、同システムを07年9月に完成。以後、普及を目指して営業活動を行っている。

 07年4月の改正海洋汚染防止法の施行により、焼酎かすの海洋投棄が原則として禁止になった。法改正に合わせ、資金力のある大手焼酎工場は自前で排水処理設備を設置しているが、資金力のない中小焼酎工場は焼酎メーカー組合が設置したプラントを利用したり、産業廃棄物業者に処理を委託して対応している。処理費用が割高になり、焼酎製造コストアップの要因となっている。

 早くから法改正をにらんでいた同社は、ハルミ・コーポレーションなど数社と共同で06年春ごろからシステム開発を開始。中小の焼酎工場が低価格で排水処理できる仕組みを作り上げた。

 組合のプラントでは1トン当たり1万−1万5,000円かかる処理費用が、同システムだと4,000円−1万円程度で済む。リース販売も行い、中小企業が導入しやすいようにした。

 現在はハルミ・コーポレーションの営業力を生かしてシステムを拡販中。夢幸房とハルミ・コーポレーションが共同で営業に赴くなど、密接にコミュニケーションをとって営業展開する。また焼酎工場は九州地方に集積するため、九州を中心に営業を進める計画で、メンテナンス業務は夢幸房が中心となって行う。

(株)夢幸房


会社名
役割分担
■コア企業
(株)夢幸房
システム開発・テスト、現地工事管理・試運転・メンテナンス
(株)ハルミ・コーポレーションシステム販売・材料部品調達、「かんぷらくん」提供、製造統括



(株)夢幸房 松尾光政社長<br>「処理費用も最大で3分の1と、中小企業が導入しやすいようにしました。今後はより多くのデータを蓄積し、コストダウンなどシステム改良に取り組む予定です」

(株)夢幸房 松尾光政社長
「処理費用も最大で3分の1と、中小企業が導入しやすいようにしました。今後はより多くのデータを蓄積し、コストダウンなどシステム改良に取り組む予定です」

【技術を持ち寄りシステム完成】


 06年春ごろ、夢幸房が焼酎工場向け排水処理システムの開発に着手した。夢幸房は工場排水や洗車排水などに強い排水処理機「夢未来」が主力製品。食品排水にはノウハウを持たないため、松尾光政社長が付き合いのあったハルミ・コーポレーションに相談。同社が販売する「かんぷらくん」を紹介され、両装置を組み合わせることにした。

 「かんぷらくん」はオゾン発生廃水処理装置で脱臭、脱色・殺菌作用があり、食品排水に強い。「かんぷらくん」を開発した環境プランニング(高知市)や「夢未来」の製造を行う東鉛化工業(大阪府守口市)の協力のもと、研究開発を進めた。

 焼酎工場の排水は焼酎粕(かす)という固体を含む。焼酎の種類は米、麦、そば、芋など多様であるため、それぞれの工場に対応した排水処理システムが必要だ。夢幸房は東洋スクリーン工業(奈良県斑鳩町)の協力で、各工場ごとに異なった仕様の個液分離器を用いて対応する。

 これらの技術を持ち寄って、自信のある処理システムが完成した。しかし新連携の認定を受けるのは簡単ではなかったという。

 夢幸房は申請時に、中小企業基盤整備機構の担当者に指導を受けた。よりコスト競争力があり、戦略的な販売プランを練るようにアドバイスを受け、事業プランを何度も練り直した。その甲斐があって事業プランは「確固たるものになった」(松尾光政社長)と振り返る。

 新連携の認定を受けたことで、信頼度もアップした。営業に出かけて新連携の名前を出せば、相手先に丁寧に話を聞いてもらえるという。「中小ベンチャーの当社としてはありがたい」(同)。支給された補助金は同システムのさらなる改良や、研究開発に充てる考えだ。


【焼酎工場が集積する九州中心に攻める】

 大分県の焼酎工場に同システムを試験設置した。ほかに2社からもテスト希望が来ており、順次対応する。システム納入に合わせてデータも蓄積し、コストダウンなどシステムの改良に引き続き取り組む予定だ。

 営業展開ではハルミ・コーポレーションの営業力を活用。ハルミ・コーポレーションは排水処理機を全国販売した実績があるため、そのノウハウを有効活用する。また松尾社長がハルミ・コーポレーションの営業担当者に研修を行うなど、密接な連携を取って事業を進めている。

 6月ごろにはハルミ・コーポレーションと共同で、鹿児島県に営業所も設置する予定。2012年9月期に5億5,000万円と、売り上げ目標も明確に設定した。

 夢幸房は排水処理プラントから排出される焼酎粕(かす)を用いた炭の開発や、バイオエタノールの抽出にも取り組む計画。産学連携も視野に開発を進めている。

 新連携事業をきっかけに同社の事業も広がりを見せるなど、認定を受けたメリットは大きいようだ。今後も同システムの拡販に取り組み、環境保全のために活躍を目指す。